デザイン通り忠実に設計された新型「KATANA」 カタナ愛が激しい社内で妥協せずに開発を進めた訳は!?

新型KATANAは、10ヶ月ほどの開発期間で発表されました。オリジナルカタナのイメージを崩さずにデザイナーのレイアウト通りほぼ忠実に設計された理由とは?

新型KATANAデザイナー、90%以上作り込みには満足!

 はままつフルーツパーク時之栖で開催された「KATANA Meeting2019」で、新型KATANAをデザインしたロドルフォ・フラスコリーニ氏(以下:フラスコリーニ)と実際に製品化へ向け開発を進めたチーフエンジニア寺田覚氏(以下:寺田)、車体設計担当 三池翔太氏にお話を聞きしました。

オリジナルカタナから新しいライディングポジションが与えられた新型KATANA

 ――フラスコリーニさんのKATANAデザインについて

 寺田:一目でカタナとわかるデザインでありながら、ライディングポジションがオリジナルの刀とは全く違うなと、最初のデザインを見た時に思いました。実際にプロトタイプに試乗してもライディングポジションが今のバイクの中でも比較的前に乗るポジションでした。バイクにとってポジションは非常に大事なので、そこでしっかりとスズキの作りにする事が、まずどうやって作り込んで行こうかと思いましたね。

 三池:おおよそのレイアウトが決まった状態で、そのままの状態で作る仕事としておりてきました。逆に決まっていない状態から始めると、もうちょっとライディングポジションをこうしたいから、ここをちょっと削るとかの話が実際には多く出るんですけど、この形がカッコいいから絶対にやると決まっている中で、ポジション作りしていくというのが非常に新しい体験で、迷いなく進めた感じです。

 ここを妥協してくれたらもう少し楽なんだけどなとかを捨て、このレイアウトでやるんだからこの中で一番良いところを探すんだとはっきりと目標を持って設計できました。

KATANAの製品化に驚いたと言うデザイナーのフラスコリーニさん

 ――実際製品となった新型KATANAを見てどう思いましたか?

 フラスコリーニ:新型KATANAは、90%以上作りに満足しています。十分私の思いが反映されていると思います。特にデザインでやり遂げたいところを、かなり反映していただいているので大変満足しています。

 三池:絵に描かれたものを実際に形にしていくと形が変わっていくこともあるんですが、新型KATANAは、コンセプトモデルそのものに近い形で世の中に出せたので、なかなかここまでできるモデルはないですよね。

 ――新型KATANAとして発売すると聞いたときどう思いましたか?

 フラスコリーニ:ただ単に驚きました。丁度、車を運転している時に電話をいただき思わずアクセルを踏んでしまいました。

新型KATANAのハンドル形状やライディングフォームについて

 ――新型KATANAで気になるハンドル形状は、どう思いますか?

 フラスコリーニ:カタナ3.0の時、実はセパハンに近く、もっとハンドルが低いデザインでした。デザインでは、外観も低いハンドルの方がカッコよく見えるんですけど、実際に乗ってみるとハンドリングや取り回し、コーナーリングを考えると、今の高い位置の方が、ライディングをする時に扱いやすいですね。

 アップライトなハンドリングは、欧州で言うモタード系のような肘が張ったポジションで乗った方がKATANAは非常に乗りやすいです。

最適なポジションや乗り方は、モタード系を意識し開発が進められた

 三池:モタード系と言っていただいてこちらから積極的に発信することはできませんが、車のディメンジョンをみたときに、その中で最適なポジションや乗り方を探した中でモタードは、意識したモデルではあります。

 前乗りになり、重心がかなり前方にある中で扱いやすいところを探し、幅広にして抑え込む感じにしたらいいのではないかと、設計を始めたんですが、このポジションが直接デザインした方にご理解いただけたと思うと嬉しいですけど、設計中すごくいろんなこと言う人が大勢いました。

 社内で作業していると、皆さんも思っている方がいるとは思いますが、図面書いていても後ろから関係のない人が、「これは違うでしょうとか」、「これでもいいんじゃないとか」と、いろいろと言ってくるんです。勝手に違う図面とかスケッチ持ってくる人もいて、「こうしたらいいんじゃないとか」、オリジナルとコラージュしたようなのを持ってきたりとかして、社内のカタナ愛がハンパないんですよ、みんな。

短期間だから発売することができた新型「KATANA」

 スズキの中でも、そんなことは今までなく他のバイクを作っている時でも様々な意見を言ってくることは、こんなにはなかったです。その中で形にするのは、普通にやっちゃうと収集つきにくいと思うんですよね。新型KATANAの設計を短期間でやれたことが、メリットもあるし、勢いでやれたので、良かったと思います。

 ※ ※ ※

 新型KATANAの設計は、フラスコリーニさんのデザインを忠実に守りながらもハンドリングや乗り心地などオリジナルからの脱却を目指して開発されたモデルのようです。新世代のKATANAは、今後カタナファミリーの一員として進化して行くでしょう。

【了】

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