銀幕を飾ったカスタム・バイク 1992年公開の“ハーレーダビッドソン&マルボロマン”に登場したハーレーFXRカスタムとは

アメリカのメーカー「ハーレー・ダビッドソン」製のバイクは、数々の映画で主演と共に登場し話題を集めてきました。

90年代初頭のハーレーブームに登場した映画“ハーレーダビッドソン&マルボロマン

 1984年にハーレー・ダビッドソンから登場した新しい内燃機「エボリューション・エンジン」は、シリンダーの材質にアルミを採用することで機械的なトラブルを大幅に軽減することに成功しました。

 文字どおり“進化”を果たしたハーレーが多くの人々に受け入れられ、90年代初頭よりひとつのブームを巻き起こしたのですが、まさにその真っ只中である1992年に映画 「ハーレーダビッドソン&マルボロマン」が日本で公開されました。

1992年公開の“ハーレーダビッドソン&マルボロマン”主演のミッキー・ローク(C)2014 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

 1969年公開の「イージー・ライダー」が興行収益6000万ドルを叩き出したことに対して、同映画は743.5万ドルと遠く及びませんが、現在50歳前後のカスタム・ハーレー好きの方にとっては大きな影響を与えた作品の一つといえるでしょう。

 その劇中で主演の“ミッキー・ローク”が走らせたカスタムバイクのオリジナルは、米国“Easy riders”誌の1997年5月号によるとカリフォルニアにあるハーレー・ディーラー“バーテルズで”Gene ThomasonとDave Fournier、Allan Barsiによって製作されました。

 後にミッキー・ロークは俳優仲間であり、全米プロ空手・マーシャル・アーツ王者のチャック・ジトー、Carefree Custom CyclesのJohnny McMichaelらと“Black Deth Motorcycle”を設立し、同じ仕様の完成車を販売しますが、映画に登場した“オリジナル”は、あくまでもバーテルズ製と考えて間違いないでしょう。

1992年公開の“ハーレーダビッドソン&マルボロマン”に登場したハーレーカスタム(写真はレプリカ)

 劇中に登場した“Black Death 3”と名付けられたカスタム・ハーレーのベースとなったのは1989年式FXRで、エンジンは米国のメーカーS&S製のクランクを使用し排気量を98キュービックインチ(約1640cc。ノーマルのEVOハーレーは80キュービックインチ・約1340cc)まで拡大。カムシャフトにバーテルズ・パフォーマンスBP40、キャブレターにはS&S製スーパーEを装着することで性能が高められています。

 ボン・ジョヴィの”Wanted Dead or Alive”が流れるオープニングシーンや基本的なライディングショットにはこちらの車両が使用されましたが、スタントシーンにはノーマルと同じ排気量のFXRが用意されたとのことです。

 フレームはリアに11-1/2インチ・幅1/2インチのリジッドバーを装着し、トップのマウント位置を2インチ前方に移動。この処置によってシートの高さが2インチ下げられています。

また、フロントはネック角をノーマルの29度から42度に変更した上でフォークを6インチ延長していますが、フォークのアウター部分にはスリットが刻まれ、スタイルが変更されています。当時、映画を見た人からは車両に装着されたフロントフォークがイタリアのセリアーニ製であると誤解を受けることがありましたが、こうした加工がその理由の一つに挙げられるでしょう。

 タンクはハーレーのソフテイル用に6インチのプレートを溶接し、一体化(ノーマルのソフテイルは左右分割タイプのタンク)。車体最大の特徴であるショートリアフェンダーを兼ねたシートベースは全長23インチ、幅13インチのスチール製ハンドメイドで、オレンジとイエローのパイピング処理が印象に残るシートはDon Crager製です。

 また、フレーム前方に備えられたフットコントロールはJB製、テールランプはCCI製ルーカスタイプ、6インチのハンドルポストには15度手前に角度がつけられたCalifornia Design製ドラッグバーをセットアップ。オープニングシーンで印象的な1カットを飾る“光るプラグコード”はクリアキン製となっています。

 ちなみにここで紹介する一台は東京のショップ、イージーライダースが劇中の車両を再現したレプリカなのですが、現在、廃版となっているスクリーミンイーグル製のブレーキローターと同型のパーツを一品物で製作し、1-1/2インチ径のマフラーの形状までも克明に再現されています。

 映画そのものの評価としては決して高いとは言い難い“ハーレー・ダビッドソン&マルボロマン”ですが、日本のハーレー・カスタム・シーンには大きな影響をもたらせた一台と言えるかもしれません。

【了】

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Writer: 渡辺まこと

ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。

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