歩行者も自転車もバイクと同じ交通社会の一員 大事な交通教育は日本と海外でどう違う?

クルマもバイクも自転車も、道路を利用するうえで守るべき交通ルールはたくさんありますが、それを知る機会や意識は日本と海外で違うようです。交通安全教育に詳しい教授にお話を聞きました。

日本の学校では交通教育をやっていないのか?

「家を一歩出れば交通社会の一員」と、一度は聞いたことがあると思います。クルマやバイクはもちろん、歩行者も自転車も、道路を通行するには複雑かつたくさんのルールが道路交通法などの法律によって定められています。

子供も自転車で道路を走れば「交通社会の一員」となる(イメージ)

 運転免許を取るときは、数十時限の教習や筆記試験を受ける必要がありますが、自転車は、年齢制限もなく子どものうちから運転免許がなくても誰でも運転できます。

 子供でも自転車に乗れば「交通社会の一員」でありながら、これまで日本では、子どもたちが学校で交通安全を学ぶ機会は、せいぜい年に1度くらい警察の交通安全教室が学校にやってくるか、親御さんから習う程度です。

 誰もが関わる交通社会に関して、学校の科目として教えた方がいいのでは? という気もしますが、こうした現状は変わらないのでしょうか?

 そんな疑問を、交通安全教育に詳しい大阪国際大学人間科学部人間健康科学科教授の山口直範氏に伺いました。

「日本の学校教育における交通安全教育は、“科”としては存在していませんが、生活安全・交通安全・災害安全の3つから安全教育が構成されています。現在、社会の授業で交通ルール、理科の授業で事故の衝撃、美術の授業で道路標識など、幅広い科目に渡る交通安全教育がはじまったところです」

 校庭に全校児童が集められ、道路を横断する際は「右を見て、左を見て、もう一度右を見て……」という話だけではなく、最近は交通安全に関して学校でも横断的に触れられるようになってきた、ということです。

 学校の理科や社会の科目の中で、理論なども含めて学ぶことは「交通社会の一員」としての意識が高まるきっかけとなりますので、普段からバイクも利用する身としてはとても歓迎すべき取り組みです。

ドイツの自動車専用道路“アウトバーン”(イメージ)

 日本の状況はわかりましたが、海外ではどうでしょう? 学校で交通安全の科目などはあるのでしょうか。山口教授は以下のように説明します。

「ドイツ(西ドイツ)では、1970年代後半から小学校の義務教育のなかで交通を学んでいます。これは交通安全だけではなく、子供の発達段階に応じて物流、土木、道路など幅広く学ぶことにより、交通そのものへの理解を高めています。さらに学校だけではなく養育者が責任をもって子どもに交通安全教育を実施し、1人の交通参加者として自立させてから小学校に通わせています」

 ドイツには速度無制限区間を設けた自動車専用道路“アウトバーン”がありますが、一般の人が普通に利用し、正常に運行されている背景には、こうした低年齢からの交通教育あるからこそなのかもしれません。

【了】

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Writer: 小林ゆき(モーターサイクルジャーナリスト)

モーターサイクルジャーナリスト・ライダーとして、メディアへの出演や寄稿など精力的に活動中。バイクで日本一周、海外ツーリング経験も豊富。二輪専門誌「クラブマン」元編集部員。レースはライダーのほか、鈴鹿8耐ではチーム監督として参戦経験も。世界最古の公道バイクレース・マン島TTレースへは1996年から通い続けている。

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