その構想はエンジンからはじまった!? ヤマハ「テネレ700」開発“実話”

ヤマハ新型アドベンチャーバイク「Tenere700(テネレ700)」は意外なところから開発がはじまりました。欧州では先行して予約受付中の新型車、日本への導入時期や販売価格も気になります。

このエンジンなら、純粋なオフロードバイクができる

 2019年に日本導入決定と発表されたヤマハ新型「テネレ700」。開発プロジェクトリーダーを務めたヤマハモーターR&Dヨーロッパの白石卓士朗さんは、スポーツネイキッドバイク「MT-07」(2014年新登場)も手がけた1人です。じつは、MT-07の開発当時からテネレ700の構想があったと言います。

2019年に国内導入が発表されたヤマハ新型アドベンチャーバイク「Tenere700(テネレ700)」に乗る筆者(松井勉)

「MT-07を手がけていた頃、このコンパクトでトルキーな並列2気筒、クロスプレーン、位相270度クランクのエンジンがあれば、テネレ700のようなバイクができる、そう思いました。オフロードが好きなので、ピュアに走れるバイクにしたい。

 テネレ700の開発中は“オフ車を作るんだ!”という意思で取り組みました。前輪21インチ、後輪18インチのホイールサイズも、オフ車ならほかに選択肢はないですよね。

 ABSもスイッチでキャンセル可能にし、トラクションコントロールもエンジン特性と車体を詰めれば不要なはず。とにかくエルゴノミクスは細身に、車重も軽く、と明快でした」

 ヤマハがリサーチしたデータでは、2014年当時、アドベンチャーセグメントのバイクにおける1000cc以下のモデルが占める割合は、1200ccクラスを加えた数のおよそ35%だったといいます。それが2018年には45%まで伸張し、今後もこのセグメントが伸びるだろうと見ています。

2014年に新登場したヤマハ「MT-07 ABS(2019年型)」

 ちなみに、元祖テネレ(1983年に登場した「XT600 Tenere」)が生み出したのは、オフ車の脆弱な部分をダカール・ラリー仕様のパッケージで補填することでした。そのぶん大きく重たくなりますが、その恩恵は計り知れないものです。現代のアドベンチャーバイクは、その路線で成長したともいえるでしょう。

 そしてテネレ700は、そのアドベンチャーバイク達よりもスリムで軽く作ることで、アドベンチャーバイク、デュアルパーパスモデルが持っている良い部分をミックスした存在ともいえるのです。

日本導入時期、販売価格が気になる

 2019年5月にスペインで行なわれたメディアローンチでは「日本でも生産、販売をする」というニュースがアナウンスされました。実際、それはいつで価格はいくらで販売されるのでしょうか? 日本から同行したヤマハ発動機の先進国営業部に勤める小谷野英治さんにうかがいました。

「Tenere700(テネレ700)」セラミック・アイス

「正直、現段階ではそれはまだお話できません。しかし、国内で販売をすることはお話したとおり決定事項です。

 ヨーロッパで販売するテネレ700は、ヨーロッパと日本で生産をします。テネレというブランドは36年の歴史を持ち、この700が投入されることで新たな展開を迎えます。

 すでにヨーロッパでは、WEBサイトで2019年3月27日から7月31日まで先行予約を受け付けており、その後ショップで契約を済まされたお客様には、先着順で7月以降デリバリーが開始されます。実際にショップで手に入るのは9月からの予定です」

 オンラインオーダーのメリットは、レギュラープライスの9699ユーロよりも割安な9299ユーロで手に入ることです。この価格も、日本価格を占う参考値になるのではないでしょうか。

「Tenere700(テネレ700)」コンペティション・ホワイト

 為替という係数を掛けると割高になりますが、MT-07の国内販売価格(税込)は77万7600円、XSR700が89万9640円(税込)となっています。

 価格を抑える。そのコンセプトもしっかり持たせて開発したと話す開発者達。発売日、価格を楽しみに待ちたいところです。

【了】

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Writer: 松井勉

モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

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