交換用バッテリーの採用で台湾一周も可能! ヤマハが新型電気バイク「EC-05」に込めたデザイン哲学とは
ヤマハモーター台湾は台湾のEVスクーターメーカー/Gogoro inc.(ゴゴロ)との協業活動で開発した新型電動スクーター「EC-05(イーシー・ゼロファイブ)」を8月1日より台湾で販売します。その性能はどれほどのものなのでしょうか。
交換バッテリーステーションを経由すれば台湾一周も可能
ヤマハモーター台湾は台湾のEVスクーターメーカー/Gogoro inc.(ゴゴロ)との協業活動で開発した新型電動スクーター「EC-05(イーシー・ゼロファイブ)」を発表。6月27日にプレスと一般ユーザー向け発表会を行い、その姿を初公開しました。

Gogoroが生産を担当する「EC-05」はGogoroの爆発的なヒットを支えた普及モデル「Gogoro 2」のプラットフォームを使用し、ヤマハが車体外装をデザインしたもので、ヤマハモーター台湾のディーラーで販売されるバッテリー交換式のEVスクーターとなります。そのため、台湾内に張り巡らされた1200箇所以上のGogoro用交換バッテリーステーションが利用可能です。
Gogoroの関連会社であるGogoroエナジーネットワーク社によって運営されるバッテリー交換ステーション「GoStation(ゴーステーション)」は、すでに台湾内で1200カ所以上が稼働中。Gogoro社は、ステーションを経由すれば、台湾一周も可能と発表しています。
とはいえ、「EC-05」は、モーター/バッテリー/シャシー/灯火器類といった車体を構成する基本骨格がGogoro社のEVスクーター/Gogoro 2と共通。シート下スペースやその開口部、シートベースも「Gogoro 2」用をそのまま使用しています。そうした制約のある中で、どうやってヤマハらしさをデザインしていったのでしょうか?

ヤマハによると同メーカーらしさを実現するにあたり、長くバイクとスクーターを開発することで蓄積したバイクメーカーとしてのノウハウと哲学をデザインに込めたと言います。ヤマハはこれまで、吸気/爆発/排気というエンジンのなかでパワーが生まれる行程を視覚化し、デザインに昇華させてきました。
また、そのパワーが路面に伝わり、車体を前に進めるというバイクを走らせるための基本構造も車体デザインに取り込んでいます。その例にもれず「EC-05」にも、そのデザイン・フィロソフィーを投入したそうです。
航続距離は最大150km。125ccスクーターと同等の加速性能を実現
具体的には、スクーターは動力源であるエンジンやモーターがボディ内に隠れてしまうため、その源をリアタイヤに置き換えデザインを構築。リアタイヤの駆動力がライダーを支えるように、シートに座るライダーの座面へと立ち上がるボディラインを形成しています。

そのキャラクターラインは、シート下でライダーを支えたところで、前へ向かうラインへと変化。その流れを受け止めたフロントカウルはジンベイザメの鼻先のように滑らかなラインを描きながら、前へと突き出ています。それらが連動することで、視覚的な車体の重心をあえて高い場所に置き、ヤマハらしい躍動感を生み出したというわけです。強いキャラクターラインを控え、緩やかな曲面と末広がりのシルエットで安定感を演出したGogoroとは、まったく違うアプローチなのです。
「EC-05」のシート下に装備された2つのバッテリーを使った航続距離は約150km。最高速は時速90kmで、3.9秒で時速50kmに達する加速性能を持っています。この数字は、ガソリンエンジンを搭載する、125ccスクーターと同等のパフォーマンスになります。
またシート下にはバッテリーとともに、キャップタイプのヘルメット約2つを収納できる25リットル容量の収納スペースを持ち、スマートキー・システムも搭載されています。Gogoro社が提供するバッテリーステーションはもちろんスマートフォンのアプリも利用可能。7月1日から予約受付がスタートし、8月1日より販売開始されるそうです。価格はNT$99,800で、他のEVスクーター同様、台湾政府からの購入助成金を受けることができます。
【了】
Writer: 河野正士
国内外問わず、幅広いフィールドでオートバイ関係の取材、 執筆活動を行う。オートバイ・メーカーのwebサイトなども担当しているため、繋がりも強く、事前情報などにも精通。
海外試乗会などにも積極的に参加している。