ヤマハ「YZF-R3」は軽自動車ベースの普通車のよう!? 排気量71cc 増しの恩恵は絶大だった!!

車体を共通とするヤマハのスポーツモデル「YZF-R3」(320cc)と「YZF-R25」(249cc)。前者は車検付きの小型二輪、後者は経済性に優れる軽二輪。ならば“R25”が有利と思われがちですが、“R3”の存在価値はとても大きいのです。

車体重量は、わずかに1kg増えるだけ

 クルマでも軽自動車をベースに、排気量の大きなエンジンを搭載したモデルが人気だと聞きます。普通車枠となってしまうと、高速道路代を含め維持費の違いは明確なはずですが、それでもあえて“走り”にこだわり、660ccではなく1.5リッターエンジンを積む上級モデルを選ぶユーザーも多いとのこと。

ヤマハ新型「YZF-R3 ABS」(2019年式)に試乗する筆者(青木タカオ)

「YZF-R3」に乗ると、その気持ちがわかる気がします。兄弟車として「YZF-R25」があり、見た目はほとんど一緒(車体重量は1kgだけ増えます)ですが、プラス71ccの恩恵がライディングで受けられるのです。

 スロットルレスポンス、停止してからの加速、追い越し時の力強さ、いずれもモアパワーがあり、走りに余裕が生まれます。高速道路での巡航速度にも差が出てくるでしょう。

 大きくなると、犠牲にしなければならないところも出てくるのがセオリーかもしれません。しかし、R25と車体サイズ(全長2,090mm/全幅730mm/全高1,140mm/軸間距離1,380mm)はまったく同じで、シート高(780mm)も変わりません。

ヤマハ新型「YZF-R3 ABS」(2019年式)

 優れる足着き性や250クラスならではの取り回し性の良さはそのまま、つまりマイナス面が本当にないのです。あるとすれば“車検付き”になってしまうこと、そのくらいではないでしょうか。

クラスを超えた本格派スタイル!!

 R3とR25は2019年で新型になったばかりで、“クロスレイヤード・ウイング”と呼ぶ立体構造のフェアリングはクラスを超えた本格的なものです。

ヤマハ新型「YZF-R3 ABS」(2019年式)に試乗する筆者(青木タカオ)

 もちろん空力特性の向上に重点を置いて開発されていますが、そういった性能うんぬんよりも、M字型ダクトやその上にあるゼッケンスペースなど、MotoGPマシン「YZR-M1」や長兄にあたる「YZF-R1」(排気量998cc)を彷彿とさせるデザインに惹かれずにはいられません。

 フロントフォークはアウターチューブをゴールドにしたインナーチューブ径37mmのカートリッジ式倒立フォークにグレードアップされていますし、スイングアームは左右非対称のテーパー形状と、足まわりもクラスを超えた本格的なもの。

 跨ってもムード満点で、ハンドルクラウンは肉抜き加工を施したアルミ鋳造製ですし、セパレートハンドルはレーシングマシンのようにトップブリッジの下にマウントされています。

 ただし、前傾ポジションがキツすぎることはなく、街乗りでもツーリングでも、疲れて嫌になることはありません。グイっとステーで持ち上げられ、グリップ位置は従来比で22mmほど下げるにとどめています。

身長175cm体重67kgの筆者がヤマハ「YZF-R3」にまたがった状態

 新設計のフューエルタンク&樹脂タンクカバーは、従来比で20mmほどタンクキャップ位置が盛り上がり、兄貴分であるR1やR6のスーパースポーツがそうであるように、ストレートで伏せやすく、そしてコーナー進入時にはブレーキングから車体の寝かし込み時のホールド性が高められているのでした。

 低中速トルクが太いだけでなく、高回転域の伸びでも勢いの良いR3。前後タイヤの接地感もより高いなど、1ランク上の走りを求める人なら、選んで損はないはずです。

 ヤマハ新型「YZF-R3 ABS」(2019年式)の価格(税込)は67万5000円です。

【了】

ヤマハ新型「YZF-R3 ABS」(2019年式)の詳細画像を見る

画像ギャラリー

Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

最新記事