トンネル内の照明はオレンジ? シロ? 時代とともに移り変わったワケとは

かつてトンネルの照明はオレンジ色が主流でした。しかし、最近では新設されたトンネルや大規模修繕を受けたトンネルでは白い照明を採用することが増えています。なぜ照明の色が変わったのでしょうか。

視認性に優れるオレンジ色の光

 トンネル内で見られるオレンジ色の光を放つ照明は、ガラス管に封入したナトリウム蒸気の放電を利用するナトリウムランプです。ナトリウムランプは、国内のトンネルに本格的に照明が設置されるようになった1960年代から採用されました。

オレンジ色に光るナトリウムランプを使用したトンネル照明

 初期の頃に採用された低圧ナトリウムランプは、現在でも一部トンネルで使われていますが、その後、1990年ごろからはより白色に近いオレンジ色の高圧ナトリウムランプが登場しています。

 人の目で見ることのできる“可視放射”の中で、赤色に次いで波長が長いオレンジ色(橙色)は、車両のフォグランプなどにも使われているように、光がよく通るため、排気ガスやちりで視界が悪くなっても高い視認性を発揮します。排気ガス規制がそれほど厳しくなかった1960年代当時のトンネルでは、煙やちりの影響が大きかったため、視認性は重要な要素のひとつでした。

オレンジ色に光るナトリウムランプ

 また、消費電力を抑えたナトリウムランプは、寿命も約9000時間と長く、経済性にも優れています。24時間点灯することが一般的なトンネル照明にとって省電力と長寿命は大きなメリットになります。さらに水銀灯のように紫外線に近い波長を出さないため、虫が寄りつきにくいという利点もあり、トンネル内の照明としても定着しました。

 一方で、オレンジ色の光が当たると赤色が黒色に見えることがあり、赤い外装色の車両が見えにくいという欠点もありました。そのため、トンネル内に設置している消火栓は蛍光色の赤で塗装しています。

主流は白色の蛍光ランプやLEDランプへ、背景には排ガス規制も

 長い間、トンネル照明の代名詞になっていたオレンジ色のナトリウムランプですが、2000年ごろから高速道路のトンネル照明に白色が導入されるようになりました。

白色のLEDランプを採用したトンネル

 これは、排気ガス規制が厳しくなったのに伴い、トンネル内の煙などが格段に少なくなり、オレンジ色にするメリットが薄まったためです。同時に、技術の進歩により、より自然光に近く、これまでのナトリウムランプと同様の省エネルギーを実現した照明の開発に成功したことも理由のひとつです。

 こうした中、専用インバーターを使用する蛍光ランプが登場しました。消費電力はナトリウムランプと同程度ですが、寿命は約1万2000時間と、低圧ナトリウムランプと比べて約30%長いというメリットがあります。また、赤色系外装色の車の視認性も改善されました。

 さらに2010年代に入ると、LEDランプの普及が進みます。路面が同じ明るさなら、LEDランプの消費電力は低圧ナトリウムランプの約3分の1、寿命は約10倍の9万時間になります。それらを踏まえ、新設のトンネルではほぼすべてがLEDランプを採用しているようです。

【了】

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