ヤマハ・ホンダ・カワサキワークスに挑むプライベーターの雄「ヨシムラ」 2019年の8耐にかける思いとは

10年ぶりの鈴鹿8耐優勝を目指す“ヨシムラ”は、強豪プライベーターとして国内外の多くのファンに知られています。そのなかでも一番の若手ライダーである渡辺一樹選手は、鈴鹿8耐についてどのような想いを抱いているのでしょうか。

10年ぶりの8耐制覇を目指す「#12 YOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACING」

 1978年に開催された第1回鈴鹿8時間耐久ロードレースで優勝を飾って以来、8耐のみならず数々のレースで栄光を勝ち取ってきたプライベーター「YOSHIMURA(ヨシムラ)」は、2009年以来の8耐制覇を目指し、チームを編成しています。

10年ぶりの優勝を狙う「#12 YOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACING」

 加賀山就臣選手/シルバン・ギュントーリ選手/渡辺一樹選手の3人のライダーで構成された「YOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACING」ですが、そのなかで最年少となる渡辺一樹選手に話しをうかがってみました。

――8耐に参加するのは今年で何回目ですか? また、最初に出た時の感想を教えてください。

 2012年が初めてで、今年で7回目になります。最初に出た年はJ-GP2クラス(600cc/4ストローク)で走っていて、8耐で初めて1000ccに乗ったので、フィジカル的にまったく足りてない感じでした。その点でチームには迷惑かけてしまったかなと思っていますが、チェッカ-を受けた時はホッとしましたね。

「#12 YOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACING」のライダー、渡辺一樹選手

 また、その時の1000ccに乗って当時としては速いタイムを出せたことがキッカケで、カワサキのメーカー系に入ることが出来たので、印象に残るレースではありますね。

――8時間走るのはつらくなかったですか? また、耐久レースの魅力はどんなところにありますか?

 つらかったです(笑)。個人的には耐久レースは好きじゃないんですよ。長くてしんどいところが(笑)。基本的に1周をいかに速く走るかが自分的に一番好きなものなんですが、スプリントレースって、一瞬の出来事なんですよね。もちろんチームやライダーとして積み上げて行く時間はあるんですけど。

 それが8耐となると、スプリントレースの何十倍という人の労力と時間が、1つのレースに全部詰まっているんですよ。言い方がキザかもしれませんが、いろんな人の気持ちを載せて走るというか。

 スプリントレレースは、ライダーが速く走りたくて走るっていう“エゴ”なんですよ。それが最終的に順位に繋がるんですけどね。でも8耐に関していえば、ライダーはひとつのコマでしかないんです。チームっていう枠の中にメカニックがいて、作戦立てる人がいて、っていうふうに。

 だからある意味でライダーは我慢しないといけない時間が増えるんですけど、それぞれの持つ役割があって、全員がちゃんと仕事をこなしてこないといけないんです。誰かがどんな小さなミスをしても、全部がガラガラと崩れてしまうっていうように、ひとりひとりに対する重みがすごくあるんです。だから耐久はレースが終わってある程度、自分たちの理想の形になったっていう時の気持ちよさが凄くありますね。まぁ、自分たちの目線もひとつの目線でしかないんですけど、それができた時に、一般の方と喜びを分かち合えるっていうのも魅力なんでしょうね。

――普段、参戦している全日本ロードレースのポイントランキングの結果にはまったく関係のないレースなうえに、ケガをするリスクも高いのに、8耐に参戦する理由はどこにあるのでしょうか。

 一個人、一ライダーとすれば、基本的に自分はバイクに乗っていればハッピーな人間なんで(笑)。ただ楽しくバイクに乗れる時間が増えた、やった! みたいなところが少しはあるんです。たしかにしんどいですけど、それよりも“楽しい”のほうが大きいですね。

名門「ヨシムラ」はどんなチーム?

――“ヨシムラ”ってどんなチームですか?

 過去にいろんなチームから8耐に参戦していますけど、プライベーターチームではありますが、規模としてはとてもそこの枠に収まるようなチームではなくて、加賀山選手の言葉を借りれば“ヨシムラ・ファクトリー”、“ヨシムラ・ワークス”っていう言い方もできるくらいのチームです。しかも、誰もが知っている“ヨシムラ”ですし。

「#12 YOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACING」のライダー、渡辺一樹選手

 鈴鹿8耐に第1回から参戦しているっていう意味でも、重みのあるところはあると思います。もちろんメーカー系に比べれば規模は小さいですけど、その分、ひとつの目標に対して全員で団結して向かっていく、っていう力は凄く強いように感じます。

――オファーの関係などもあると思いますが、なぜヨシムラから参戦しようと思ったんですか?

 先程バイクに乗っていれればハッピーという言い方をしましたが、やっぱりレースに出るなら勝ちを狙う、勝たなければ意味がない、というものがあるので、勝てる力を持っているチームの中で、たまたま吉村不二雄社長に会うタイミングがあって、その時に次のシートを探していますという会話の流れからトントン拍子で話しがすすんで。

――有名で歴史のある“ヨシムラ”というチームで何がしたいですか?

 どのチーム、どんな環境にあっても、ライダーとしてやるべき仕事っていうのは基本的に変わらないです。バイクがあってその能力を上げて、能力を使い切るのがライダーの仕事ですから。もちろんそれ以外の部分にやるべきことは多いですが、それに尽きると思います。当然、勝つことが目的です。

――8耐に来たことがない人に対して、このレースの魅力を伝えるならどう伝えますか?

 ディズニーランドって言ったら大げさですけど、遊園地やライブ演奏などもありますから、いろんな楽しみかたができる環境になっています。これからはますますそういう要素が強まるでしょうから、一度遊びにきて貰えればと思います。

※ ※ ※

 国内4メーカーのなかでは唯一ワークス体制で参戦していないスズキ製のマシンを使用する強豪プライベーター「ヨシムラ」の活躍に期待が掛かります。

【了】

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