日本の二輪車安全運転講習会は、規模世界一!?

全国各地で開催されている、バイクユーザーに向けた二輪車安全運転講習会をご存知でしょうか? その回数や活動のバックアップ体制など、世界的に見ても日本独特のようです。

日本では、二輪車の安全運転講習会が盛んに行なわれている

 熱い熱い鈴鹿8耐が終わるとその翌週、ライダーたちにとってもうひとつの熱い熱い全国大会が鈴鹿で行なわれます。

メーカーが主催する小学生を対象とした親子で参加する講習会も(ヤマハ親子バイク教室)

 ライダーの安全運転の技術を競う「二輪車安全運転全国大会」です。2019年も8月3日(土)、4日(日)の2日間にわたって、鈴鹿サーキットで全国の都道府県大会を勝ち抜いてきたライダーが安全運転を競いました。

 2018年から主催が日本二輪車普及安全協会に変わり、現在でも日本最大にして唯一の、バイクの安全運転大会です。

 さて、バイクの安全運転につながるスキルアップをめざす講習会。「そんなのどこでやっているの?」と思う人もいれば、「毎週のように受講している!」という人もいるでしょう。

 実際にはどれくらい行なわれているのか? ヤマハ発動機の安全普及推進本部・副本部長、宮本義信さんにお話をうかがいました。

「2018年は、4メーカー合計で約1500回開催され、約4万人が受講しました。また、日本二輪車普及安全協会主催のグッドライダーミーティング(こちらも安全運転講習会)は全国で140回開催され、約4000人が受講しました。

 このほかに、警察や自治体主催、二輪車用品店やジャーナリスト主催など、講習会やスクールは多岐に渡り、回数はなかなかつかめないほど全国各地で行われています」

メーカー主催の講習会も全国各地で開催されている(ヤマハ「大人のバイクレッスン」)

 たしかに、インターネットで検索してみると、とくに東京や大都市では盛んに講習会が開催されているのがわかります。また、警察署主催の講習会だと、その地域を対象としているためインターネットでは情報が出ていないこともあります。

 それでは、諸外国と比べて日本の二輪車講習会事情に特徴はあるのでしょうか。宮本さんによると、「日本の安全講習の最大の特徴は、警察や業界安全関係団体からの強力なバックアップ体制です。欧州をはじめ海外ではなかなかこのような体制はありません」とのこと。

 ドイツなどヨーロッパの講習会はどうなのかというと、高度なテクニックを追求する内容や、受講料が高額な場合が多く、日本のように初心者が気軽に受講できるという雰囲気は薄いように思います。

 そうは言っても、まだまだ講習会の数が足りているとは思えません。かつてのバイクのネガティブなイメージから、安全運転のための練習でさえ理解を得ることが難しく、練習や講習会ができる場所がなかなか増えないのも事実です。

女性ライダーに限定した講習会も(ヤマハ「大人のバイクレッスン」)

 二輪車安全運転指導員制度や大会など指導体系は整っていますから、安全運転講習会や大会を通じて、安全マインドを持ったライダーが着実に増えていくことで、名実ともに世界に誇れる日本のバイク文化になっていくことでしょう。

【了】

日本で盛んに行なわれている二輪車安全運転講習会とは?

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Writer: 小林ゆき(モーターサイクルジャーナリスト)

モーターサイクルジャーナリスト・ライダーとして、メディアへの出演や寄稿など精力的に活動中。バイクで日本一周、海外ツーリング経験も豊富。二輪専門誌「クラブマン」元編集部員。レースはライダーのほか、鈴鹿8耐ではチーム監督として参戦経験も。世界最古の公道バイクレース・マン島TTレースへは1996年から通い続けている。

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