なぜその数値? ヤマハ「MT-03」の排気量が目指すところとは!

ヤマハ「MT-03」は、排気量320ccの直列2気筒エンジンを搭載するネイキッドモデルです。ヤマハが展開する「MTシリーズ」のなかで、力強くて扱いやすい、親しみやすさが特徴となっています。

車重とパワーの絶妙なバランスに「走らせている感」が湧いてくる

 試乗前、リターンライダー目線でチェックすると、排気量が320ccというスペックは、どうしても中途半端な数値に感じてしまいました。実際に跨ってみても、以前試乗したMT-25となんら変わりはなく、その差を感じることはありません。

ヤマハ「MT-03」に試乗する筆者(金子陽一)

 しかし、エンジンをスタートさせるとアイドリング時の微妙な振動、所々でドコドコと聞こえてくる太いサウンドから、さすがにワンランク上の気配を感じます。

 そして走り出せば、そのトルク感、パワー感は低速からグワッと立ち上がり、排気量による違いの効果をガンガンと体験できます。

 それは十分に力強く、扱いやすく、パワフルで気持ちの良い全開感です。パワーを持て余してアクセルを開けられないのではなく、気持ち良くドンドンとアクセルを開けて行ける爽快感です。

 車重とパワー、そしてそのパワーの盛り上がり方のバランスが絶妙で、本当に扱いやすく気持ち良いです。

排気量320ccの直列2気筒エンジンを搭載する

 また、アクセルを開けていくときの、リアサスペンションの沈み込みを感じ取りやすく、力強いのに扱いやすいエンジンを武器に、カーブからの立ち上がりでジワーっとサスペンションを沈み込ませ、それをキープするようにアクセルを入れる。「リア荷重で最大のトラクションを作り出す!」というのも体感しやすいのです。これがまた面白く、自分でコントロールしている「走らせている感」が湧いてきます。きっとバイク自体のバランスも良いのだと感じます。

クルマで自分好みのハンドリングに似た印象に感動!!

 そしてコーナリングの印象も面白い! クルマはパワーステアリングを装備していますが、みなさんは「出来の良いパワーステアリング」という話を耳にしたことはありませんか?

心地よいコーナリングを体験させてくれるヤマハ「MT-03」

 これには好みもあると思うのですが、私の場合は真っ直ぐに走っているときにはハンドルにビシッとした手応えや重みにはこだわらず、むしろ軽くてもいいくらいです。でも、ハンドルを切りはじめたときに「ここから前のタイヤが動き出しましたヨ!」みたいなフィードバックを感じられるのが好みです。

 このMT-03のカーブでの第一印象が、まさはそれだったのです。「あっ、自分好みのパワーステアリング的な感覚だ!」と。

 車体が立とう立とうとはし過ぎない。だからハンドルは軽く感じます。しかしカーブでは「ひらりひらり」という言葉を良く聞きますが、その「ひらり」のスタートが感じ取りやすく、バイクとの一体感が増し始めるのです。

 不安な気配を感じることもなく「ひらりひらり」と連続的にカーブを曲がって行けます。これがまた抜群に気持ち良く、試乗中のコースを自然とカーブの多いところに変更していたくらいです。

ヤマハ「MT-03(2019年型)」

 走行したフィールドは比較的流れの良い場所ですが、あくまでも現実的なタウンスピード、市街地を本当に力強く、そしてスイスイと気持ち良く走れます。

 MT-03は、もちろん圧倒的な速さというモデルではないのですが、この車体にこのパワー、その扱いやすさ、そしてそれらのバランス。力強いのに全開にできる爽快感……。絶妙にまとめあげられた、ベストチョイスを感じさせる1台です。

【了】

ヤマハ「MT-25」と何が違う? 「MT-03」の詳細を画像でチェック

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Writer: 金子陽一

トップドライバーを目指し自動車レースに参戦。幾度かの資金難から挫折しかけたところをチューニングカー雑誌の編集部に拾われ、タイムアタック/レポートドライバーを担当。現在、それらの経験を活かし自動車ブランドが開催するドライビングレッスンのインストラクター、そして販売店スタッフ向けの研修トレーナーとしても活躍中。学生時代に乗っていたバイクからはしばらく離れていたが、近年、最新バイクの進化、またバイクを取り巻く最新アイテムの進化に感動しバイク熱が復活。大型自動二輪免許も取得。クルマで経験してきたセンサーを活かして「バイク」「ブランド」「アイテム」「こだわり」など、最新のバイク界をピュアな目線でレポートする。

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