クルマで言うところのSUV!? スズキ「Vストローム1000XT」は旅の相棒として評価上昇中!!

クルマで人気の「SUV(スポーツ用多目的車)」は、未舗装路や悪路にも対応しつつ、ロード性能や使い勝手も高められています。バイクなら「アドベンチャーツアラー」が相当するのかもしれません。スズキ「Vストローム」シリーズがまさにそれ。フラッグシップモデルに乗ってみました。

砂漠を越えるラリーマシンから発展

 その迫力ある大きな車体は、バイクに普段接する機会がない人なら圧倒されてしまうでしょう。全高1470mmですから、ウインドシールドのテッペンは小柄な女性の身長に匹敵しますし、容量20リットルの燃料タンクまわりはボリューム感があって、バイクの免許があっても操る姿を想像できる人は上級者に限られてしまうかもしれません。

スズキ「Vストローム1000XT ABS」に試乗する筆者(青木タカオ)

 もともとこのセグメントは、体格に恵まれる欧米のライダーをターゲットに海外メーカーが発展させ、そのルーツは世界一過酷なラリーと言われた「パリ-ダカール・ラリー」にもあります。

 砂漠を越えて突き進むビッグオフローダーたちをベースにした市販モデルたちは、長旅の相棒にもうってつけで「アドベンチャーモデル」あるいは「アルプスローダー」とも言われてきました。

 スズキも早い段階に参入しています。パリダカには1980年代半ばにファクトリーラリーマシン「DR-Zeta(ジータ)」で参戦し、そのDNAを受け継いだ「DR-BIG」を1988年に発売しています。

 BMW Motorrad「R100GS」やホンダ「アフリカツイン」、ヤマハ「テネレ」といったライバル勢が2気筒エンジンを搭載するのに対し、軽量な単気筒で勝負。「ビッグオフローダー」として、走破性に重点を置いていたのです。

伝統のスタイリングイメージを踏襲した“クチバシ”のようなフロントフェンダー

「DR750S」として1988年にデビューすると、1990年には「DR800S」へと進化。“ファラオの怪鳥”と呼ばれた「DR-Zeta」以来、クチバシのような形状のフロントフェンダーを踏襲し、それは現代の「Vストローム」にも受け継がれています。

常用回転域でトルクフル

「Vストローム1000」は2002年、海外向けモデルとしてデビューしました。90度Vツインエンジンを搭載し、オンロードでも快適かつスポーティな走りを実現。「ビッグオフローダー」ではなく「アドベンチャーツアラー」へと、舵を切ったのでした。

走破性と使い勝手を高めることで旅の相棒に

 これがヨーロッパで受け入れられ、2004年には「Vストローム650」も登場し、シリーズ化されます。2014年には国内ラインナップにも名を連ね、2017年のモデルチェンジで5軸慣性計測ユニット「IMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)」を搭載し、電子制御が進化します。

 今回試乗したのはフロント19インチ、リア17インチのクロススポークホイールを装備する「Vストローム1000XT ABS」(消費税8%込み価格144万7200円)です。

 縦型2灯ヘッドライトやブラックアルマイト仕上げの43mm倒立フロントフォーク、高さと角度調整ができる可変ウインドスクリーンや、リアキャリアまでフラットなリアシートなど、車体の基本構成は「Vストローム1000 ABS」(消費税8%込み価格140万4000円)と共通ですが、「XT」では堅牢なテーパーハンドルバーとなります。

チューブレスタイヤも装着可能な構造のクロススポークホイールを採用

 排気量1036ccのDOHC4バルブエンジンは常用回転域で力強く、スロットルレスポンスもシャープです。最大トルク100Nm(10.2kgf・m)を4000rpmという低い回転で発揮するようセッティングされ、高速道路を100km/hでクルージングするとトップ6速で3600rpm。エンジンの気持ちいい領域が、現実的なスピードレンジで使えるのです。

 もちろんDOHCらしく、高回転域でも伸びのある吹け上がりを見せ、トップエンドでもパワフルそのもの。実用性や使い勝手の良さから欧州では高評価を得ていますが、それだけではありません。獰猛なところもあり、エキサイティングな走りが楽しめます。

日本でも高まりつつある「Vスト」人気!!

 フロント19インチ、リア17インチのホイールサイズは、軽快でクセのないハンドリングでワインディングも得意です。軽量10本スポークのアルミキャストホイールを装備する「Vストローム1000 ABS」より3kgほど車体重量が増える「Vストローム1000XT ABS」(233kg)ですが、しなやかな乗り心地で前後タイヤの接地感もしっかり伝わってきます。

スポーティな走りにも応えてくれる「Vストローム1000XT」

 トラクション性能に優れる上に、視線が高くゆったりと乗れるから、不安なくアクセルを開けられ、かなりのハイペースでコーナーを駆け抜けていけるのです。

 淡々と高速巡航を続けるのも得意ですし、山岳路ではエキサイティングな走りが楽しめます。

「アドベンチャーツアラー」へのスズキが出した答えは、たしかに名案としか言いようがありません。欧州に続き、日本でも認められるときがきました。

【了】

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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