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その時白バイ隊員は微笑み、懐をポンポンと二度たたいた!! ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.17~

CMの撮影は深夜0時まで続き、翌朝の現場への移動距離は350km!朝までに着くはずは無いと思われた時、タイの白バイ隊員は先導を申し出てくれた!

深夜の強行軍、救ってくれたのは白バイ隊員だった!

 先週に引き続いてまたまた「タイランドの白バイ」ネタでお許し願いたい。というのも、CM撮影のための公道封鎖で、警官のユニフォームを脱ぎ捨ててしまったその白バイ隊員とのコミュニケーションはそのあとにも続きがあるからである。

 そう、白バイ警官がユニフォームをアルバイトスタッフに貸し与え、「これで警官が二倍に増えた」と、ほくそ笑んだのは先週の報告だが、その警官がその晩にも大活躍してくれたのである。

交通整理をするタイの警察官 ※イメージ図

 CM撮影は陽が暮れるまで続いた。香盤表どおり時間内に撮影が終わるなど、天地がさかさまになってもありえない。撮影監督は、時間の許す限り撮影したがるし、誰かが文句をいうまでフィルムを止めようとしないのである。だから、撮影がバラシになったのがすでに陽が落ち、時計の針がてっぺんを超えた深夜0時である。

 とまあ、そんな時間ならばロケでは珍しいことではないのだが、僕らは翌日のロケ地に向けて陸路移動しなければならなかったからタイヘン。
 
 移動距離は350km。タイには路面の整った高速道路など発達していない。ひたすらに下道を走らねばならない。深夜ゆえに流石に道は空いているとはいえ、陸路をテケテケと移動したのでは、到着は朝になってしまう。気が滅入ったのである。

 だがしかし、我々には心強い用心棒がいたことを思い出して気が晴れた。というのも、例の、とっても、現金を貰えるクライアントに対して柔軟な対応の白バイ巡査が、先頭走行してくれると申し出てくれたのだ。

「ついてこいよ。信号なんて全部青だぜ~、ダハハ」
 100%意味不明のタイ語ゆえに、果たしてそう叫んだのかはともかく、犯罪を犯したわけでもないのに、警官先導の元に移動することになったのである。

2台の白バイが先導し、ノンストップで次の現場まで誘導してくれた ※イメージ図

 赤色灯を煌々と回転させ、ウーウーとサイレンを鳴らした2台の白バイが我々の先頭を走る。渋滞があれば、花道をこじ開け、赤信号に進路をふさがれれば無視し、周囲を威嚇しつづけ、ノンストップの隊列走行を続けたのである。本来なら5時間はかかるところを、わずか3時間ほどで着いてしまった。
 
 おそらくこんなVIP待遇は、天皇陛下かトランプ大統領くらいのものであろう。もしくは凶悪犯の護送だけに違いない。どちらと言えば後者になろうが、断じて言えるのはまだ犯罪歴はない。なのにノンストップ護送が許されるのは何かのカラクリがあるに違いない。なんらかの金銭が動いたとしか考えられないのである。だけど、真相は闇のなか。誰も口を割らないからだ。

 ただし、僕はその瞬間を見逃さなかった。去り際の白バイ巡査が、こっちに向かってニヤっと微笑み、懐をポンポンと二度たたいた。

【了】

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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