「ブップーで免許取り消し」クラクションが鳴らない中国の街は実際おそろしい! ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.21~
無灯火無音で夜道を右往左往する上海の電動スクーターたち。以前は、クラクションを街中で鳴らしまくるバイク・クルマは今や無音の状態になりました。その理由は?
クラクションを鳴らさないその理由とは?
先月の上海出張での体験コラムの評判があまりに良かったので、2匹目のドジョウを狙って上海ネタであることをお許しいただきたい。
上海が電動バイク99.9999%(キノシタの感覚調べ)であり、無音で忍び寄るから危険だよ、って話にくわえて、理由なき無灯火走行を続けていることを紹介したのは前々回のこのコラムである。

さらに付け加えるならば、彼等はクラクションを鳴らさないのである。エンジン音がしない電動バイクを走らせながら、ライトを消して闇夜に紛れている。それだけでも十分に危険なのに、それにまして、クラクションにも指をかけない。
ひたすら気配を消したまま、スッーと忍者のような静けさで駆け回る。忍者が音をたてずに走るように、無音のままバイクが右からも左からもやってくる。

かつての中国のイメージは、けたたましいクラクションの世界である。交通法規があるのさえ疑わしいほど、交差点では四方八方からクルマやバイクが突進してくる、といった後進国特有の流れが中国に抱いていたイメージだ。
Uターンや逆走はあたりまえだし、信号無視も少なくない。クラクションを鳴らしてさえいれば相手が譲ってくれる、という自己中心的指向によって平和が保たれていた。
だが、その頼みの綱であるクラクションの響が聴こえないのである。だから街は、静まりかえる。不気味に静かなのである。
♪プップー♪とやってくれたほうが安全なのに、である。
なぜ上海人がクラクションを鳴らさなくなったのか。その理由は明確である。
♪プップー♪とやると刑務所に収監させるからである。
ギョエ……。

上海は監視社会である。街のいたるところに監視カメラがあり、きわめて高性能な画像認識技術によって、個人の行動が管理されている。そんな高度な技術を支えに、クラクションを鳴らせば、免許証にキズがつく。
人♪プップー♪ で3点の減点だという。日本でも同様に累積によって免許停止や取り消しになるのと同様の仕組みで、反則が合計12点に達すると、運転資格が剥奪されるのだ。
あのがさつな中国を近代国家にさせようとの志は認めるけれどね。
「ブップーで免許取り消しとはね」
おっかね~国だなぁ。
【了】
Writer: 木下隆之
1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。


