「首都高都心環状線」「名古屋高速都心環状線」「阪神高速1号環状線」それぞれの特徴とは?

東京都の「首都高速道路都心環状線」、愛知県の「名古屋高速都心環状線」、大阪府の「阪神高速1号環状線」は、ゲームやマンガの題材、舞台になったこともある有名な環状線です。それぞれどのような特徴があるのでしょうか。

代表的な都心環状線について考えてみる

 ゲームやマンガの舞台になった代表的な都心環状といえば、東京都の「首都高速都心環状線」、愛知県の「名古屋高速都心環状線」、大阪府の「阪神高速1号環状線」が有名です。

芝公園(提供:首都高速道路株式会社)

 文字通り“環状”になっていていることや、都心部へつながる幹線が集まることなど、これらの都心環状よく似た存在です。また観光的な面として、城の近くという特徴もあります。
 
 しかし、バイク2人乗り禁止区域や、内回りと外回りの存在する首都高速都心環状線に対して、一方通行を採用する名古屋高速都心環状線と阪神高速1号環状線との違いが存在します。

 それ以外にも大きな違いはあるのでしょうか? それぞれの特徴について考えていきます。

「首都高速都心環状線」(東京都)

 東京都にある皇居(旧江戸城)を中心に作られた首都速高都心環状線(以下、首都高速)は、内回りと外回りが設定されています。

「浜崎橋JCT」(提供:首都高速道路株式会社)

 首都高速は、1962年に現在の首都高速の一部に含まれる「京橋」と「芝浦」間の上下線が開通しました。上下線があることからも分かりますが、元から内回りと外回りを作る思想で完成しました。

 首都高速は今後も一方通行を採用しない方針です。コスト的な理由として、一般道と進行方向が逆となり利用できない出入口ができてしまう、さらにJCT(ジャンクション)部分の改良や付け替えが必要になる事が挙げられます。

 また、交通の流動性に関する理由もあり、一方通行にすることによって現状と比較して走行距離が長くなる場合があること、結果として交通量が増え、想定する交通容量が超過するおそれがあるため、としています。

 左右からの合流で運転しにくいとされる首都高速には、1週14.8kmの間に13か所の出入口が設置されています。それらの出口も内回りのみ設置や、入口のみ設置といった場所も多く、JCTもあわせれば平均して1km以下の間隔で出入口や分岐が目前に出現することになります。

「銀座」の内出口と外入口無し版(提供:首都高速道路株式会社)

 また、他の環状線と異なり直線区間はほぼ無く、複数の曲線で構成されるトンネルや東京都千代田区銀座付近の橋脚区間、カント(道路のバンク角)のきついカーブなど、バイクにとっては慣れていても走りにくい場所が多くあります。

 また道路の継ぎ目もカーブの途中に設置されている場所や、高架部分となる形状も複雑でその間隔も比較的短く、東京都港区の首都高速汐留付近の一部では、路面の継ぎ目が数十メートルかけ道路を斜めに横断している場所もあり、バイクが苦手とする道路環境が多いことも特徴です。

「名古屋高速都心環状線」(愛知県)

 名古屋城の南側に作られた名古屋高速都心環状線は、右回りの一方通行です。当初の都市計画では上下線を2層に分けた構造で考えられていました。

 しかし実際は大型化、複雑なJCT構造、多額の費用の観点から、昭和51年に構造の簡素化や工事費の削減を目的とした1層一方通行案に変更され、現在の道路形状にいたっています。

 名古屋高速都心環状線が右回りの理由として、日本の道路が左側通行であることとしています。右回りにすることで、一般道への分合流が比較的簡単に行なえる構造となります。左回りにすると分合流で大きく道路をまたぐ必要があり大規模な構造・工事が必要になるからとしています。

 3つの環状線の中では「4つ直線」と「4つカーブ」で構成され比較的簡素とも言える名古屋高速都心環状線には、1周10.3kmの間に5カ所の出入口が設置されています。「名駅」入口と「錦橋」出口は距離が近いですが、別名の場所や首都高と同様に出入口のどちらかしかない場所もあります。

 しかし、出口の4カ所のうち3カ所が右側、入口3カ所全てが左側、JCTも左側は放射道路、右側が環状線と、右回りの特徴を活かしたわかりやすい構造になっています。

 また、入口の3カ所が名古屋城の南西側へ集中しているのも特徴で、おおよその走行パターンが固定され、ルートを想像しやすい構造になっていると言えるでしょう。

「阪神高速1号環状線」(大阪府)

 大阪城の西側に作られた阪神高速1号環状線も、右回りの一方通行です。唯一この環状線は2本の短絡可能な分岐があり、環状線ではありますが移動距離を短くすることが可能な構造になっています。

阪神高速1号環状線の空撮写真(提供:阪神高速道路株式会社)

 阪神高速環状線は多くの交通量を処理するため、ランプの構造の簡略化、放射道路とも簡単に接続する思想で作られたため、一方通行で作られました。

 一方通行の理由として、内回りと外回りがあると出入口はそれぞれ必要になり倍になること、分岐の際も同様で、民有地の買収や工事費用の増加があらかじめ想定されていたからです。

 また、車線を3車線や4車線と増やすことで、分岐でもスムーズに走行できる車線を増やし、円滑な走行が可能としています。

 阪神高速1号環状線は3つの環状線の中で唯一、大きな環状ルートの間に2本の短絡可能な路線が通っています。したがって5種類の周回ルートが存在する環状線でもあります。最短ルートや渋滞を避ける方法として有効活用できると言えます。

 また、10.3kmの間に13カ所の出入口がある阪神高速1号環状線は、入口と出口が同じ名称の場所が2カ所のみとなります。その他は入口のみが6カ所、出口のみが5カ所(右側出口1カ所)で各々名称が与えられています。

 基本の構造は名古屋高速都心環状と同じですが、「西船場JCT」と「東船場JCT」、「高津JCT」と「湊町JCT」では右からの合分流があります。したがって、平均1km以内に出入口やJCTが設置されている点は首都高速都心環状線と似た特徴で、一方通行、広い車線、四角に近い形状などは名古屋高速環状線と似た特徴と言えます。

それぞれの違い

 首都高都心環状線と阪神高速1号環状線は、道路の流れに関して真逆の手法で道路が作られています。また、名古屋高速都心環状線は計画変更で一方通行化されたりと、同じ役割を果たす目的で作られた道路ですが、考え方が大きく異なります。

 しかしその一方で、分合流の間隔や位置、環状線の路線形状など、互いに似た特徴を内包しているとも言えます。

 この似て非なる環状線を不安なく走るために、前もって道路の特徴を知っておくことをおすすめします。

【了】

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