災害時に役立つバイクはオフロード車? それとも……

災害時には小回りがきく二輪車が役立ちます。壊れた道路を走破できるオフロード車は自衛隊をはじめ様々な機関で導入が進んでいます。しかし、一般市民にはもっと役立ったバイクがあります。

災害で活躍する二輪車

 災害と二輪車には密接な関係があります。災害で多くの人を救う自衛隊は現在、偵察用に使用するバイクとしてカワサキ「KLX250」を採用しています。2001年以前はホンダ「XLR250R」も採用されていました。これは、バイクの燃費・機動力・走破性を活かして行動範囲を広げ、迅速に成果を得るためとしています。

自衛隊が偵察用に使用するオフロードバイク。バイクならではの燃費・機動力・走破性をいかし活躍しています

 このようなオフロードバイクは、警察、消防、国土交通省、一部の自治体と東京メトロなどの機関でも積極的に採用され、ヤマハ・セローなどが使われています。災害時の機動性の高さは、自衛隊の活動において1995年の阪神淡路大震災の際に障害物が多く四輪車で6時間かかった道のりを、2時間で走行した事例もあるとしています。

 また、日本二輪普及安全協会では、災害ボランティアバイクネットワークとして活動の拡大を目指しています。この活動では家屋の倒壊状況や、ライフライン、医薬品の運送といった救援活動の支援を行っています。

思いもしない、災害時に活躍したバイクとは?

 ボランティア団体などで実際に役に立ったバイクは意外な車種で、オフロードバイクと異なり、荒れた路面には向かないとされるスクーターやビジネスバイクだったといわれています。

荒れた路面には向かないとされるスクーターやビジネスバイクも災害時に貢献しているようです

 これらの車種が活躍した理由は、小型の車体のおかげで、取り回しの良さや、軽量であることで燃費が良く、災害時の物資が限られた状況での需要にぴったりと合っていたといえます。 

 また、ホンダ「スーパーカブ」やヤマハ「メイト」といったビジネスバイクも同様の理由に加え、手動変速による力強い走りや、本来持っている耐久性などが役立ったのかもしれません。また、安全上は決して推奨できない行為ですが、荷物を持って片手でも運転できるように作られた車体が、非常時の運搬に活かされた可能性もあります。

 しかし、これらのバイクが活躍できた理由として、日頃の道路整備も忘れてはいけません。道路舗装率の高い日本では、災害があったとしても道路の舗装が残っており、オフロードを想定していないバイクが利用できたのもこのためではないでしょうか。

災害時こそ安全に注意した走行を

 災害時は通常に比べ落下物が多く、危険が潜んでいることがあるため、バイクは舗装率が高くても災害時に安心して走行ができるわけではありません。

災害時にバイクで走行すると先行車がまき上げたゴミが自車に飛んでくるなどの可能性があるため、車間をあけて走行することが重要です

 バイクで災害時の道路を走るときに注意すべきことは、先行車両が通ったタイヤの跡を走ることや、不用意に水たまりを通過しないことといった基本的なことのほか、車間をあけて走行することです。

 落下物が多い道路で車間を詰めて走行すると、先行車がまき上げたゴミが自車に飛んでくる可能性があるほか、先行者が突然避けた落下物を避けきれない可能性があります。こればかりは車間をあける以外の対策はありません。

 比較的災害に強いバイクですが、より安全に走行することが二次災害の抑止になり、早期の復興に役立つかもしれません。

【了】

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