真っ赤なボディのヤマハ「シグナスX」 軽快な乗り味が魅力の原2スクーター

通勤・通学の移動手段としてだけでなく、自転車代わりにコンビニへと日常の便利な足として活躍する原2スクーター。ヤマハの代表格と言えば「シグナス」シリーズです。2004年に初代が登場した「CYGNUS-X」は、いまや4代目。製造はヤマハモーター台湾で行なわれています。

いぶし銀の存在が、昨今はクラスを牽引

 街でよく見かけるピンクナンバー。道路交通法で普通自動二輪(小型)に区分され、最高速は時速60キロまで。つまりクルマや大きなバイクと同じ制限速度で走り、50cc以下の原付1種のように二段階右折をしなくて済みます。

ヤマハ「シグナスX」に試乗する筆者(青木タカオ)

 高速道路は走れないものの2人乗りが可能で、任意保険ではファミリーバイク特約が使えるなど経済性に優れるのも人気の理由です。

 というわけで、激戦区となっている原2スクータークラスですが、スポーティさで勝負するのがヤマハ「CYGNUS-X(シグナスX)」(前後12インチホイール)です。このカテゴリーにヤマハはなんと5機種もラインナップしていますが、シグナスXは走りを重視する人にオススメと言えるでしょう。

 ヤマハのスクーターは昔から走りをウリにし、ティーンエイジャーらに人気を集めたJOGを50ccクラス(80や90ccも存在した)の主軸に構え、原2クラスにアクシス(50や90cc)やグランドアクシス(100cc)、そして125ccにシグナスという布陣を敷いてきました。

ヤマハ「シグナスXC180」(1982年)

 初代「シグナスXC180」は、スクーターと言えば50ccクラスでしか売れなかった1982年に、4ストローク空冷OHV171ccエンジンを搭載し、フロント片持ちサスペンションという異色モデルとして登場します。過熱していくレーサーレプリカブームのさなかに軽二輪枠でデビューするという果敢さでしたが、セールスは不調のまま終わります。

 片持ちのフロントサスペンションをやめ、排気量が125cc化された1984年以降は、とくに注目されることなくコツコツと実績を積み重ね、いぶし銀の魅力がありました。近年の原2スクーター人気とともに存在感が強まり、現在に至っています。

 ちなみに2016年からヤマハのラインナップには「NMAX」(前後13インチ=32万5000円)が加わり、シグナスは125ccスクータートップの座を譲りました。「BW’S125」(前後12インチ=30万5000円)や「トリシティ125」(LMW=38万5000円/ABS42万円)は派生機種という位置づけで、主軸モデルは上級がNMAXやシグナス、低価格路線に「アクシスZ」(前後10インチ=22万5000円)というラインナップになっています。
※価格表記は税抜き

アクシスZより落ち着いた安定感ある走り

 前置きが長くなりましたが、最新版シグナスXに乗ってみると、加速の良さに感心させられます。都会ならクルマの流れをリードするのは容易く、ピークトルクを発生する6000rpmを過ぎてもまだまだ元気と言わんばかりに加速を続けてくれます。

スポーティなスタイリングにサイドスタンドとセンタースタンドを標準装備

 アクシスZと同じ空冷SOHCエンジンながら4バルブ化され、高回転域まで元気よく回り、最高出力9.8PSはアクシスZの8.2PSを上回り、ワンランク上の余裕ある走りが味わえるのでした。

 また、前後10インチでこぢんまりとしているアクシスZに比べると、前後12インチの車体はゆったりとしていてハンドリングも落ち着いている印象です。前後サスペンションもよく働いて、車速が上がったときの快適性や安心感は、やはり12インチモデルに軍配が上がります。車体サイズは全長1890mm×全幅690mm×全高1120mmで、アクシスZ(同1790mm×730mm×1145mm)より長く、直進安定性や衝撃吸収性に優れています。

軽快感はライバルのホンダ「PCX」に勝る

 ライバルとなるのはホンダ「PCX125」(31万7000円・税抜き)ですが、前後14インチの大らかなハンドリングと比較すると、より軽快でシャープにキビキビ走る印象です。車両重量は11kg軽く、ホイールベースも10mm短い。取り回し性や俊敏性に優れ、そのあたりはヤマハらしさと言えるでしょう。

ホイールとリアサスペンションスプリングも車体同色のレッドにペイントされアグレッシブな印象を強調

 装備面を比較すると、ヘッドライトはシグナスXもPCX125もLED式で、メーターは液晶マルチファンクションパネルです。シート下のトランクはシグナスXが約29リットル、PCX125は28リットルとほぼ互角です。

 PCX125はスマートキーシステムを採用していること、シグナスXはリアブレーキをディスク化している点でそれぞれリードしています。豪華装備で勝負のホンダ、走り重視のヤマハといったところでしょうか。

 あとは好みの問題でしょう。シグナスXは足元がフラットなステップスルーで、フットボードが広々として開放感があるのもアピールポイントのひとつになるかもしれません。エッジの効いたスタイリッシュさがありながら、トラディショナルな側面もあって安定した人気があるのも頷けます。

フロントポケット付近に燃料給油口を配置し、可動式コンビニフック、12VのDCジャックを装備する

 日本や台湾のスクーターレースでも活躍し、排気量アップキットなどアフターパーツも豊富に出揃っているのも魅力と言えるでしょう。

 ヤマハ「シグナスX」の価格(消費税10%込み)は33万5500円です。

【了】

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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