まるで廃墟化している未完成のトンネル入口 計画道路建設「権太坂和泉線」とは?
神奈川県横浜市「東戸塚駅」(横須賀線・湘南新宿ライン)の北西方向にある湘南医療大学付近には、作りかけのトンネル、通称「上品濃トンネル」があります。道路からも見えるトンネル入口は、一体どこにつながり、いつ完成するのでしょうか?
どこをつないでいる? 未完成のトンネル
神奈川県横浜市戸塚区上品濃の湘南医療大学付近、マンションが立ち並ぶエリアの地下には、作りかけのトンネルの入口があります。

通称「上品濃トンネル」と言われ、正面の道路からもよく見えることから付近ではよく知られた存在です。
トンネルはほぼ完成してどこかにつながってるようにも見えますが、じつはこのトンネル、横浜市では3本の環状道路と10本の放射道路を重点に道路整備を進めているなかのひとつ、都市計画道路「権太坂和泉線」の一部となっています。
放射道路のひとつ、都市計画道路 権太坂和泉線
権太坂和泉線は、横浜市が重点的に整備する3環状10放射道路のひとつで、保土ケ谷区狩場町を起点に、泉区和泉町を終点とする延長約9.6kmの道路です。

具体的には箱根駅伝で知られた国道1号「権太坂」付近を起点として、県のトンネルを経由して戸塚区名瀬町を結びます。さらに、その先の泉区新橋町の「新橋町西田橋」交差点から終点の泉区和泉町「かもめパーク入口」交差点までの「和泉地区」は2018年に完成しています。
和泉地区の完成により、周囲の混雑状況の調査結果では交通渋滞が減り、一部交差点で発生していた渋滞も、開通後はほぼ解消しました。一帯ではバスも定時運行が確保され、トラック、乗用車、そして公共交通機関の円滑な運行も確保されました。バイクでの走行も、渋滞が少なくなくなることで、より安全な環境になったと言えます。
一方で、いまだ事業化も行なわれてないところもあり、進展が見られないのがトンネルを含む権太坂和泉線の東側です。
トンネルだけ先に掘ってしまった
現在、権太坂和泉線は名瀬・岡津地区が事業化されて進展していますが、上品濃のトンネルを含んだ区間は都市計画道路とはなっているものの、まだ事業化もされておらず、着工時期や開通時期が見通せる段階に至っていません。
トンネルだけ先に作った理由は、トンネル周囲にあるマンションの完成後にトンネルを掘ることは困難なので、付近の開発時に先行し、途中まで掘ってしまったということが未完成トンネルが存在する真相と言えます。
開通には時間がかかりそう
これらの整備が進む道路は、機動性に優れたバイクでも移動に時間のかかるエリアです。都市計画どおりに進めば地域住民の移動のみならず、湘南や横須賀方面のツーリングやドライブに大きな変化をもたらすといえます。

その反面、通行量が増えて騒音や事故などのおそれもあります。用地買収や工事予算の確保といった問題のほか、環境悪化から反対する意見もあり、開通までには時間がかかりそうです。
【了】