車重200kgオーバーでもイケる? ホンダの最新アドベンチャーバイク「アフリカツイン」のオフロード性能とは

2019年10月に新型が発表されたホンダのアドベンチャーバイク「アフリカツイン」をオフロードコースでテストしました。

車重200kgオーバー、狭いオフロードコースで楽しめるのか?

 ホンダのアドベンチャーバイク、新型「CRF1100L Africa Twin」(以下アフリカツイン)をオフロードコースで走らせました。

ホンダ「CRF1100L Africa Twin DCT」に試乗する筆者(松井勉)

 キープコンセプトとも言えるスタイルながら、より軽快でスポーティ、オフロード性能を予感させるため、リアキャリアをオプション化し、長さを詰めたウインドスクリーンの装着などにより、見た目の印象でモデルの明確なポジショニングを演出しています。

 最初に跨がったのはクラッチ操作を必要としないDCT(Dual Clutch Transmission:デュアル・クラッチ・トランスミッション)タイプです。

 ローダウンサスペンションを装備したテスト車両は、ステップ、ハンドルバー、シートの位置は標準モデルと同様ながら、足つき性を向上させる目的でサスペンションストロークを短縮化しています(フロント185mm/リア180mm)。

 エンジンを始動すると、滑らかでスムーズな回転ながら、パルス感のある排気音で力感を届けます。質感をあげたエンジンにまずニヤリ。DCTのセレクターで「D」を選び、アクセルをじわりと開けると今まで以上のスムーズさで動き出します。

 ステップに足をのせ、タンクを太ももで包んだ時、ライダーとのコンタクトエリアが細身になっているのが解ります。そう、新型は感覚でも触覚でも、走り出したとたんにライダーへ一体感を伝えます。

ホンダ「CRF1100L Africa Twin DCT」

 ライディングモードは「グラベル」を選択。林道などを走るのに適したモードです。コースの一部は朝の冷え込みでできた霜柱が溶け、ややスリッピーな部分もあります。連続するギャップも多く、車体重量が200kgオーバーのバイクには厳しい路面と言えます。

 しかしアフリカツインは、こうした場所でも想像以上に楽しめます。パワーアップはしたものの、少ないアクセル開度で引き出せるトルクの厚みが、狭いターンの連続でもバイクとの一体感をしっかりキープします。

 新しいフレームと軽量化の効果でしょうか、ハンドリングは自信を持ってターンへとアプローチし、脱出加速を楽しめます。路面を捉える感覚、滑り出す感触もわかりやすいので、ライディングに不安がありません。

 ペースを上げ、DCTが自動変速する「D」モード、もしくはよりスポーティな走りに適した「S」モードのうち、レベル「1」から「3」を選択します。「MT」モードではシフトアップもダウンもライダーが操作することになるので狭いコースでは忙しいのですが、「AT」モードの中で回転を維持するSモードで走れば、ハンドルのシフトスイッチから「-」(ダウン)だけを操作すれば、ライン取りに集中できます。

ホンダ「CRF1100L Africa Twin DCT」

 走り込んでみて解るのは、バイクとの触感から来る一体感も手伝って、まるでバイクが一回りコンパクトに感じることです。

 新型のDCTは、シフトダウン時のブリッピングに刺激度が増しています。シフトダウンの瞬間「ヴァウン!」と高まる排気音に気持ちも昂ぶります。

 ローダウンモデルながら小ジャンプの連続や大きなギャップ以外で走りに不満はありません。むしろ重心の低さから安定感ある走りを享受できる……が、そのストロークを使い果たした瞬間はガツンと来ることもお忘れ無く。

 ライディングモードを「グラベル」から新たに装備された「オフロード」へとシフトし、トラクションコントロールのパラメータを介入最弱にしてみました。旋回中にアクセルを開けるとテールがパワースライドして向き替えに一役買ってくれます。

 電子制御が入りながら、と言うより味方に付けて、オフロードのダイナミックさを充分に味わえます。また、フロントブレーキのABSもかなり攻めた設定で、通常のように丁寧にフロントフォークに荷重を載せ、減速を引き出す基本に忠実な走り方をすれば、ABSはなかなか顔をだしません。それでもいざというとき、減速感を切らさぬまま安定感を保持してくれるので、頼りになる装備だと感じました。

排気量を1082ccに拡大させた水冷直列2気筒OHC4バルブエンジン(DCTタイプ)

 注目のスタンダードサスペンションのモデルに乗り換えます。車高は高くなりますが、その分こちらはペースを上げても吸収力に余裕があり、連続ギャップも底付きの不安がありません。また、コーナーでも寝かし込みに重さや遅れ感が無いことも確認できました。オフロードを楽しみたい人にはやはりこちらがおすすめです。轍などで車体下部が接地しない安心感も一枚上手。新型アフリカツインの真骨頂を味わえます。

 クラッチ操作が必要なMTタイプにも乗りました。ミッションのタッチは素晴らしく、クラッチの操作性も抜群です。オフロードで感じたDCTタイプとの一番の違いは、バンクを使いながら曲がる時、クラッチレバーを操作しやすい位置にライダーがポジションを丁寧に取る必要があることです。これはいわば当たり前なのですが、DCTタイプの後に乗ると、それが少し煩わしく感じたのも事実です。

 2016年のリバイバル以来、DCTタイプが販売の半分を占めているのもうなずける話です。DCTはオフロードライディングに意外なる効果をもたらすことも再確認できました。オフロード限定のテストでしたが、アフリカツインのルーツがラリーにある、そんなことに思いが巡る結果となりました。

低回転域でのパルス感の演出と高回転域での出力向上を実現した「CBR1000RR」と同様の排気バルブシステムを採用

 ツーリングに便利なETC2.0やグリップヒーター、クルーズコントロール、ACCソケットなども標準装備したアフリカツインの価格(消費税10%込み)は、「CRF1100L Africa Twin」が161万7000円、「CRF1100L Africa Twin Dual Clutch Transmission」が172万7000円です。カラーリングは「グランプリレッド(CRFカラー)」1色の設定となっています。

【了】

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Writer: 松井勉

モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

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