カワサキはパラツインも最高! 新型4発を待つか、いまのうちに「Ninja 250」か!?

排気量250ccの4気筒エンジンを搭載する新型「Ninja ZX-25R」が東京モーターショー2019で披露され話題となっている「250ccのニンジャ」ですが、現行「Ninja 250」(2020年型)も魅力タップリなのは変わりありません。

カワサキ「ZX-10R」や「Ninja H2」譲りのスポーティなスタイル

 カワサキ「Ninja 250(ニンジャ250)」の車体とエンジンは2018年に全面刷新され、2019年9月1日にカラー&グラフィックの変更となり現在に至ります。シャープなスタイリングは「ZX-10R」譲りと言えますが、チンスポイラー付きのアッパーカウルやエッジの効いたテールカウルなどからは「Ninja H2(ニンジャ・エイチ・ツー)」の要素も感じずにはいられません。

カワサキ「Ninja 250」(2019年1月発売/メタリックスパークブラック)に試乗する筆者(青木タカオ)

 また、解析技術を駆使したトレリス構造の軽量フレームはH2からインスパイアされたもの。エンジンを強度メンバーとして利用することで、軽量化に大きく貢献しています。立て気味のキャスター角、長いスイングアームなども兄貴分たち本格派スーパースポーツと同様の設計思想が用いられました。

 さらに、エンジン背面にスイングアームマウンティングプレートを結合し、ピボットシャフトをこのプレートに貫通させる構造を採用していることもH2譲り。スイングアームをエンジンへダイレクトにマウントすることと同様の効果が得られ、クロスメンバーを用いず剛性を確保、高い安定性と軽量化を両立しています。

足着き性やフィット感に優れ、前傾すぎないところも良い!

 足着き性が良いのは相変わらずです。じつはモデルチェンジ時に、低反発ウレタンを用いた肉厚クッション採用したためシート高が10mm上がったのですが、幅を30mm狭めたスリムなシート形状としたことで低く抑えられたままとなっています。身長175cmの筆者だと、両足ベッタリで取り回しも不安なしです。

カワサキ「Ninja 250」は排気量248ccの水冷並列2気筒DOHC4バルブエンジンを搭載する

 セパレートタイプのハンドルは若干高めに装着され、前傾姿勢がきつくならないよう配慮されているのも嬉しいかぎりです。その上でアップライトになり過ぎず、ハンドル幅を絞り垂れ気味に設定しています。快適性とスポーティなスタイリングを両立したライディングポジションと言えるでしょう。

 ゴールドアルマイト仕上げのフォークキャップや、肉抜き加工を施したトップブリッジなどはスポーツマインドをくすぐってくれるのでした。

 燃料タンクはニーグリップしやすく、マシンとの一体感があります。容量は14リットルで先代より3リットル減少しましたが、25km/L以上走る燃費の良いエンジンを考えれば、航続距離は350kmとなりますから充分ではないでしょうか。

 メーターパネルは大径アナログタコメーターを中心に置くスポーティなもの。右側に速度やギア段数を表示する液晶スクリーンがあり、見やすく機能的です。上級機種のように航続可能距離や瞬間/平均燃費もわかり、クラスを超えた装備となっています。

パラツインならではの扱いやすさは目を見張るもの

 パラレルツイン(並列2気筒)エンジンは低回転域から力強く、そのままスムーズに吹け上がってとても扱いやすいものです。

セパレートタイプのハンドルは少し高めに配置され前傾になりすぎず快適性にも配慮

 リニアなスロットルレスポンスは、ダウンドラフト化された吸気ラインやフライホイールの20%軽量化、サブスロットルバルブの廃止などによるものです。街乗りやワインディングで多用する5000回転から9000回転でトルクが太く、レッドゾーンの1万3500回転まで淀みなく回ってパワーを絞り出します。バランサーも効果的で不快な微振動もありません。

 クラッチプレートを小型化(径139mmから125mm)したアシスト&スリッパークラッチを搭載し、レバー操作は軽く、シフトダウンをイージーにしていることも報告しておきましょう。急減速時のリアの暴れを抑えてくれる、回しきれるエンジンとの相性は抜群です。エキサイティングな走りが味わえます。

 シャシーはエンジンや足まわりとの剛性バランスに優れ、マッチングの良さを感じます。しなやかさがありつつ、応答性が欲しいところはしっかり反応してビシバシ走ってくれます。身のこなしの軽いライトウェイトスポーツながら、落ち着きあるハンドリングで絶えず余裕ある走りが楽しめます。

 4発(4気筒)にこだわらないバランス重視、というなら「Ninja ZX-25R」の発売を待たずして“買い”と言えるでしょう。走りのポテンシャルは250SS(スーパースポーツ)クラスで抜きん出ているのは間違いありません。

東京モーターショー2019で初公開された、新開発の排気量249cc並列4気筒DOHC4バルブエンジンを搭載する新型「Ninja ZX-25R」

「Ninja ZX-25R」の車体価格も、カワサキ担当者は「ひとまわり上がる予定」と教えてくれました。総合的に見ると、2気筒ニンジャを選択肢から外すわけにはいかないのです。

■主な国産250SSと価格(すべて消費税10%込み)
スズキ「GSX250R」53万6800円から
ヤマハ「YZF-R25」61万500円
ヤマハ「YZF-R25 ABS」65万4500円
カワサキ「Ninja 250」65万4500円
ホンダ「CBR250RR」80万3000円
ホンダ「CBR250RR〈ABS〉」82万1700円から
カワサキ「Ninja ZX-25R」※価格未定

【了】

2気筒の「Ninja250」と4気筒の「ZX-25R」を画像で比較

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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