ヤマハ「SR400」のエキパイが中空二重構造のわけ どうやって曲げる? 製造現場に直撃取材
1978年の登場以来ほとんど変わらない姿のヤマハ「SR400」は、車体を構成する美しい部品のひとつ、エキゾーストパイプが“中空二重構造”になっています。その理由と曲げ工程を取材しました。
手間のかかる工程を経て、美しい部品が生まれる
静岡県浜松市のサクラ工業株式会社(以下、サクラ工業)では、ヤマハのバイクに装備される消音器・排気系システムを製造しています。ヤマハのロングセラーモデル「SR400」も例外ではありません。
近年、サクラ工業で製造されるエキゾーストシステムのほとんどがステンレス素材を採用しているなか、SR400は1978年の登場以来、変わらずスチール(鉄)を採用しています。
しかもSRのエキゾーストパイプは、前後フェンダーや各部品などと同様に、まるで鏡のように美しいメッキ処理が施され、意匠性の高さを演出しています。さらに内部は“中空二重構造”となっており、内側にも同じように曲線を描くパイプが内蔵されています。その理由など、サクラ工業の松本さん(営業部)にお話を伺いました。
──SRのエキパイが中空の二重構造になっているのは、どういった理由からですか?
エンジンからのガス(熱)により、エキパイが熱変色を起こすのを防ぐために中空二重構造にしています。中空にすることで中の空気層が機能し、外表面の温度を下げて変色を防いでいます。
──熱変色はだいたい何度くらいで起きるのでしょうか?
熱に対しての影響は、おおよそ350度を超えてくると徐々に変色が始まります。SRにはニッケルクロムメッキを採用しており、その特性は、やはり意匠性でしょうか。シルバーの金属光沢はSRの最たるものかと思います。
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ステンレスは錆に強いため(錆びないわけではない)、防錆処理や塗装といった工程を省くことができます。それに強度や質量、加工技術、設計においても、スチール素材と大きく異なることはないと言います。
メッキの熱変色を防ぐために中空二重構造になっているパイプは、曲げ工程で内側と外側のパイプの隙間に直径1mm以下の鉄製の小さな球体(砂)をまんべんなく詰めて曲げ、また砂を抜くという特殊な作業を要します。
2019年現在、SR400の曲げ工程は1人の職人的技術者が専任で担っており、オートメーション化が進む製造現場で、1本1本丁寧にSR400のエキゾーストパイプを曲げ続けているのです。
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