ホンダ「CRF250M」 その機動力の高さとファンライドはストリートで本領発揮!?

一時期、各社がこぞってラインナップした「モタード」マシンは、オフロードモデルをベースに前後ホイールを小径化し、オンロードタイヤを履く最強ストリートバイクです。ホンダ「CRF250M」に乗ると、その優位性を再認識させられます。

身近にあった、ホンダのモタード

 トレール車ならではの軽快なハンドリング、広いハンドル切れ角を活かしつつアスファルトの上もしっかりグリップするようタイヤはオンロード向けの17インチに……と、一世風靡した時代もある「モタード」マシンですが、日本国内ではホンダ「CRF250M」が2019年に現行ラインナップから姿を消すまで存在していました。

ホンダ「CRF250M」に試乗する筆者(青木タカオ)

 もちろん、レースも盛んな欧州のメーカーには本格派モデルが多数ラインナップされていますが、国産メーカーに目を向ければ、もう生き残りはいません。もはやCRF250Mは貴重……いや、新車で税抜き50万円を切る価格だったことを考えると偉大ではないでしょうか。

 レース志向の過激なモタードマシンがある一方で、気軽に乗れるストリートバイクとして根強い人気が昔からあり、日本の場合、混雑する道路を毎日走るバイク便のライダーによって広まったとも言われています。

 印象に乗っているのは「市街地から未舗装路までの走行性能を高次元でバランスさせた斬新なスポーツバイク」として1987年に登場したホンダ「AX-1」でしょうか。レーサーレプリカブーム真っ只中に、ホンダは未開のジャンルを切り拓きました。

 1990年代以降は街でよく見かけたモタードですが、いつの間にラインナップから姿を消したのでしょうか? カワサキ「D-TRACKER X」は2016年がファイナルエディション、ヤマハ「WR250X」も翌2017年に排ガス規制の厳格化によって生産終了、そしてホンダ「CRF250M」が2019年末に生産終了モデルとなっています。

最新モタードはディメンションも専用設計

 CRF250Mはスリムで軽量なCRF250Lをベースに、ホイールとタイヤを履き替えただけでなく、サスペンションセッティングはもちろん、キャスター角/トレール量も専用に最適化(27°35′/113mmから25°45′/71mmへ)しています。

前後17インチホイールとオンロードタイヤを装着するホンダ「CRF250M」(2019年型)

 車体の寝かし込みがよりスムーズで、旋回中の接地感がしっかりあって安心してコーナーを駆け抜けることができます。落ち着いたハンドリングですが、車線変更も俊敏で、車体の応答性もクイックです。

 DOHC4バルブ単気筒は低回転域から力強く扱いやすい。現行型はスロットルボディの口径が2mm拡大され、コネクティングチューブの延長や大径エキゾーストパイプ、サイレンサー2室構造の採用によって、高回転域までよりスムーズに吹け上がり、瞬発力も申し分ありません。

 もともとCBR250R用に開発されたシングルエンジンですから、元気がいいのも頷けます。吸排気をリチューンし、最適化されています。

排気量249ccの水冷単気筒DOHC4バルブエンジンを搭載

 前後ブレーキのディスクローターは、軽量化とクリーニング性に優れるウェーブタイプ。CRF250Mでは296mmの大径ディスクがフロントに与えられ、コントロール性と制動力を上げているのも見逃せません。

 車体が引き締まって見えるのは、オーバルタイプのスチール製ツインチューブやアルミ鋳造一体型スイングアームをブラック仕上げにし、差別化が図られているからです。

 シート高は855mmで、CRF250Lより20mm低い設定とし、良好な足着き性を実現しています。インナーチューブ径43mmの倒立式フロントフォークは左右独立して機能するセパレーションタイプで、リアのプロリンク式サスペンション同様、路面追従性に優れます。

 シートに跨ると、ソフトに動くサスペンションが縮み、足が地面にしっかり届いて安心感をもたらします。車両重量が146kgと軽く、取り回しが容易いことも報告しておかなければなりません。

ストリートによく似合う

 前後に細長く、凹凸のない一体型の滑らかな形状のシートやアップライトなハンドルバーで、自由度の高いライディングポジションも魅力のひとつです。

モタードマシンの躍動感あふれるフォルムは真横からの眺めがよくわかる

 モトクロスマシン「CRF450R」を彷彿させるエクストリームレッドの車体色を採用し、シュラウドから後方へと跳ね上がるフォルムや精悍なフロントマスクは躍動感があり、ストリートによく映えるのでした。

 オフロードヘルメットなど土の匂いがするファッションに身を包み、都会を流す。いつの時代も個性を主張するトレンドに敏感な若者たちによく似合う、そんな気がするのは自分だけでしょうか。

【了】

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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