愛用するバイクウェアブランド「POWERAGE」のアトリエへ潜入取材! 後編~リターンライダーKANEKO’S EYE~

クルマ業界に25年以上携わり、現在ではドライビング・インストラクターや自動車に関する研修トレーナーをしている筆者(金子陽一)の経験を活かし、「ブランド」「商品」「こだわり」「疑問」など、現在のバイク界をピュアな目線でレポートします。今回は愛用するバイクウエアブランド「パワーエイジ」の製品に対するこだわりについて取材してみました。

愛用するウェアに込められたこだわりとは?

 前回から2回にわたりお届けしているバイクウェアブランド「POWERAGE」アトリエ潜入取材の後編ですが、いよいよウェア開発のこだわりポイントなどのお話しに進みます。

筆者(金子陽一)の愛用する「POWERAGE」のウェア。どのようなこだわりが込められているのでしょうか

 まずは一番にライディング用としての安全性についてをデザイナー兼パタンナーであり、代表を務める山田さんに伺うと、POWERAGEではもちろん全てのウェアに対して、適切なポジションへプロテクターを装備させていると答えてくれました。
 
 POWERAGEでは、同メーカーらしさである着た時のシルエットと、安全性/機能面を上手くバランスさせているとのことなのですが、これは実際に使用している筆者も実感しています。安全性を高めながらバイクを降りた時にいい意味で「普通」で「自然」。とてもスマートな印象を受けます。
 
 また、オプションとしてより高い衝撃吸収力を誇るPORON?XRD?が採用されたプロテクターもあるのですが、こちらは軽量で柔らかくもあり、実は筆者も部分的にチョイスしております。動きの妨げにならなく、しかもより安全性が向上するので非常に気に入っているアイテムです。取材時には山田代表も「これはいい素材に出会えました」とおっしゃられておりました。

「バイクを降りた時でも普通にカッコ良い」を実現するために

 そして、ライディング用として乗車姿勢時の快適さ、機能面での高さも大切。しかしそこにはPOWERAGEらしい、普通に着た時のシルエット、カッコ良さをキープするというテーマも絡んで来ます。
 
 同メーカーの冬モデルでは全てのモデルに防水素材が使用されています。そしてフロントチャック部はトリプル構造とし冷気をシャットアウト。もちろん他のブランドと同様に、暖かく、動きやすい素材などを採用して、冬は暖かく、動きやすく快適、を追求しています。

 ではPOWERAGEのテーマ「バイクを降りた時でも普通にカッコ良い」へのこだわりは、どの部分なのか? ビジュアルと機能面でのせめぎあいとは? といったことについて話を伺ってみました。
 
 まずライディング用として作られたウェアは、基本的に乗車時の姿勢に合わせて成型されるとのことで、腕は軽く湾曲し、前に伸ばす傾向で、全体的に軽く前傾姿勢のシルエットになります。それが基本となるので、人間が普通に立っていたり、普通に歩いていたりするときには、シルエットに違和感が出てしまうそうです。

一般的な洋服と異なり、腕の付け根の背中側部分に余計な余りがあるバイク用ジャケット。シルエットを美しく保つためには腕を伸ばしたときだけジャバラのように出てくるようにし、普通に立っているときはなるべく内側に収まるのがベスト

 細かく見てみると、腕の付け根の背中側部分に余計な余りが出てしまい、それがシルエットを崩す原因になるといいます。ですから理想はその箇所が、腕を伸ばしたときだけジャバラのように出てくるようにし、普通に立っているときはなるべく内側に収まるのがベスト。また腕が曲がっていることも見た目を損なうポイントなので、それを感じさせないデザインを取り入れることでシルエットを美しく保つことができるそうです。

 また、ライディング時は屈んだ状態になるので、ライディング用ウエアの上着は丈を短くして、屈んでも上着がずり上がらないようにするのが基本的な概念とのことですが、シルエットを美しく見せるためには、丈を長くしてもずり上がらないような工夫やアイディアが求められるということです。

 こうして話を伺うと、通常のアパレルと比べデザイン面での制約は多く、POWERAGEのウェアが「普通のアパレルのようでカッコ良い」と思えるポイントに対して、いかに普通のウェアに見せる努力をしてきているのかが理解できます。これらの理想を追求し、開発されて来たのがPOWERAGEのウェアなのです。

ベストなバランスを実現するための細かな補正

 POWERAGEの製品では着心地の良さに大きな威力を発揮するストレッチ素材を採用しています。このストレッチ素材のおかげでより一般的な洋服寄りのデザインを実現できるようになったのも事実だそうですが、一方で生地の伸び方次第ではシルエットに影響をきたすため、カッコ良いシルエットを実現するには難しい素材でもあるといいます。

バイクウェア製作の難しさについて説明する山田代表

 山田代表は「可能な限りコストを掛け、良い生地を採用しています。素材はしっかりしたモノをチョイスしていますので注目してみてください」とも話してくれましたが、毎シーズン定番モデルとしてリリースしているモデルであっても、ライディング時の快適性と通常時のシルエットをより高次元でバランスさせることを狙い、毎年、細かな修正やサイズ感の補正が行われているとのことです。
 
 もちろん毎年これがベストだと信じて商品化しているそうですが、再び図面を前にすると「ここは何ミリ前に傾けた方が……」など、また試行錯誤がはじまってしまうといいます。
 
 しかし「快適なライディングと通常時の抜群なシルエットは必ずバランス出来る!」と山田代表は語り、営業のスタッフの皆さんなどが各店舗から聞いた「POWERAGEだったらこういうのがあったらいいよね!」という声や、会社のメンバーの意見を大切に、商品の企画、開発を行っているとのことでした。

こだわりを知ればライディングがさらに楽しくなる!

 今回、自身が愛用しているPOWERAGEのアイテムは、どんなところで、どんな方々が、どのようにして生み出しているのか? など知りたくなり、その最前線であるアトリエへお伺いさせていただきましたが、「POWERAGEらしさ」でもあるバイク用ウェアなのに「普通に着てもカッコ良い!」に対して、とことん追求している姿勢、こだわり、ぶれない気持ちを理解することが出来ました。
 
 そして、お話しをお伺いしていて、山田代表をはじめ、スタッフの方々が1つの良いチームになっているように感じられました。「だからいい製品が生まれて来ているんだな」とも思います。

 今後もPOWERAGEらしい商品の追求や登場を期待しています。POWERAGEのこだわりや苦労を知った上で、それらを確認しながらあらためてウェアに袖を通してライディングをするとこが、以前にも増して楽しくなりそうです。

【了】

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Writer: 金子陽一

トップドライバーを目指し自動車レースに参戦。幾度かの資金難から挫折しかけたところをチューニングカー雑誌の編集部に拾われ、タイムアタック/レポートドライバーを担当。現在、それらの経験を活かし自動車ブランドが開催するドライビングレッスンのインストラクター、そして販売店スタッフ向けの研修トレーナーとしても活躍中。学生時代に乗っていたバイクからはしばらく離れていたが、近年、最新バイクの進化、またバイクを取り巻く最新アイテムの進化に感動しバイク熱が復活。大型自動二輪免許も取得。クルマで経験してきたセンサーを活かして「バイク」「ブランド」「アイテム」「こだわり」など、最新のバイク界をピュアな目線でレポートする。

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