嬉しいけどどうしよう? EWCセパン8耐でライダー達を密かに困らせた予想外のモノとは?

2019年12月14日、マレーシアにあるセパンインターナショナルサーキットでEWC第2戦、セパン8時間耐久レースの決勝が行われました。荒れた天候に翻弄され、実質3時間となったレースで見事表彰台を手にしたライダー達を困らせた意外なモノ。それは、いったいなんだったのでしょうか。

これがどうしても欲しかった! でも……大きすぎじゃない?

 世界耐久ロードレース選手権(EWC)の第2戦として、今季からカレンダーに組み込まれたセパン8時間耐久レースでは、同シリーズの最終戦となる鈴鹿8耐2020への参戦権を賭けたトライアウトも同時に行われたため、その権利獲得を目的に多くのチームがスポット参戦を果たしました。

 そのほとんどのチームやライダーは、海外でのレースは未経験。そんな彼らを困らせた最初の関門は、飛行機への預け入れ荷物の重量制限でした。

トロフィーを手に、表彰台で喜ぶライダーたち

 基本的に日本のロードレースのレーシングチームは、メーカーが運営するファクトリーチーム以外で資金に余裕のあるチームはありません。

 ほとんどのプライベーターチームは、必死に集めた企業のスポンサードとライダーやチームオーナーの持ち込み金で運営されているため、現地への移動経費も必要最小限。格安航空券などを利用します。

 そのため、ヘルメット・革つなぎ・レザーブーツと、装備自体にかなりの重量があるライダーにとって、海外遠征のための飛行機への預け入れ可能な荷物の重量は、かなり重要です。

 しかも、スプリントレースではなく耐久レースとなれば、1回のレースで1人のライダーが何スティント(1人のライダーがスタート、またはピットアウトしてから、次のピットインをするまでの担当走行)も走ることになるので、インナーなどの必要な装備の量も一気に増加します。

 さらに、レースWEEKは約1週間あるので、レース用の装備だけでなく1週間分の着替えなど、生活用品も必要です。

 ライダー達は、航空券の料金と預け入れ可能な荷物の重量などを考慮しながら「絶対に必要なもの」と「無くてもなんとかなるもの」を取捨選択し、「何が起こるか分からない、初めての海外でのレース」に向かいました。

 ちなみに、今回多くのライダーやチームが利用していたマレーシア航空のエコノミークラスの預け入れ可能な荷物は、長さ+幅+高さが158cm以内の荷物2個以内で、重量の合計30kgまででした。また、超過料金は3kgにつき179MYR、日本円で約5000円です。

 ライダー達はフリープラクティスなどを含め、走行中に転倒して装備が壊れても問題がないように、ヘルメットやツナギ、ブーツなどを全て2セットずつ持っていくことがほとんどなので、1着約5から6kg程度のツナギを2着入れただけで簡単に10kgを超えてしまいます。

 そうなれば、減らすのは生活用品や予備の予備。インナーやヘルメットのバイザー、バンクセンサーなどの消耗品を減らすことで、ギリギリ3kg以内におさまるかおさまらないかという状態です。

「それならマシンなど、チームの荷物と一緒に送ればいいじゃん!」と思った方もいると思いますが、マシンなどの輸送は、比較的安価に送ることができる船便を使うので、発送は約1か月前。1度コンテナに入れて、船に積んでしまうと現地で受け取るまで使用することができません。

 しかも、そのまま海外に送ると関税がかかってしまうため、決まった用途で使用したあと、一年以内に日本へ戻す物品に対して一時輸入国での輸入税等が免税になる通関手帳、「カルネ」の申請をします。そのため、チームが送る船便の荷物は増やすことも減らすことも出来ないのです。

海外遠征に向かうロードレースライダーの荷物のイメージ

 そんな、万全の体制とは言えないギリギリの荷物でセパン8耐に乗り込み、見事表彰台を獲得したライダーたちを最後に困らせた予想外のモノがありました。

 それは、表彰台にのぼったものだけが手にすることができるトロフィーです。
 
 チームもライダーも、レースに参戦するからには1つでも上のリザルトを目指して熱い戦いを繰り広げます。

 そして、手にした念願の表彰台のうえに各チームの国旗が掲げられ、立派なトロフィーが授与されたのですが、そのトロフィーがかなりの大きさだったのです。

 表彰式が終わり、その余韻に浸ったあと、現実に戻ったライダーたちの感想は「どうやって持って帰ろう」という焦りでした。

決勝後のインタビューを受けるライダーたちとセパン8耐のトロフィー

 大きさを測ってみたところ、高さ17.5cm、横幅26cm、重さは4.7kgです。ただでさえ重量ギリギリ、キャリーをパンパンに詰めてセパン8耐に挑んだライダーたちの荷物に、この大きなトロフィーが入る余地はありません。

 しかも、3kg超過ごとに約5000円程度の超過料金を取られるマレーシア航空を利用した場合、4.7kgのトロフィーが増えることで約1万円程度の追加料金が発生することになってしまいます。

 表彰台を獲得したライダー達は、機内持ち込みの手荷物にしたり、荷物の量に余裕のあるピットクルーに預けたりと、さまざまな試行錯誤を経て、無事トロフィーを持って帰国していきました。

 立派なトロフィーをもらえるのは嬉しいことですが、世界各国からエントラントが集結する世界選手権での大きすぎるトロフィーは、それを手にしたライダーたちに予想外の混乱を生んだようです。

【了】

嬉しいけど大きすぎ?セパン8耐でライダー達を困らせたモノの正体を写真で見る(23枚)

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