トライアンフ新型「タイガー900ラリープロ」と「タイガー900GTプロ」 乗ってみたらミドルクラス最強レベルだった

トライアンフの2020年モデルラインナップに加わった新型「タイガー900」シリーズが、2020年4月上旬に日本発売となります。一体どのような乗り味なのでしょうか? 海外でのメディア向け試乗会に参加した伊丹孝裕氏のインプレッションです。

「うちのタイガー、できる子なんで」……ホンマかいな!?

 2010年に登場したトライアンフの「タイガー800」が、「タイガー900」へフルモデルチェンジし、その大規模な試乗会がモロッコで開催されました。現地には「タイガー900ラリープロ」と「タイガー900GTプロ」というふたつのモデルがスタンバイ。まずはラリープロの話題からいきましょう。

トライアンフ「Tiger 900 Rally Pro」(2020年型)に試乗する筆者(伊丹孝裕)

 モロッコといえばオフロード天国です。アスファルトが敷かれた道もたくさんあるとはいえ、少しでも脇に逸れるとそこは草原だったり川渡りだったり、砂浜だったりと、いずれにしてもブロックタイヤ必須の土地。さらに進めば砂漠も広がっています。

 そういう場所でわざわざ試乗会を行なうということは「ウチのタイガー、できる子なんで」という自信の表れに他ならず、実際その通りでした。

 その一端がガレ場での乗りやすさにありました。小さな岩というか、大きな石というか、とにかく不安定な物体がゴロゴロしているところを走ったことがあるでしょうか? 自分の足で立つ時でさえ、岩がズルッとずれて転びそうになったりしますよね?

 背が高く、車重もあるバイクならなおさらで、転倒は必至……。自分ひとりなら絶対そんな場所に踏み入れたりしないものの、試乗会で先導に「Go!」と言われりゃ、そりゃ進むしかないわけです。置いて行かれても困るし。

トライアンフ「Tiger 900 Rally Pro」(2020年型)に試乗する筆者(伊丹孝裕)

 転倒はしょうがない、ただしそれが1回か2回ならノーカウント扱いでよろしく! 本気でそう思いながらいざガレ場に突入すると、これがビックリ。スロットルを少しでも開けていれば、岩に乗り上げ、石を踏みつけながらも車体は安定して進み、何事もなく走り切れてしまったのです。いや、これは本当に驚くべきことで「オフロードは怖い」というライダーはぜひ体感して欲しい走破力が搭載されていました。

 ではなぜそんなことが可能になのか? しなやかなサスペションや適切な電子デバイス、車体が軽く、低重心になった恩恵もさることながら、じつは新設計のエンジンに秘密があったのです。

 これまでのエンジンがスムーズに回るモーターだとすると、新しいそれは低速で粘るディーゼルのような力強さを発揮します。実際に排気音も異なり、少し甲高い音が一定のリズムで続く先代の「タイガー800」に対し、900は低く唸るような3拍子を刻むなど、その中身がまったく異なっていました。

 ラリープロの車重は226kgあり、決して軽い方ではありません。ところがエンジンの搭載位置が下がり、ハンドルはライダー側に近づけられ、シートはスリムに。そういうアレコレが積み重なって、取り回しや引き起こしにストレスがない。

トライアンフ「Tiger 900 Rally Pro」(2020年型)に試乗する筆者(伊丹孝裕)

 また、シフトチェンジもアップとダウンに対応するクイックシフターの精度が抜群に高いこともあり、余計なことを考えずにライディングに集中できるのです。

 この車体サイズで、これほど一体感が高いモデルはそうはないでしょう。そこに頼れるエンジン特性が加わるわけですから、クラス最強レベルのアドベンチャーバイクと言って間違いありません。

 さて、GTプロの方はと言えば、こちらにも同じ仕様のエンジンが搭載され、フレームも共通です。異なるのはオンロードを重視した足まわりで、フロントに19インチホイールを装着し、ライディングモードに応じてリアサスペンションの硬さが切り換わる電子制御タイプが装備されているところが主な違いとなります。

 そのため「基本ダートは走らないけれど、タンデムやロングツーリングの機会が多く、できるだけ快適に走りたい」というライダーはこちらがおススメです。

トライアンフ「Tiger 900 GT Pro」(2020年型)に試乗する筆者(伊丹孝裕)

 専用のアプリで電話の通話や音楽の再生、ナビゲーション、GoProの操作が可能になるコネクティビティシステムも標準装備(ラリープロにも装備)しているため、旅がより充実したものになるはずです。

 いずれのモデルも飛躍的に進化しています。その先が見てみたい、もっと遠くへ行きたい、というライダーの願いに応えてくれる、リアルアドベンチャーになっています。

※ ※ ※

 2020年型「タイガー900」シリーズそれぞれの価格(消費税10%込み)は、「タイガー900ラリープロ」が186万円、「タイガー900ラリー」が166万円から168万6500円、「タイガー900GTプロ」が182万円、「タイガー900GT」が158万円から160万6500円となっています。

【了】

【画像】トライアンフ「タイガー900」シリーズ(2020年型)

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Writer: 伊丹孝裕

二輪専門誌「クラブマン」編集長を務めた後にフリーランスとなり、二輪誌を中心に編集・ライター、マシンやパーツのインプレッションを伝えるライダーとして活躍。マン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムなど、世界各国のレースにも参戦するなど、精力的に活動を続けている。

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