道路を行き交うバイクはほとんどが「アンダーボーン」 日本とは異なるマレーシアのバイク事情

MotoGPの舞台にもなるセパン・インターナショナル・サーキットがあるマレーシアでは、日本のバイク事情とは異なる光景が広がっていました。

バイク事情から垣間見えた、マレーシアのモータースポーツ人気

 セパンで行なわれた2020年シーズンのMotoGP公式テスト取材のため、クアラルンプール国際空港からその周辺、そしてサーキットを訪れました。空港はもちろん、滞在したホテルの周辺には「アンダーボーン」と呼ばれるバイクがたくさん見られました。

クアラルンプール国際空港第2ターミナルの駐輪場にはバイクがぎっしり。ほとんどがアンダーボーンだった

 しかし街中を走るバイクを見ると、ライダーはノーヘルでサンダル履きという、なんともフリーダムなスタイル……。ここではバイクが気軽な日常の足として生活の一部となっていることが伺えます。

 東南アジアのバイクといえば、アンダーボーンを思い浮かべる人も多いでしょう。メインフレームが足元近くまで下げられた骨格が特徴のバイクで、日本でよく見られるカブやスクーターなどもアンダーボーンにあたります。

 ここマレーシアで見かけたバイクの多くは排気量110ccから150ccまでのミッション付きのアンダーボーンで、タイヤはほとんどが17インチの大径ホイールです。現地は幹線道路でも凹凸があり、クルマでさえハンドルを取られることがありました。雨が降れば多くの水たまりもあり、大径17インチホイールは、こうした路面での走破性に貢献しているのでしょう。

 ちなみに、アンダーボーン以外のバイクでは、アドベンチャーモデルやネイキッドがちらほら見られます。やはりこれも道路環境によるものなのか、もしくは単なる流行りなのか……気になるところです。

マレーシアでよく見かけたアンダーボーンのバイク。ヤマハ車の割合が大きかった

 生活の一部としてバイクが利用されている一方で、街中や空港に停められているバイクから、マレーシアのモータースポーツ人気を感じることもできました。

 マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットは、1999年からF1とMotoGPが開催され、F1は2017年限りでカレンダーから外れましたが、2輪ロードレースの最高峰であるMotoGPは、2020年シーズンも開催が予定されています。

 MotoGPだけで見ると、2018年、2019年は連続して過去最多の観客数を更新しています。2019年の17万778人という観客数を見ると、日本GPは8万8597人、モータースポーツ人気が高いと言われるスペインでは、最終戦バレンシアGPで17万6826人という実績です。マレーシアでのモータースポーツ人気がかなりのものだと伺えます。

フロントフェンダーにロッシ選手のゼッケン「46」が貼られたバイクも

 MotoGPで圧倒的な人気を誇るバレンティーノ・ロッシ選手(Monster Energy Yamaha MotoGP)のゼッケンを貼ったバイクが何台もありました。ロッシの人気ぶりはマレーシアでも健在のようです。

 アンダーボーンのバイクにヤマハ車が多いのも、こうした人気を反映したものなのか……。マレーシアのバイク事情、まだまだ気になるところです。

【了】

【画像】つい気になってしまう、マレーシアのバイク事情(10枚)

画像ギャラリー

Writer: 伊藤英里

モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。

最新記事