なぜ彼女たちはバイク屋で働くのか? 「ハーレー・ダビッドソン南大阪」萩ゆきみさんの場合
バイク屋といえば油にまみれたツナギ、冷たい水でひたすら洗車。そんなイメージがあるかもしれません。実際はどうなのでしょうか? いまどき女子のバイク屋ワーキングスタイルをレポートします。
楽しそうに働いているお父さんがかっこよかった
明るくて元気な印象のゆきみさんは、ハーレー・ダビッドソン南大阪(大阪府堺市中区平井107-1)で雑貨やアパレルを担当しています。社長はお父さんの慶司さん。じゃあ当然と思われるかもしれませんが、ここで働くことはゆきみさんの意思で決めました。

ゆきみさん「父がどんなに忙しくても、とても楽しそうに働いていて。それがとてもかっこよく見えました」
進路に悩んでいた大学二回生の時、アメリカで慶司さんと一緒に世界中のハーレーディーラー達とツーリングする旅に参加しました。そこで、親子でディーラー経営をする人達と話す機会があり、 結局みんな「家族で仕事できるってとてもいいことだよ」と勧められ、気持ちが決まりました。
入社後は雑貨やアパレルの仕入れを担当。最初はそんなに仕入れなくていい、と言われた事もありましたが「ハーレーのアパレルの可愛さ、カッコよさを伝えたい」と孤軍奮闘。いまではアパレルのみ買いに来るお客さんもいるほどです。

なかでも「STANCE(スタンス)」とハーレーがコラボしたソックスはヒット商品。アパレルの売り上げも年々上昇し、2019年はディーラーオブザイヤーも受賞。やりがいを感じる毎日です。
憧れのお客さんみたいに走りたい
彼女の愛車は2013年型、ダイナファミリーの「スイッチバック」。
ゆきみさん「自分は小さい頃からヘリテイジに乗ると思っていました。憧れのお客さんが乗っていたんです」

そのお客さんは、女性でした。「誰が見てもかっこいい人。ジャラジャラ系で、おしゃれで。見た目も中身も、乗ってる姿も、とにかくかっこいいんです」(ゆきみさん)
しかし出会いは突然やってきます。「スイッチバックはしばらくショールームに置いてあったんです。少しカスタムをして雰囲気を変えてみようということになり、ホワイトリボンのタイヤを履かせて、グリップやシートを白にしました。その姿を見たら、カワイイ! って。誰にも乗られたくない、と思ったんです」(ゆきみさん)

革のサドルバッグじゃないと嫌だと思っていたものの「よく見たら、プラスチックのケースも可愛い!」と全肯定。
最初は車両が大きくお客さんとのツーリングではもたつくこともありました。スタッフなので迷惑はかけられません。悔しながらバイクを任せることもありましたが、いまでは取り回しも1人でこなします。
最後に「Why BIKEYA-JYOSHI」ゆきみさん?

「女の子にバイクをかっこいいと思ってもらいたいんです。バイクって、バイクだけじゃなくて服とか、カルチャーとかも含めてバイクだと思っていて、めちゃかっこよかったり、かわいかったり、素敵なことがいっぱいあるし、その人だけの個性も出せる。それをたくさんの女の子に伝えて女の子がカッコよくなるお手伝いをしたいです」
【了】