ホンダ「ベンリィe:」を通して見えた電動バイクの未来 ジャーナリストが語るEVの行方

ホンダは4月から法人向けに販売を開始する電動バイク「ベンリィe:」のメディア試乗会を開催しました。ここでは2人のモーターサイクルジャーナリストにベンリィe:の試乗を通して感じた電動バイクの未来について伺ってみました。

今後の電動バイクの方向性は?

 ホンダは3月13日に新型の電動バイク「BENLY e:(ベンリィ・イー)」のメディア向け試乗会を開催しました。

 2019年の東京モーターサイクルショーで初披露されたベンリィe:は、「毎日のデリバリーにちょうどいいビジネスe:スクーター」をコンセプトに開発されたモデルです。航続距離やバッテリーリサイクルなどの条件から現状、一般販売はされず法人向けとして販売されます。

モーターサイクルジャーナリストの「小林ゆき」さんと「青木タカオ」さん

 今回の試乗会に参加したモーターサイクルジャーナリストの青木タカオさんと小林ゆきさんに、ベンリィe:の試乗を通して感じた電動バイクの未来について伺ってみました。

――早速ですが、ベンリィe:に乗ってみた感想はいかがでしたか?

小林:電動バイクは特性上、極低速の安定感というか息継ぎがないのですが、ベンリィe:はスロットルを開けた時のレスポンスもリニアな感じでありつつ、乗り手の感性を超えないところで設定しているようで扱いやすくて楽しかったです。

青木:そうですね、やはり電動バイクらしくシームレスですよね。スロットルを開けた分だけ進むというか。それでいて速度が出過ぎないように制御されていますよね。

――ベンリィe:は基本的に法人向けのみの販売とされていますが、もし一般販売されたとしたらオススメできるモデルですか?

青木:正直、値段が高いですよね。個人的な意見としては、乗り物として評価するというよりも、戦略としてビジネスユースで必ずルーティーンで決まった場所を回るように使う用途から始めるというホンダのやり方に関心しています。ですから、その仕組みづくりの方こそがクローズアップされるべきなのかもしれません。

小林:そもそも乗り物の評価という部分に関しては、ガソリン車のベンリィの時点で出来上がってるわけで、エンジンを電気に置き換えることでより楽しくなっている部分もありますよね。

 残念ながら、今のところ値段もすごく高いですけど、ひょっとしたら最初にトヨタがプリウスを出した時みたいに、メーカー側がある程度車両代を持つカタチで普及させる可能性もあるし、普及すれば見えてくるものもあるでしょうしね。そこらへんは痛し痒しで、ここ20年くらい同じことを繰り返している感じがします。もちろん、まったく進化していないわけではないですけどね。
 
 もちろん、電気バイクが欲しい層もいるはずなので、そうした人からすれば一般販売されないのは残念ですね。

青木:僕が思うに電気バイクが欲しい層は小型のスクーターでは無く、ハーレーのライブワイヤーなどホビーの要素から入っていく人が多いんじゃないかなと考えています。二輪の電動モデルに関しては大きく分けて高級なハイエンドなモデルとこうしたビジネスユースのものとに二極化されるんじゃないかと思います。

ハーレーのライブワイヤーの乗るモーターサイクルジャーナリストの「青木タカオ」さん

 たとえば高級なEVであれば、高級スポーツカーなどと同じく富裕層が100km圏内を楽しむという使い方も想定されるため、そこまで航続距離がなくてもいいとも考えられます。

 対して小型のものに関しては今のやり方を続けていけばよくて、例えばすでにベンリィe:を導入している郵便局がバッテリーステーションになって普及が進めばいいと思っています。

 また、今のガソリン車はあらゆる面においてかなり完成度が高いので、二輪においては現時点でガソリン車と電動モデルを同じ土俵で比べるのはナンセンスかなと感じています。

小林:話をベンリィe :に戻しますが、新聞配達、郵便局、地方の信用金庫、ヤクルトなどを合わせると、おそらく店舗数だけでも5、6万あるはずなので業務用途として必要とするユーザーはたくさんいるはずです。

 2019年度中には郵便局に200台のベンリィe:が導入されるとのことですが、数年に一回需要があるんだとすれば、原付は数万台規模で需要があることになります。

 それと電動バイクは教習車が一番適しているだろうなと思います。初心者にとってガソリンエンジン車での極低速域でのコントロールはすごく難しい部分があるので、扱いやすい電気バイクで基本を学ぶというのもアリだと思います。

 また電気であれば排気ガスが出ないので、屋内教習も可能です。日本で屋内教習を行っている自動車学校は2箇所くらいしかありませんが、全天候型であれば雪国でも気候に関係なく教習を受けることができます。

 ちなみに一点だけ、ベンリィe:で疑問だったのが起動音が無い点ですね。誤って発進してしまうことがあるのではと感じてしまいました。

――今後、電動バイクはどのように発展していくと思いますか?

小林:発展というわけでは無いですけど、政府が舵を着ればそれに従わざるをえないわけで。でもベンリィe:のように実際にやっていかないと技術は革新しないので、そうした点に関しては一定の評価を与えないといけないでしょうね。

 台湾なども電動バイクが普及していますが、技術的に日本のメーカーが負けているかと言われれば決してそんなことはないですし、前提としてバイクは安全で優れたものでないといけないので、そこを間違えてはいけないと思います。

ホンダ「ベンリィe:」に乗るモーターサイクルジャーナリストの「小林ゆき」さん

 電動バイク試乗ではスタートアップ企業なども増えていますけど、安全で優れたバイクを作れる日本の歴史ある4メーカーが作ることに意味があると思います。私にとってはガソリンであれ電気であれ、そこが一番重要かと思います。

青木:そこは僕も同じ意見です。やはり台湾のようなインフラ作りが重要で、たとえばベンリィe:を導入しはじめた郵便局を充電ステーション化し、一般のユーザーが充電済みのバッテリーと取り替えるだけですぐに走れるような仕組みを作ることが第一ですよね。

【了】

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