ホンダ「CB」シリーズのフラッグシップ「CB1300スーパーボルドールSP」じっくり煮詰められた上質な走りは感動モノ!
2003年に登場した「CB1300」シリーズは、ホンダ伝統の「CB」を現在に継承する直列4気筒エンジンを搭載した大型ロードスポーツバイクです。「CB1300スーパーボルドールSP」に試乗しました。
1300cc直4エンジンにオーリンズの足、煮詰められたセッティングに大満足
“フラッグシップモデル”、ホンダ「CB1300 SUPER BOL D’OR SP」(スーパーボルドールSP)と過ごし、満たされた心に浮かんだのがこのワードです。その気持ちにスイッチが入るのは、このバイクが持つ存在感を前にした瞬間です。

伸びやかな体躯を造る見応えあるカタチ、21リッターを飲み込む燃料タンクの質感や全体の塗装、車体からはみだすように顔を出すエンジンのヘッドカバーやケースカバー、仕上げも美しい。
大きなサイズの段付きシートの後方で、スッと跳ね上がった印象のテールカウル、フロントに回ってカウルを見れば、ワイドなタンクから細身になり、鼻筋の通った顔付き……。まさに見所の集合体です。
しかもこの「SP」仕様には、オーリンズ製サスペンションとフロントのブレーキキャリパーにブレンボ製モノブロックが装着されます。その分、標準仕様の「CB1300 SUPER BOL D’OR」よりも37万4000円高い199万5400円となり、その価格に気圧される方もいるはず。しかし、アフターパーツでビルドアップしようとすれば、部品代だけで軽く50万円は超える代物です。実際に乗って感じる絶妙なフィーリングは、しっかり作り込まれたことが解ります。

CB1300スーパーボルドールSPに跨がると、シート前端部は絞り込まれているほか、地面に下ろした太もも周りと車体が干渉しないよう、サイドカバー類がしっかりと絞り込まれているため、足付き性も上々です。
ポジションは、やや後退したステップへ足を載せ、腕を自然に伸ばせばグリップに手が届きます。また、カウルとスクリーンの見切りも低く、視界はネイキッド的な開放感も感じられます。
アップライトな上半身と、比較的低めのスクリーンは高速道路でスポーツツアラーほどの快適性はありませんが、それでも腹から胸あたりまで負圧をキャンセルしてくれます。肩口にも心地よい風が当たる。逆にこれはこのバイクの魅力かもしれません。
走り始めて最初に感じたのは、路面コンタクトの滑らかさです。サスペンションの素晴らしさが際立ちます。直線の舗装路を50km/hで走っているだけで乗り心地が気持ち良いのです。

伸縮するサスペンションの動きがとても滑らか。同行したスタッフと私(松井勉)には25kgほど体重差があったので、乗り換えると彼には少し硬めな印象だった様子。2人乗りも想定した初期設定なので、それも当然でしょう。
圧側、伸び側の減衰圧調整と、必要であればスプリングのイニシャルプリロードを調整すれば、標準設定から遠くない範囲に乗り手の体重に適した自己ベストが潜んでいるハズ。そんな自分セッティングを探すのも楽しみのひとつでしょう。
私の体重だと、フロントのブレーキをかけ始めた瞬間、フロントフォークの動きがスムーズなため自分ですら気が付かないほど自然で優しいノーズダイブしているのに驚きます。ブレーキパッドがディスクに押し当てられ、クン、とフロントフォークが沈む瞬間が解らない。それはフワフワするのではなく、その先にはしっかりと減衰圧がスムーズに立ち上がり、無駄な動きを許しません。タイヤが路面に押しつけられる接地感が、グリップを通じて芳醇に解る上質なセッティングです。
昨今、電子制御サスペンションを装備したモデルもありますが、メカニカルなサスペンションでここまで煮詰められたセッティングにこそ、SPの価値が詰まっていると感じました。

この質感の高い足まわりと呼応するエンジンもジェントルでありワイルドでもあり、右手次第でいかようにも乗り手を楽しませます。280kgに迫る車体にも関わらず、タイトコーナーでの切り返しでも、後輪にパワーを伝えるトルク特性が豊かで滑らか。
マフラーからのサウンドも楽しませるパワーユニット全体のパフォーマンスは、ロングセラーとして支持されるのが良く解ります。以前、右手の操作に過敏に反応するワイルドよりだった時期もあったので、ここもしっかりチューニングされたのかもしれません。
高品質なサスペンションを、専用にチューニングを施したSP。重厚感あるビッグバイクを嗜好するファンにとって、これほど煮詰められたバイクは貴重です。すでに何度も乗ってきたCB1300スーパーボルドールですが、このSPモデルのまとまりは、まさに極み。なるほど、ホンダ自慢の赤バッジがタンクに装着されるワケです。
【了】
Writer: 松井勉
モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。











