ヤマハの原二スクーター「NMAX」を選ぶ理由は? ホンダ「PCX」との小さなHY戦争!?

ヤマハ「MAX」シリーズの末弟「NMAX」は、クラスを超えた上質感とスタイリッシュさを持つ、都会を駆け抜けるのに丁度いいコンパクトなボディに、可変バルブ機構を採用する強力なエンジンを搭載しています。原付二種スクーターを新車で購入し、日常の足とする青木タカオさんが試乗しました。

ワンランク上の走りを目指したダブルクレードルフレーム採用

“三密”にならない移動手段としても、通勤などに人気の原付二種(排気量50cc超125cc以下)スクーター。その利便性や経済性の高さは、いろいろなところで発表されていますが、これから原二コミューターを選ぶとき「とりあえず何でもいい……」というのは、少し寂しい気がしないでしょうか。

ヤマハ「NMAX」に試乗する筆者(青木タカオ)

 身の周りのモノにこだわるなど、暮らしを少しだけ豊かにするという最近の風潮にもし合わせるのなら、自転車やスクーターなど、普段の乗り物にも上質さを求めたいところです。クルマもそうですが、背伸びして高級車を購入しましょうというのではありません。「何でもいい……」をチョットだけ「思い入れのあるモノに」へ、グレードアップしたら、きっと日常の移動が楽しいものに変わるはず!

 このセグメントで、シンプルなスタイリッシュさと機敏な走りで、ワンランク上を目指し、既存のスクーターの概念を打ち破って開発されているのが、ヤマハ「NMAX」です。155ccモデルと車体を共通とすることもあり、ライバル勢の多くが乗り降りしやすいアンダーボーンフレームを採用するのに対し、ダブルクレードル構造(ヤマハはバックボーン式と発表)のフレームを専用開発。剛性の高い車体を実現しています。

 その差は乗れば歴然で、大きな段差を乗り越えようとも、コーナーを攻め込んでも、車体はヨレることなく落ち着き放ったまま安定性を失いません。乗り手の操作にダイレクトに反応し、ワイドタイヤを履く前後13インチの足まわりが、軽快感と安定性を高次元でバランスさせ、乗り心地も良好です。

ヤマハ「NMAX」カラー:ホワイトメタリック

 広くまっ平らなフロアステップはありませんが、モーターサイクルのように両足でまたぎ、くるぶしでホールドできるセンタートンネルがあります。それでもフットスペースは前後に広く、膝を曲げて自然体でシートに着座したり、両足を前方に投げ出すように伸ばすこともでき、窮屈さはまったく感じません。

 シート高は765mmで、身長175cmの筆者(青木タカオ)だと両足をおろしても、カカトまで地面にベッタリと届きます。接地点が若干広いものの足つき性は良く、乗り手の体格を選ばないのはこのクラスの利点のひとつと言えるでしょう。

可変バルブ機構付きのエンジンは全域でスムーズ

「BLUE CORE(ブルーコア)」と名付けられたヤマハ・コミューター用のユニットスイング式パワーユニットは、コンパクトなラジエターを車体右側に配置する水冷単気筒SOHC4バルブエンジン。低中速でしっかりとトルクを発揮し、高回転も伸びがあるのは、6000rpmを境に切り替わる可変バルブ機構(VVA)を持つおかげです。全域スムーズに回って、中間加速ももたつくことはありません。

低速域から高速域までスムーズに加速するパワーユニット

 エンジンブレーキの利きも明確でコントロールしやすく、クラッチが切れて惰性走行になるのは15km/h以下あたり。ピンスライド式シングルピストンキャリパーで強めに前輪ブレーキをかけても、テレスコピックフォークはしっかりと踏ん張って、車体も剛性感を伴ったまま挙動を収めます。

 シート下のトランクスペースは24リットルの容量を確保していて、ヘルメットを入れてもまだ余裕があり、ジャケットやレインウェアなども入り、重量5kgまで積載が可能です。500mlのペットボトルが入るフロントポケットもあり、収納力は及第点といったところでしょう。

ライバルはホンダ「PCX」、装備面では不利か!?

 ライバルモデルは、同様にダブルクレードルフレームを採用し、ライディング性能を追求するホンダ「PCX」でしょう。足まわりを小回りの利く前後13インチとする「NMAX」に対し、「PCX」は走破性を重視した前後14インチ。出力はほぼ同等と言えるでしょう。

前後13インチのホイールサイズで小回りも得意なヤマハ「NMAX」の走り

<比較>最高出力
ヤマハ「NMAX」 12PS/7500rpm
ホンダ「PCX」 12PS/8500rpm

<比較>最大トルク
ヤマハ「NMAX」 12Nm/7250rpm
ホンダ「PCX」 12Nm/5000rpm

 装備面を比較したとき「NMAX」はスマートキーを採用していないことで出遅れを感じずにいられません。さらに「PCX」には充電アクセサリーソケットもあり、ラゲッジボックス容量も4リットル多い28リットル。また「PCX」のアイドリングストップ機構に惹かれる人もいるでしょう。それでいて、税込み車体価格は次の通りとなっています。

<比較>価格(消費税10%込み)
ホンダ「PCX」 34万8700円
ヤマハ「NMAX」 35万7500円
ヤマハ「NMAX 快適セレクション」 39万6000円

 ただし、冒頭に述べたとおり「思い入れのあるモノ」を選ぶなら、細かい装備の差は問題ではないのかもしれません。「NMAX」のスポーティな走りと、ヤマハ「MAX」シリーズ推しなら迷わず選ぶスタイリッシュさ、それが魅力と言えるでしょう。

 眼光鋭いフロントマスクは、デュアルヘッドライトの間にハイビームが備わる3灯式のヘッドライトとし、オーバルデザインのフル液晶マルチファンクションメーターをはじめ、上質なレザー調シート、LEDが帯状に光るストップライトなど、エクステリアの出来栄えの良さが目を引きます。

デュアルヘッドライトの間にハイビームが備わる3灯式のヘッドライト

 さらに「NMAX 快適セレクション」も見逃せません。ワイズギアのハイスクリーン、リアキャリア、39リットル容量のトップケース(車両メインキーと合わせたワンキー仕様)といった7万5900円(消費税10%込み)相当のアクセサリーセットを予め装着し、とてもリーズナブル。原二ライフではトップケースなどを追加購入する場合がほとんどですから、「快適セレクション」はライバルとの価格差を一気に逆転してしまうほどなのです。

【了】

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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