オフロードバイクで林道ツーリングに行きたい! 注意すべきポイントや最低限必要な装備とは?
オフロードバイクを手に入れたら、行ってみたくなるのが林道ツーリング。自然の中に分け入るドキドキ感や爽快感は格別です。林道を走る際に気を付けるべきポイントや、最低限必要な装備などを紹介します。
一般道とは何もかも違う、ということを忘れずに
オフロードバイクを手に入れたら、行ってみたくなるのが林道ツーリングですよね。自然の中に分け入るドキドキ感、爽快感は格別で、ふだんは目にすることのない絶景に出会えることもあります。ですが、一般的な道路と違う注意点がいくつかあります。林道を走る際に気を付けるべきポイントを紹介しましょう(未舗装の林道を想定しています)。

まず最初に「林道」とは、国道や県道などとは違う道だ、ということを頭に入れておきましょう。林道はもともと森林の整備や保全のために、森林内に設けられた道です。所管も国土交通省ではなく林野庁となります。
また、国が国有林内に設置するものと、森林組合などが民有地内に設置するものがあります。どちらも出入口にゲートが設けられている場合がありますので、閉められている際は進入しないようにしましょう。
林道に入る際は、1人ではなく必ずダート走行に慣れたベテランと一緒に走ることが大切です。というのも、林道走行には多くのリスクが潜んでいるからです(本来は経験豊富な人でも単独走行は避けたいところです)。
途中に人家のない山の中に分け入るダート道なので、路肩が崩壊していたり土砂崩れが起きる可能性があり、利用者が極端に少ないため崩れてもそのままになっている場合があります。
路面もフラットダートだけではなく、尖った石などでガレていたり、深い轍、雨水が削り出した深く長い溝ができていることも珍しくありません。雨上がりなどはぬかるんだ路面も出現します。

つまり、常に転倒するリスクがあるということですね。道幅も細いことが多く、カーブミラーのないブラインドコーナーや、ガードレールがなくコーナーのアウト側は崖、なんて恐ろしい状況に出くわすこともあります。
また、イノシシや猿、クマなどの野生動物や、蛇などに遭遇する可能性もあるし、コーナーの向こうからクルマやバイクが急に現れる場合もあるので、何があっても対処できるようスピードは控えめにしましょう。
山の中なので、携帯電話は圏外の場合が多いと思っておきましょう。もし転倒してケガをしても、救急車を呼べない、通報できても現場まで来られないことがほとんどです。バイクが故障した場合も同様に、ロードサービスも呼べません。舗装路よりも圧倒的に交通量が少ないので、偶然通りがかった人に救助を頼める確率も低いと思っておきましょう。
だいぶ脅かしてしまいましたが、こんな状況がワリとありがちなので、林道を走る場合は事前の入念な準備や、アクシデントに対処できる装備を整えることが重要になってきます。
服装は動きやすく、体温調節がしやすいものを選びましょう。肘や膝をはじめ、プロテクターの装備も重要です。

ダートは舗装路よりも走破に時間がかかるので、ふだんの距離と時間の感覚よりも、2倍から3倍の余裕を持ったスケジュールを立てること。林道を抜ける前に陽が落ちてしまったら、転倒や遭難などのリスクが高まります。街路灯などはありません。
そして、林道に入る前に燃料は満タンに。距離の長い林道を走る場合や、転倒で燃料が漏れてしまうことに備えて、予備のガソリンを(専用の携行缶で)携行すればさらに安心です。
パンクや転倒に備えて修理キットや工具、スペアのブレーキ/クラッチレバー、ロープなども準備しておきたいところです。
また、ケガに備えてファーストエイドキットも荷物に入れたいですね。それに加えてチョコレートやエナジーバーなどの非常食と飲料水、現在位置を把握できるGPSデバイスなどを持てばより安心できます。
と、けっこうな荷物になってしまいそうですが、できるだけ身軽で走りたいですよね。その意味でも単独行は避け、仲間と荷物を分けて持つのがおすすめなのです。

林道ツーリングは登山に似ているかもしれません。ルールを守り、安全を心掛けながら走れば、日常とは違った世界を体験できます。万全の準備をして、無理をせずに楽しみたいですね。
【了】
Writer: 野岸“ねぎ”泰之(ライター)
30年以上バイク雑誌等に執筆しているフリーライター。ツーリング記事を中心に、近年はWebメディアで新車インプレッションやアイテムレビューも多数執筆。バイクツーリング&アウトドアを楽しむ『HUB倶楽部』運営メンバーの1人。全都道府県をバイクで走破しており、オーストラリア、タイ、中国など海外でのツーリング経験も持つ。バイクはスペックよりも実際の使い勝手や公道での走りが気になるキャンプツーリング好き。