指先と手のひらひとつで安全走行!ライダーなら知っておきたいハンドサイン

ライダーにとってのハンドサインは、コミュニケーションをはかる目的だけでなく安全に走行するためには欠かせないものとなっています。絶対にしなくてはいけないと言ったわけではありませんが覚えておくと、初めましてのライダーともコミュニケーションをとれたり緊急時には危険を知らせることができるなど、さらに安全で快適なツーリングを楽しむことができそうです。

ハンドサインはいつ出すの?

 ライダー達が使うハンドサインは、スムーズに出せるほどかっこよく見えるものです。あいさつの代わりだけでなく、たったひとつのジェスチャーで意思を伝えることができるため、イベントでのツーリングや旅先で初めて知り合ったライダー同士でツーリングする際にもハンドサインを出し合うことで、走行中も便利かつ安全にコミュニケーションをとることができます。

ツーリング中のハンドサインはバイク乗りのコミュニケーションツール

 ハンドサインの出し方には仲間内で決めている場合もあれば、全国的に通じるサインもあるため、覚えておいて損はないでしょう。ほとんどのハンドサインは道交法で決められているわけではないため、明確なサインや基準はありません。しかし、ハンドルから手を放すからには気を付けなければいけないポイントがいくつか存在します。

 まずはハンドサインの出すタイミングです。サインを出すのは、先頭を走るライダーが合図するのが一般的となります。進路確認や危険予測など先頭のライダーが最初に気づきやすいためです。緊急を伴う場合は瞬発的にサインを出すこともありますが、基本的には走行に支障がなく、後続車に気づきやすい場所で出す必要があります。そのため、カーブの最中や高速走行中、バイクとの距離が離れすぎている場合などは、他のライダーが走行に集中できなくなる可能性があるため、避けるべき状況と言えます。

 ハンドサインはどのような意思を伝えるのかも重要ですが、そもそも気づかれなければ意味がありません。そこで、一度サインを出して反応がなければ一瞬ブレーキランプを光らせて注意を引く方法や、前方のライダーに伝えたい場合はパッシングを行ってからサインをだすなど、ちょっとした工夫も大切です。また、一般道であれば信号待ちや停車の時、高速道路であれば追い越し車線に入って並走した瞬間や、追い越して前方に抜けた際に行うのが一番安全な方法ではないでしょうか。

これだけ知ってれば安心な基本的なハンドサイン

 最も多用するハンドサインは道を譲ってもらった場合などで使用する「お礼」としてのサインです。広げた手を軽く上げ「どうも」といった感じで行います。これくらいであれば、覚えるまでもなく自然に出せるアクションです。また、右左折や停車の際に使用するサインは、道交法でも決められているサインと同じになります。

ハンドサインでコミュニケーションをとることも有効

 この他に、ライダー同士が頻繁に使うハンドサインには、目的地や休憩場所を伝えるサインがあります。休憩を取りたい場合は、道の駅やSA、コンビニなどの看板を指で指し「そこで休憩を取りますよ」と周りのライダーに伝えます。その際に、あと何キロで到着するのかを指の本数で示すこともあります。また、休憩のタイミングではないけどトイレに行きたい時には、左手でお腹を押さえるか膀胱のあたりを指で指すことで、トイレに行きたい意思が伝えられるようです。

 ガス欠になりそうな場合や次のスタンドまで燃料が間に合いそうにない場合には、ガソリンタンクを指で指し給油したい旨を伝えます。基本的にはバイクごとのタイミングではなく、一台が給油するタイミングで他のバイクも給油するのが一般的となります。

 さらにウインカーの消し忘れにもハンドサインが役立ちます。後ろのバイクが消し忘れているのであれば、左手でグーパーを繰り返すことでウインカーの消し忘れであることを伝えます。前方のバイクに伝えたいのであれば、パッシングやクラクションを鳴らして注意を引き、ウインカーに指を指して合図します。

 何らかの理由でスピードを落としたい場面では、腕を斜め下に突き出して手のひらを下に向けて振ることで減速のサインとなります。路面状況が悪い場合や渋滞し始め、または最後尾との距離が離れてしまった場合に役立ちます。ちなみに、対向車線のライダーがこのサインを出してくれた場合は、障害物ありや事故発生であったりスピード違反の取り締まりが行われているといった場合に伝えてくれることがあります。

 道を間違えたり引き返したい場合には、人差し指を空に向けてグルグルと頭上で回すサインをします。「Uターンしますよ」といった意味となり、他のライダーも一斉に後方確認を意識することで追突事故を避け安全にUターンすることができるのです。また、バイクが突然故障し走行不能になってしまった場合やこの先に危険が生じた際は、拳を天に突き出し緊急事態であることを伝えます。もしハンドサインを出す余裕さえない状況であれば、ホーンを鳴らして知らせるのが一番確実な合図と言えるでしょう。

※ ※ ※

 ツーリングではこの他にもたくさんのハンドサインが使われています。すべてを覚えるためには実際に使用しながら慣れることが近道です。しかし近年は、Bluetoothのインカムなどが普及しているためハンドサインを使わずとも簡単にコミュニケーションが取れる時代となってきました。会話をしながらツーリングを楽しむのも良いですが、インカムを持っていないライダーとのツーリングやインカム自体の故障などもありえるため、ハンドサインを覚えておき、いざという時に役立ててみるのもいいかもしれません。

【了】

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