カスタムバイクイベントで頂点に輝いた一台 『インディアンオレンジ』によるディガーを見る

福岡のカスタムバイクショップ『インディアンオレンジ』は、2020年10月25日に兵庫県神戸市の神戸国際展示場で開催された『ニューオーダー・チョッパーショー』で行われたカスタムのコンテストで見事、頂点に輝きました。どのようなカスタムが施されているのでしょうか。

ディガースタイルの定石といえるカスタム・ハーレー

 2020年10月25日に兵庫県神戸市の神戸国際展示場で開催された『ニューオーダー・チョッパーショー(以下NOCS)』において今年も『ビルダーズ・チョイス』によるカスタム・コンペティション(カスタムのコンテスト)が行われました。

オーナーによって“Nyarlathotep”と名付けられたこのマシン。その名は“クトゥルフ神話などに登場する架空の神”とのことですが、そうした壮大なネーミングも納得のクオリティに仕上げられています

 この『ビルダーズ・チョイス』とは、「会場にエントリーした出展者であるプロ・ショップ同士がお互いに投票し、順位を決めるコンテスト形式」なのですが、15回目を数える今回は同率の投票数で2店舗がベストを獲得。

 それが大阪の『リボルトカスタムサイクルズ』によるショベルヘッド・チョッパーと福岡の『インディアンオレンジモーターサイクル』によるディガーなのですが、まずここでは九州の『インディアンオレンジモーターサイクル』による車両をご紹介させて頂きます。

 ネックが寝た『ロー&ロング』のスタイル、“ディガー”については以前に当サイト(バイクのニュース)で手法や成り立ちの歴史などを簡単に紹介させて頂きましたが、今回のNOCSに『インディアンオレンジ』が持ち込んだマシンも、まさに典型的なディガースタイル。製作者の小田浩司さん曰く「もともとディガーに乗っていたお客さんが事故をキッカケにカスタムが施されたもの」とのことで、ご覧のように定石どおりの姿に仕上げられています。

その中で目につくのが車体の左サイドに装着された巨大なスーパーチャージャーなのですが、これは1970年代に“ディガースタイル”を生み出したアメリカのビルダー、『アーレン・ネス』がマグナチャージャー社とタッグを組み、製品化したもの。

“ディガー”といえばドラッグレーサーを思わせる低く長いシルエットの中に装飾性を持たせた外装を散りばめ、ターボやスーパーチャージャーなどの“過給機”を取り付けることが定番の手法となっていますが、この『インディアンオレンジ』による一台も然り。見事なまでに当時を彷彿とさせるスタイルに仕上げられています。

当時的姿と現代的技術の融合

 とはいえ、この一台はあくまでも現在の技術で生み出されたものであり、後の「整備性」や「走行性」を考えて製作したとビルダーの小田さんは語ります。

エンジンは年式不明のショベルヘッドに点火をダイナSに換装した上でアンドリュース製ABカムをビルドイン。ヘッドはSTD、リフターブロックはJIMS製に交換されています。吸入口が上を向いたダウンドラフトスタイルのウェーバー製IDA48キャブやマグナチャージャーも迫力です

 そうした理念が顕著に表れている箇所として挙げられるのが本来、“アイアンスポーツ”(1957~1983年まで生産されていた鉄ヘッドのスポーツスター)用だった『スーパーチャージャー』をベースマシンとなった“ショベルヘッド”(1970~1985年まで生産されたハーレーのビッグツインモデル)に合わせてリセッティングした点なのですが、ここは後に加給圧のセッティングを容易にする為、新たにプーリーをアルミブロックから削り出し、製作したとのこと。
 
 もともとクランク軸からエンジン前方上部にかけて“コクドベルト(ギザギザがついたベルト)”だった駆動を加給圧の変更が容易な“リブドベルト”に変え、その上で適切な燃料をダウンドラフトスタイルで装着されたウェーバー製キャブに送り込めるように電磁ポンプが備えられています。こうした細かな点が正当に評価されるのも“プロ同士”の投票によるビルダーズ・チョイスの醍醐味でしょう。

ホイールはフロント21インチ、リア16インチというチョッパーの定石に則ったサイズをチョイス。ネックが寝たフレームはインディアンオレンジ製です

 派手なギミックに目を奪われがちな“ディガースタイル”ですが、そうした部分を過剰に目立たせるのではなく、このマシンを前に「全体のスタイルとバランスに留意した」とビルダーの小田さんは語りますが、確かにそうした言葉にも納得するフィニッシュワークが与えられており、ワンオフ(一品もの)で製作されたフレームや鋭角的なデザインのロケットタンク、フリスコテールとなったリア周りなど、すべてが絶妙な仕上がりとなっています。

 オーナーの要望により、フロントフォークこそ若干、長めのものがセットされていますが、その完成形はまさに“ディガースタイル”の手本と呼ぶべき姿です。

 ちなみに今年で創業18年目を迎えた『インディアンオレンジ』がカスタムショーで頂点に立ったのは初の出来事とのことですが、この一台の出来栄えの前では、そんな結果も納得ではないでしょうか。

 プロのカスタムビルダーが「プロだからこその目線で選ぶ」方式の『ビルダーズチョイス』。そこでこうした一台が選ばれることは至極当然の結果といえそうです。

【了】

【画像】インディアンオレンジが製作したディガースタイルのハーレーを画像で見る(12枚)

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Writer: 渡辺まこと(チョッパージャーナル編集長)

ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。

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