年末年始に途方に暮れそうな大渋滞に巻き込まれたら…知っておきたい高速渋滞時のバイクの乗り方!

年末年始は高速道路の大渋滞が毎年恒例のようになっていますが、バイクでの高速渋滞に苦手意識をもっているライダーも多いのではないでしょうか。ノロノロ運転の状態では疲労も蓄積してバランスを崩しやすいだけでなく、追突事故の危険性も高まることになります。高速渋滞にハマった時、一体どうしたら良いのでしょうか?

高速渋滞に巻き込まれてしまったら…

 大型連休に突入する際は、事前に渋滞予報情報がテレビやラジオなどで発表されることがあります。5km、10kmの渋滞予測もあれば、20km、30kmと長距離渋滞が予測されることも珍しくはありません。クルマの場合は座席に座りながらブレーキ操作でじわりじわりと進むことができますが、バイクは二輪のためバランスが悪く、停止と徐行を繰り返す際は地面に足を着地させながら進むことになります。また、低速走行しなければならない場合はクラッチ操作が多くなり、ライダーには大きな負担や精神的ストレスがかかると言えます。

ライダーには大きな負担や精神的ストレスがかかる高速の渋滞

 渋滞に巻き込まれるパターンは2つあり、1つ目はすでに渋滞が起きている料金所付近や事故付近に突入するパターンです。この場合は停止しているクルマの長蛇の列に加わるため、比較的安全に渋滞を通り抜けやすい状況にあるといえます。バイクには特権とも言える「すり抜け」が許されており、停止しているクルマの脇を徐行しながら進むことが可能となります。状況からしてもクルマが車線変更をすることは考えにくく、接触に注意しながら間をすり抜けます。ただし、すり抜けは慣れていないライダーにとっては危険な行為とも言えます。

 JAFによると、すり抜け走行の危険性には3つのポイントがあり「二輪車のすり抜け走行は、安全運転上、推奨される運転ではない。」「バイクのミラーやハンドルが自動車と接触し、転倒リスクがある」「高速道路等で渋滞のすり抜け走行は、十分注意して速度を落とす」とされています。また、「現在、すり抜け走行については道路交通法(昭和35年法律第105号)等において定義が存在しておらず、すり抜け走行自体を直接禁止する規定はありません。しかし、他車との接触、そして転倒の危険性、さらには重大な事故のきっかけになる可能性があるため、すり抜け走行はなるべく控えましょう。」とアナウンスされています。

 渋滞に巻き込まれるパターンの2つ目は、交通の流れが遅くなりはじめ徐々に渋滞に巻き込まれていくパターンです。ブレーキ操作が必要なくらい交通の流れが悪くなりはじめると、クルマは追い越し車線に集中する傾向にあります。その結果、走行車線の方が空きはじめることで、空いている車線に再び戻ってくるクルマも少なくはありません。

 このような車線変更を繰り返すクルマが多い状況では、バイクの「すり抜け」は危険行為そのものと言えます。安全な走行が困難であるにもかかわらず「すり抜け」を行った場合は「安全運転義務違反」や「追い越し違反」に接触する可能性も出てくるので控えるべき状況と言えるでしょう。また、イライラが募っているドライバーの中には、無理矢理車線変更を行ったり、ウィンカーとハンドル操作を同時にすることが考えられるため注意しなければなりません。

路肩走行で渋滞回避?

 高速道路には救急車やパトカーなどの緊急車両が通る広い路肩が存在しています。実は高速道路の路肩走行は一般道とは違い交通違反となります。

高速道路の路肩は緊急車両に限り走行できる車線です

 NEXCOによると「路肩は車道ではありません。路肩は車が故障したときに一時停止したり、警察車両や救急車といった緊急自動車に限りやむを得ず走行できる空間です。一般の車両が路肩を走行することは道路交通法違反となるだけでなく、緊急時の救急活動等の妨げになる恐れがありますので、絶対に路肩を走行しないでください」と路肩走行の禁止がアナウンスされています。路肩走行は「通行区分違反」にあてはまり、違反点数2点・反則金7,000円が科せられることになります。

 しかし、条件によっては路肩走行がOKとされているケースが存在します。それは「緊急避難」と呼ばれるもので、刑法第37条では「自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。」と定められているのです。つまり、急な体調不良やトイレが我慢できないなど、明確な理由がある場合は路肩走行の違反を罰しない若しくは軽減されるといった解釈ができ、警察の判断に委ねられます。

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 渋滞は誰でも避けたい状況であり、距離が長いほどイライラも募ることになります。そんな中、バイクだけがスイスイと間をすり抜ける行為はクルマ側にとっては不快に思うことも多いそうです。すり抜け走行は違反ではないものの、間を走行する際は徐行で通過することや、車線変更で割り込む際は軽く手を上げるなども最低限のマナーとして大切と言えます。また、バイクとクルマでは車間距離の感覚にも違いがあり、バイクにとっては十分な距離であっても、クルマ側からすれば距離が近すぎるといった意見もあるようです。車線変更のタイミングやクルマの後ろを走る際は、近すぎることが原因でトラブルにならないように注意することも大切ではないでしょうか。

【了】

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