インド? イギリス? 本当はよくわかっていなかった巨大メーカー「ロイヤル・エンフィールド」とは

インドの「ロイヤル・エンフィールド」は、イギリス発祥の巨大な老舗バイクメーカーです。いったいどのような歴史があるのでしょうか。

じつは凄い!? 「ロイヤル・エンフィールド」の歴史

 最初に告白します。自分(筆者:松井勉)のなかで、「Royal Enfield(ロイヤル・エンフィールド)」につての認識は次のようなモノでした。

“元イギリスのブランドを現在もインドで継承するメーカーであり、往年の設計図を元に今なおレトロなモデルを造るメーカーで「レトロモダン」という時代の追い風に乗って脚光を浴びている……”じつはその程度しかなかったのです。

2020年より日本でも販売が開始されたロイヤル・エンフィールド「HIMALAYAN(ヒマラヤ)」(税込価格62万5000円)

 ところが、あらためて調べてみると、開発は最新技術をベースにミドルクラス向けにネオクラシックを送り出す、はるかに凄いメーカーだと解ったのです! 認識不足、スイマセンでした!!

針から自動車部品、ライフル部品まで? 製造工場を発展させバイクメーカーに

 まずメーカーの起源を辿ると、19世紀終盤まで遡ります。1891年、英国人の実業家ボブ・ウォーカーとアルバード・エディの2人が世界の産業が大きなうねりを見据え、老舗の針メーカーにして、自動車製造を手がけ始めていた企業を手に入れたことに始まります。

 その後、1893年にイギリス軍向けにライフルなどの製造を手がける「ロイヤル・スモール・アーム・ファクトリー」へ精密部品の納入契約を取り付け、それを記念して工場がある“エンフィールド”の地名を冠し、社名を「エンフィールド・マニュファクチャリング・カンパニー・リミテッド」とします(ここにロイヤルとエンフィールドのキーワードが揃うのですが、それがひとつになるのはまだ先のことでした)。

1893年、社名が「エンフィールド・マニュファクチャリング・カンパニー・リミテッド」に

 1898年にはボブ・ウォーカー自ら設計したエンジン付きの乗り物を製造。ここで社名を「ザ・エンフィールド・サイクル・カンパニー・リミテッド」に改称。1901年から同社初のモーターサイクルを製造開始、まさに120年も前のことになります。

 その後、ロイヤルエンフィールドの名を知らしめる「Bullet(バレット)」シリーズが1932年に登場し、1949年にはラインナップを拡充。インドへの輸出も始まります。1955年には輸出を手がける企業と現地の企業が提携し、「エンフィールド・インディア」を設立。現地生産の工場が1956年から稼働します。こうしてインドにエンフィールドが根を下ろすワケです。

 1964年には「コンティネンタルGTカフェレーサー」を発売。1967年にはイギリスでの生産を250ccの「コンティネンタルGT」と、736ccの「インターセプター」に絞ります。

1967年には「コンティネンタルGT」(250cc)と「インターセプター」(736cc)の2モデルのみを製造。「インターセプター」は1970年6月まで製造が続けられた

 1977年、エンフィールド・インディアがインド生産の「350バレット」をイギリスに輸出開始。1989年には新型500ccエンジンを開発します。

 その後、大きな転機が訪れたのが1994年、インドのトラック、バスメーカー「アイシャーグループ」がエンフィールド・インディアを傘下に納め、「ロイヤル・エンフィールド・モーターズ・リミテッド」として新たにスタート。その後は、現在に至るまでミドルサイズの排気量エンジンを搭載した、同社の歴史と伝統を思わせるバイクを造り続けているのです。

 1999年に350ccのオールアルミエンジンの開発製造や、2008年には500ccのF.I.エンジンを開発。インド国内はもちろん、輸出市場で必須の環境規制にも対応。2013年には塗装工程にロボットを導入した最新設備を持つ工場を稼働させ、新型「コンティネンタルGT」を世に送り出します。

2013年に排気量535ccのユニット・コンストラクション・エンジン(UCE)を搭載する「コンティネンタルGT」を発表

 インド国内は勿論、イギリスでも大きな話題とシェアを誇り、2015年にはアメリカ進出、ハーレー・ダビッドソンのお膝元であるミルウォーキーに現地法人を設立。同年6月にはイギリスのコンストラクターとして、WSBK、マン島TT、世界選手権ロードレース、Moto2、MotoGPなどへのフレーム供給、レーシングチーム運営、コンプリートマシン制作等でお馴染みの「ハリス・パフォーマンス」買収。ロイヤル・エンフィールドとの開発業務を進める中、発展的にハリス・パフォーマンスが持つシャーシ技術を入れ込むことになります。

 最先端のレースはもちろん、ビンテージレース用のレプリカフレーム作りも得意とするのがハリス・パフォーマンスです。近年乗った2気筒の「コンチネンタルGT」などの走りにも大きなプラスがあるわけです。

 2017年にはイギリスのレスター郊外にR&Dセンターを開設。同年には650ccツインエンジン搭載の「インターセプター」、「コンティネンタルGT」を発表。2018年には838ccのVツインを搭載したクルーザー「KXコンセプト」をミラノで発表……。

 歴史をかいつまんでもこんなにボリュームのあるブランドであり、イギリスからインド、またイギリスと、世界を突き進むメーカーだったのです。

ロイヤル・エンフィールド「HIMALAYAN(ヒマラヤ)」と筆者(松井勉)

 そのロイヤル・エンフィールドが2016年に世界デビューさせたアドベンチャーバイク、それが「HIMALAYAN(ヒマラヤ)」なのです。

【了】

【画像】ロイヤル・エンフィールド最新モデル「HIMALAYAN(ヒマラヤ)」を見る(17枚)

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Writer: 松井勉

モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

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