MTB上級ライダーがe-MTBに乗ったらどう感じるのか? 軽量設計のスペシャライズド「Levo SL(リーヴォ・エスエル)」で検証!!

電動アシスト機能付きでありながら軽量で軽快、ジャンプもテクニカルトレイルもこなすスペシャライズド社の2021年モデル「Levo SL」でまる1日走り、MTB上級者に魅力を伺いました。

MTB上級ライダーがeMTBに乗ったらどう感じるか?

 アメリカの大手自転車メーカー「SPECIALIZED(スペシャライズド)」社の最新e-MTB「Levo SL(リーヴォ・エスエル)」でまる1日トレイルを走り、筆者(山本健一)はe-MTBの魅力と課題を知ることができました。

バッテリー容量に不安があるライドに、補助バッテリー「レンジエクステンダー」を利用しない理由はありません

 今回は、ライドに同行したジャーナリストの鏑木豊(かぶらぎゆたか)さんにコメントをいただきました。鏑木さんはオリンピックのMTB(マウンテンバイク)競技種目のメカニックを2度務めたこともあり、こと機材に関する知見はピカイチなのです。南伊豆の舗装路を含む100kmほどのトレイルライドを踏まえて、e-MTB(電動アシスト機能付きマウンテンバイク)についてお話しいただきました。

「日本でMTBやグラベルバイクで遊ぶのは、じつは難しく、都市部に住んでいるとなおさらです。理由は簡単で、身近な場所にオープントレイルやダートがないからで、自走で行ける範囲の道は、ほとんどがアスファルトに覆われてしまっています。

 今回はロングダートを求めて静岡までクルマで向かいましたが、駐車場から走り始めて1時間はみっちりとアスファルトの移動区間。しかもひたすら上り。たとえ都市を離れてもこの有様です。

 しかし“e”の力を借りると、この1時間が“苦行”から解放されます。苦行とは心拍や呼吸がレッドゾーンに入り続けることだけを意味するのではありません。“遅くてスミマセン”“脚を引っ張ってスミマセン”“待たせてスミマセン”という気持ち、世の貧脚ライダーたちが持ち続けている、グループライドでのこういった苦行的コンプレックスは、テクノロジーの前にもはや風前のともしび。我々が持つ卑下する言動は、もう過去のものになっていくでしょう。

五輪のMTB競技で2度、メカニックとして帯同した経験をもつ鏑木さん。ベテラン“MTBer”もe-MTBを楽しめた様子

 結果、我々は新しい世界を目にすることになるでしょうね。それは高い標高だけではありません。トップライダーを含む多くの人との疾走感、時間、景色、風、光、におい……つまりはライドの共有、仲間としての融合です。こうやって人は気の置けない友人を増やして、社会の中に自分の居場所を作っていくでしょう。

 ダートだから面白い、MTBだからアシスト領域でのスピードで楽しい、それ以上の世界を、e-MTBが開いてくれます」

最新e-MTB「Levo SL」のすごいところ

 最新スペック満載の妥協なきe-MTB、スペシャライズド「Levo SL」について、その魅力を伺いました。

「まずは、e-MTBの心臓ともいうべきアシスト機構が秀逸ですね。競合メーカーがトルクを重視しているのに対して、このユニットはパワー&ケイデンス重視の味付けです。 ※[パワー]=[トルク]×[ケイデンス]

 ペダリングに慣れたサイクリストにとっては、誰かに背中を押してもらっているようなナチュラルさが演出されています。走り出しはソッと、ふた漕ぎ目、さん漕ぎ目……と速度が上がるにつれて、ギュッと力強さを増していきます」

 この、ソッとからギュッとの味付けの塩梅は、Mission Controlというアプリを使って自在に変更できます。

スペシャライズド社の2021年モデル「S-Works Turbo Levo SL Carbon」走行後の姿。ウェット路面もありどろんこですが、MTBの正しい使い方といえます

「続いて軽さです。バッテリーをダウンチューブ内に完全内蔵していて、車体重量はe-MTBとしてはとにかく軽いです。最上位の“S-Works”仕様だと17kg台前半と、ライバル製品たちが軒並み20kgオーバーであることを踏まえると大きなアドバンテージですね。

 この軽さは、下りでの楽しさを格段に増幅させます。そして、走行以外のシーンにおいての扱いやすさにもメリットがあります。たとえば押し担ぎ、トランポとなるクルマへの乗せ降ろし。収納スペースや自転車ラックへの移動。20kg超の車体では、成人男性であっても気合いを入れなければ運べない重さです。

 シャシー&サスペンションですが、Levoの車体設計は、モーター&バッテリー部分を除くと、スペシャライズドのトレイル用MTBであるスタンプジャンパーFSRと共通化しています。

 スタンプジャンパーが持つ走破性やスタビリティ、走りの楽しさは、海外サイトのインプレを含めて絶賛のコメントを探すのに時間が掛かりません。モーターありきでMTBを作ったのではなく、トレイルMTBにモーターを載せたのがLevo。しかも重量増は最小限。上りやペダリングセクションでの機敏な動き、荒れた路面をハイスピードで走り抜ける際の圧倒的安定感。ライダーは、スピード感やトレイル状況の変化を存分に味わうことができますね。

 バッテリー容量については、今回のライドは100kmオーバーで走行時間を計算すると5時間以上はかかります。その時間ずっとモーターを動かし続けることは、容量的に難しいでしょう。電源が切れるとアシストゼロで走らないといけません。そんなロングライドなどで内蔵バッテリーの容量に関して不安が生じても、外付けの補助バッテリー、レンジエクステンダーを組み合わせることでさらに延長が可能ですから、軽さと機能が上手く両立されていることがわかります。

スマートフォン連動アプリ「Mission Control」でバッテリー使用量の調整もできます

 また、Mission Controlというスマートフォン連動アプリがあります。このアプリで事前にモーターの特性をチューニングすることもできるので、走りたい距離や時間に基づいて、バッテリー使用量を調整することができます。とはいえ、今回のレベルのライド(距離105km・獲得標高2800m)を楽しく走るなら、レンジエクステンダーは必要になることがわかります」

※ ※ ※

 気合と根性でなんとかならないこともあります。どうしようもない部分を補い、スポーツの楽しさを存分に引き出すのが“e”の力なのです。MTBライドを実践したものの挫折してしまう人でも、これならいけるハズです。

 それはただ楽をするためのチートではなく、スポーツしたい! という気持ちを満たすことができる、新しいツールなのではないでしょうか。

■SPECIALIZED S-Works Turbo Levo SL Carbon 製品概要

価格(消費税10%込み):169万4000円
車体重量:17.3kg
モーター最大出力:ペダリングの2倍
アシスト制限速度:24km/h
最大トルク:35Nm
最大航続時間(レンジエクステンダー装着時):5時間
バッテリー容量:320Wh

【了】

【画像】スペシャライズド「Levo SL」詳細を見る(7枚)

画像ギャラリー

Writer: 山本健一

サイクルジャーナリスト(人力バイクのほう)。ジャーナリスト歴20年、自転車競技歴25年の公私ともに自転車漬け生活を送る。新作バイクレビューアー、国内外レースイベントやショーの取材、イベントディレクターなど、活動は多岐にわたる。

最新記事