2輪系ライターの、仕事とお金 ~ベテランと中堅の狭間にいる伊丹孝裕の場合~ Vol.1

バイク専門誌の編集長を経て、フリーランスのライター(テストライダー)、ジャーナリストとして2輪メディア業界で活動する伊丹孝裕さんの、仕事とお金のリアルなお話です(全11話)。

Vol.1「まえがき」2輪系ライター、伊丹孝裕さん(筆者)のおはなし

 こういう仕事をしていると、しばしば「いいですね、好きなことができて」と言われます。こういう仕事とは、つまり「バイクに乗って生活する」ことを指し、その言葉には「いいよなぁ、ラクそうで」という含みを感じることもしばしば。

連載コラム「2輪系ライターの、仕事とお金 ~ベテランと中堅の狭間にいる伊丹孝裕の場合~」開始

 ラクかどうかはさておき、少なくとも楽しい場面は多いように感じています。ニューモデルにいち早く乗り、それに携わった人の話を聞き、撮影現場で素晴らしい景色に出会い、年に何度かは海外に行く機会がある。そのすべてに対して、なんらかのギャランティが発生するのですから、要約すると「バイクに乗って生活する」と言って差し支えないでしょう。

 肩書にこだわりはありません。「バイクに乗って生活している人」では、いささか不明瞭ですから、プロフィール欄にどう記載するかは、その媒体に任せています。なので、「ライター」、「フリーライター」、「モータージャーナリスト」、「モーターサイクルジャーナリスト」、「テスター」、「リポーター」、「編集」と、時と場合によっていろいろ。

 いずれにしても、バイクとそれにまつわる物事を言葉に置き換え、最終的には「書く」(ごくまれに「話す」場合もあります)というアウトプットに対してお金を頂く。それを日々繰り返しているわけです。

 ここでは便宜上、それを「ライター」としておきましょう。一個人としては、「ライター」と「ジャーナリスト」の立ち位置は決定的に異なると考えているからですが、その話はまたいずれ。

2輪メディア業界で活動する筆者(伊丹孝裕)

 さて、ではこのライターという職業には、一体どうやって就くのか。そして、どういう収入形態なのか? そのあたりの実情を、そこそこ正直に掲載していくのがこのコラムです。

 例えば就職活動をする時、その会社の概要をまず確認しますよね? 仕事のジャンル、休日の日数、給与や賞与のレベル、資格の要不要、勤務地と転勤の可能性……といった条件を可能な限り並べ、それらに自分の能力や希望を照らし合わせながら検討するのが普通だと思います。

 ところが多くのライターは個人事業主ですし、お金に関する話は品がない、あるいは知られたくないという認識が一般的になっていて、仕事の内容もその対価もあまり表には出ません。

 とはいえ、ごく単純に知りたい人がいるのなら、その人のための知識として書いておくのも悪くない。そういう動機で、こうしてキーボードに向かっています。バイクが好きという一念で飛び込んできて、数か月どころか数日で逃げるように去っていく人が後を絶ちませんから。

 もっとも、ライター業界に一石を投じるつもりも、波紋を呼ぶつもりも、ザワつかせるつもりもなく、あくまでも「僕の場合はこうですよ」という事実をお伝えするだけです。

 したがって、ライターになることを勧めるものでもなければ、夢や希望を語るものでもありません。こうした職種に興味があるのなら「へぇ、そうだったのか」、「割に合わないな」、「自分には無理」、「意外と儲かる」などなど、なにかしら得るものがあるといいな。それくらいの気持ちです。

 というわけで、以後よろしくお願いします。

【了】

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Writer: 伊丹孝裕

二輪専門誌「クラブマン」編集長を務めた後にフリーランスとなり、二輪誌を中心に編集・ライター、マシンやパーツのインプレッションを伝えるライダーとして活躍。マン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムなど、世界各国のレースにも参戦するなど、精力的に活動を続けている。

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