スポーツマインドを刺激する125ccクラスのスポーツネイキッド KTM「125 DUKE」はキビキビとしたハンドリングも楽しい
シャープなデザインのスポーツネイキッド、KTMの「DUKE(デューク)」シリーズ最小排気量モデル「125 DUKE」に試乗しました。どのような乗り味なのでしょうか。
スポーティな走りを楽しめる、装備もデザインもKTMらしい仕上がり
オンロードもオフロードも問わず、近年さまざまなモデルを送り出しているメーカーがオーストリアのKTMです。2020年の輸入車中、国内販売台数はハーレー・ダビッドソン、BMW Motorrad、トライアンフに次ぐ4位に躍進。その成果に大きく貢献したのが「DUKE(デューク)」シリーズです。

デュークはシャープなデザインを持つスポーツネイキッドで、フラッグシップの「1290スーパーデュークR」を筆頭に、「890デュークR」、「890デューク」、「390デューク」、「250デューク」、「125デューク」と多用な排気量をラインナップ。ここでは、KTMらしさが最も手軽に味わえる「125デューク」のインプレッションをお届けします。
車体に貼られている「125」のロゴを見なければ、250デュークとも390デュークとも見分けがつかないはずです。なぜなら排気量以外は足まわりもフレームも外装も共通で、そこに入門クラスのような雰囲気は皆無。トップブリッジ前方に備えられた大型のカラーTFTディスプレイが、その象徴と言えるでしょう。
その画面内には美しいグラフィックでタコメーターが大きく表示され、スピードやギアポジション、トリップメーター、走行時間といった情報の他、ABSのモード(ROAD/SUPERMOTO)などもひと目で把握できるようになっています。
ちなみに、SUPERMOTOとはリアブレーキのABSをキャンセルできる機能で、よりアクティブなライディングを実現。画面の切換や選択はハンドル左側のスイッチを通し、直感的な操作が可能です。
また、スイッチボックス内には白色のバックライトが装備されているため、夜間における操作性と質感の向上を両立。コックピットまわりがこれほど充実し、所有欲を満たしてくれる125ccモデルは、そう多くありません。

もちろん、走りもそれに見合う装備と性能が与えられています。WP製の前後サスペンションはしっかり減衰が効き、ストローク感をしっかりと伝達。大きなギャップを拾っても頼りなさはなく、純正装着されているミシュランのラジアルタイヤ「ロード5」のグリップ力も手伝って、ついついペースが上がっていきます。
意外だったのは、エンジンの低速トルクが思いのほか力強かったことです。兄弟ブランドであるハスクバーナ・モーターサイクルズの「スヴァルトピレン125」にも同じ条件で試乗したのですが、このモデルでスタートする時は3000から4000rpmでクラッチをつなぐのに対し、125デュークは2000rpm強でスルスルッと発進。明らかな余裕が感じられました。
この両モデルのエンジンの仕様は同じですが、じつは125デュークの車重は7kgほど軽量に仕立てられています。そのあたりの違いが、体感的な差として表れたようです。

アップハンドルを備えているため、ライディングポジションは安楽そのもの。既述の通り車体は軽く、燃料なしの状態で139kgに過ぎませんから、誰もが気軽に扱えるはずです。
ひとつ指摘しておくと、シート前端部分が少々角張っていて、足を地面に降ろした時は少し股が開き気味になります。小柄なライダーはディーラーなどで足つき性を確認しておくといいでしょう。とはいえ、座面はフラットで、前後左右の自由度が確保されていますから、幅広い体格をフォロー。ビギナーはスポーツライディングの基本を学べる、ベテランはスロットルを開け切る喜びを堪能できる、よきツールになってくれるに違いありません。

リアシートにセットできるバッグやアクラポビッチ製のスリップオンサイレンサー、バーエンドミラーといった純正アクセサリーも豊富に用意され、カスタムも手軽に楽しむことができます。スポーツ性を重視するのも、快適性を引き上げるのも思いのままです。
デザインもハンドリングもエンジンも若々しさに溢れ、街中を軽く走らせているだけでスポーツマインドを刺激してくれるモデルに仕上がっています。4輪には、軽量コンパクトな車体を活かし、水すましのような走りを楽しむ「ボーイズレーサー」と呼ばれるジャンルがありましたが、「125デューク」はその2輪版。現ボーイズはもちろん、元ボーイズにもそのキビキビとしたハンドリングを楽しんでみてはいかがでしょう。
KTM「125 DUKE」の価格(消費税10%込み)は53万9000円です。
【了】
Writer: 伊丹孝裕
二輪専門誌「クラブマン」編集長を務めた後にフリーランスとなり、二輪誌を中心に編集・ライター、マシンやパーツのインプレッションを伝えるライダーとして活躍。マン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムなど、世界各国のレースにも参戦するなど、精力的に活動を続けている。