カワサキ「Ninja ZX」シリーズの最高峰「10R」とエントリーモデル「25R」 2つのモデルに共通する特性とは

カワサキは愛知県のスパ西浦モーターパークにおいて「カワサキプラザスタッフ向けNinja Team Green Cup講習会」を開催しました。そこでは新型の「Ninja ZX-10R」が展示されるとともに、コース使用の合間を縫って新型10Rを走らせることができました。試乗したジャーナリストの和歌山利宏は「10R」と「25R」にある共通点があることに気づいたようです。

Ninja ZXシリーズの持つ共通性

 カワサキはNinja Team Green Cupを企画、Ninja ZX-25R(以下: 25R)のワンメイクレースを開催し、モータースポーツを通じてバイクの面白さの拡げようとしています。そのカワサキプラザスタッフ向け講習会が先日、SPA西浦で行われたのですが、私の新型Ninja ZX-10R(以下: 10R)への試乗は講習会に展示された車輌によるものだったのです。

カワサキ「Ninja ZX-10R」新型モデル(左)と4気筒250ccエンジン搭載の「Ninja ZX-25R」。ジャーナリストの和歌山利宏さんがその共通点を考察します

 当然ながら、カワサキのスーパースポーツにおいては、25Rがベーシックな普及モデルで、ミドルクラスの6R(Ninja ZX-6R)、最上級となる10Rがラインアップされ、ライダーの技量や取り組み方に合わせたチョイスが可能になっています。

 とは言え、先日のSPA西浦に並べられた25Rと10Rを眺め、両車が兄弟モデルであるとごく自然に感じられたことには、いささか意外な気がしないでもありませんでした。25Rもスタイリングは「Ninja」そのもので高いクォリティを思わせても、性能面では大きく異なるからです。

カワサキ「Ninja ZX-10R」新型モデルを試乗する筆者(和歌山利宏)

 そのとき私が10Rと25Rを兄弟モデルと感じたのは、ハンドリングに通じるものがあるためだとしていいでしょう。もちろん、現地にはなかった6Rも仲間に入れることに異論はありませんが、ただ現行型の基本は07年型で、特性としては理想的で中立的と呼べても、10Rと25Rほどはそれらに通じる特徴を際立たせているわけではありません。

「10R」譲りのハンドリングが与えられた「25R」

 10Rのハンドリングの特徴やワールドスーパーバイク選手権での強さの秘密については、前回の試乗記でお伝えした通りですが、おさらいしておくと、10Rの車体は、エンジンのクランク軸が前方低めにあるのに対し、エンジン重心は高めに置かれています。

カワサキ「Ninja ZX-10R」新型モデルにおける1次旋回(左)と2次旋回(右)の様子

 そのため、1次旋回ではクランクのジャイロ効果が抵抗となって安定性に富み、寝かし込みにくさを生かして舵角を入れやすい一方、2次旋回では高めの重心によって自然にリーンしてくれるわけです。1次旋回と2次旋回が明確に造り込まれ、それがジョナサン・レイのライディングスタイルとも合っているのです。

カワサキ「Ninja ZX-25R」における1次旋回(左)と2次旋回(右)の様子

 そして、25Rではエンジンの軸配置や重心位置などが10Rに準じた設計であるとのことです。ひねくれた見方をすれば、設計者は実績のあるものを拠り所として取り組んだのであって、狙ったライディングスタイルの実現のためではなかったのかもしれません。でも、たとえそうだったとしても、車体ディメンジョンを10Rから受け継いだ25Rのハンドリングが10Rに通じることは事実です。

 ダラダラと寝かしていくような乗り方だと、中間バンクから高重心であることのネガによって不安定に感じるかもしれませんが、初期に舵角を入れてから、ダイナミックにコーナーに飛び込んでいく感じでメリハリ良く乗ってやれば、至って従順です。

 言ってみれば、両車はライダーに正しい乗り方を探求させてくれるハンドリングなのです。実際、25Rのコーナリングでは、今日的なレーシングスタイルよろしく上体を大胆にイン側に入れたフォームが似合います。

サーキットのみならず一般道でも安定感のある走行を実現

 となると、10Rも25Rもサーキット向きに先鋭化しているようですが、決してそうではありません。浅いバンク角ではクランクのジャイロ効果による安定感があり、特に25Rでは日常使用やツーリング走行でも快適で、一般公道に順応してくれます。また、電子制御サス装備の10R SEでは、サスの制御設定をソフトなモードにしてやれば、ストリートスポーツであるかのようなフレンドリーさです。

一般道においても安定感のある走りを見せるカワサキ「Ninja ZX-25R」

 そして、両車ともワインディングでは、中間バンクまでの旋回性を生かしてリズムに乗って楽しむことができますし、リズムに乗るほどに面白くなります。

 さらにサーキットでは、上手に乗ってやれば、自然と速さはあとから付いてくると言っていいでしょう。悪く言えば、万人に走り出すなり自身がうまくなったと思わせるようなハンドリングではないのです。これが逆に、いきなりうまくなったと勘違いさせるハンドリングだと、得てして速く走るためにはひたすら速く走ることに集中しなければならないことになりがちです。

 そうした意味で、入門用ともなる25Rは、ライダーを育てていくハンドリング特性を備えていることになります。そして、同じ方向性で最上級の10Rまでステップアップしていけるのですから、カワサキのNinja Team Green Cupが長期的なビジョンの上で成り立っていると思えてくるのです。

【了】

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Writer: 和歌山利宏

1954年2月18日滋賀県大津市生まれ。1975年ヤマハ発動機(株)入社。ロードスポーツ車の開発テストにたずさわる。また自らレース活動を始め、1979年国際A級昇格。1982年より契約ライダーとして、また車体デザイナーとして「XJ750」ベースのF-1マシンの開発にあたり、その後、タイヤ開発のテストライダーとなる。現在は、フリーのジャーナリストとしてバイクの理想を求めて活躍中。

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