“箱型”に変形する電動バイク「ハコベル」に見た 新たな時代への可能性と忘れてはならない「遊び心」
2021年4月17日に静岡県函南町にある“バイカーズパラダイス南箱根”で “電動バイクCAFEミーティング”が開催されました。同会場には様々な電動バイクが展示されましたが、中でも目を引く一台が箱型にたためる「HAKOBELL(ハコベル)」です。どのようなコンセプトで製作されたのでしょうか。
電動バイクならではの利点を最大限に活用
新たなジャンルのバイクだからこそ感じる新たな可能性……去る2021年4月17日に静岡県の函南町にある“バイカーズパラダイス南箱根”で開催された“電動バイクCAFEミーティング”ですが、その中で冒頭の言葉を最も象徴するのが、ここに紹介する「HAKOBELL(ハコベル)」と名付けられた1台かもしれません。

一目見ただけで印象に残る四角いカタチのこのバイクですが、その最大の特徴が「たたんで運べる」という部分であり、それこそがまさに「電動バイク」にとって打ってつけのコンセプトとなってます。
過去を見れば1960年に平野製作所から販売されたトランク型のミニバイクである「バルモビル」や、1981年に登場したホンダの四輪モデル「シティ」のトランクに収納し、運べることを謳った「モトコンポ」などがありましたが、ガソリン内燃機関であるということを考えると「匂い」や「燃料漏れ」の問題などがあったことは否めないでしょう。

ましてやバッテリー液を補充するタイプの“鉛蓄電池”バッテリーを搭載していた当時の車両では、同じく“液漏れ”の問題から車体を横倒しにすることもままなりません。
対して昨今の電動バイクでは、スマートフォンなどのモバイル機器でも使用されているリチウムイオン・バッテリーを搭載しているため、バッテリー液の漏れの心配も極めて少なく、バッテリーを縦横自由に積載出来るという利点があるのですが、それを最大限に活かしたと言えるのがこの“ハコベル”です。
トランスフォーマーの設計・デザインで得たノウハウを投影
ちなみに製作した“ICOMA Inc.”の代表である生駒崇光さんは過去に玩具メーカーの“タカラトミー”で、あの“トランスフォーマー”の設計・デザインを担当していた経歴を持つのですが、いうまでもなくこの車両にも「クルマがロボットに変形するオモチャ」の開発で得た経験が存分に活かされています。

「箱状にすることで机の下や玄関先にデッドスペースを作ることなく駐車出来る」というコンセプトゆえの車両の可変システムは、既存のバイクビルダーとは違うアプローチを感じさせるもので、とてもユニークです。
また、“ハコベル”は主だるパーツが3Dプリンターで試作されているのですが、そうした点もまさに今の時代ならではの発想。まだプロトタイプゆえ、完成までには時間がかかりそうですが、現時点でも将来的な可能性を感じさせるデザインとコンセプトには正直、見ている側のコチラもワクワクさせられます。

「あえてこの大きさにしたのは将来的に160サイズの宅急便で“運べる”ということを見据えているからです。その上で重量を30kg以下に抑えれば、たとえば、あらかじめ旅先の宿やコンビニに送ることも出来ますし、ちょっとしたアシにもなるんじゃないかなと。
あとオフィスの机の下に置いて、ちょっとした買い物の時に使ったり、積み上げて置けるという特徴を活かしてレンタルバイクとして活用して頂くのもイイですね。ウチは今年の3月31日に創業したばかりのベンチャー企業なんですけど、電動バイク業界もまだ始まったばかり。今回のイベントに合わせて試作車を完成させた段階なんですけど、ウチみたいなメーカーが参入出来る余地もあるので夢も広がっていますよ」とも語る生駒さん。
1883年にゴットリープ・ダイムラーによって生み出され、その後も進化と発展を重ね、今に至るモーターサイクルというカルチャーですが、この先の10年、20年は「ガソリン内燃機」に変わり、「電動バイク」の時代が確実に訪れます。そうした時代の変換をいかに楽しむか……それを改めて教えてくれたのが、この“ハコベル”のような気がします。
趣味性の高いバイクに於いて、いつの時代でも変わらない「遊び心」を封じ込める「タイムカプセル」のような存在が、ともすればこの“ハコベル”なのかもしれません。
【了】
Writer: 渡辺まこと
ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。







