個性あふれるアメリカン・スクランブラー!! インディアン「FTR Rally」はスポーツ性能も魅力的だった

120年の歴史を持つアメリカのモーターサイクルカンパニー「インディアンモーターサイクル」が現代に放つ個性的なモデル「FTR Rally」に試乗しました。

フラットトラックレーサーをモチーフにストリートモデルが誕生

 今からさかのぼること120年前、1901年に誕生したアメリカのブランドが「Indian Motorcycles(インディアンモーターサイクル)」(以下、インディアン)です。工場の操業停止や破産を経験し、その名はしばらく表舞台から消えていましたが現在は復活。さまざまなクルーザーやスポーツモデルを送り出している他、モータースポーツでも大活躍するほど活況を取り戻しています。

インディアンモーターサイクル「FTR Rally」に試乗する筆者(伊丹孝裕)

 そんなインディアンの中でもオフロード色の強いモデルが、この「FTR Rally(ラリー)」です。ご覧の通り、スクランブラーにもネイキッドにもクルーザーにも見える不思議なスタイルですが、モチーフになっているのは「FTR750」というフラットトラックレーサーです。

 インディアンは、それを元ネタにまず「FTR1200」と「FTR1200S」を発売してヒット。「FTR Rally」はその兄弟モデルとして登場し、悪路の走破性を高めるための装備が追加されています。

 FTR1200シリーズよりも高い位置にあるハンドル、ピレリのブロックタイヤ、ワイヤースポークホイール、メーターバイザー、ブラウンのシート表皮などが追加、もしくは変更されたパーツで、ワイルドな雰囲気をプラス。なかなかの威圧感を発散しています。

 ちなみに、撮影車両に装着されているタンクバッグ、サイドバッグ、サイドバッグ用の取り付けマウント、リアのラゲッジラック、スマートフォン用のマウントといった装備は本来オプションですが、2021年6月末までに新車を成約したユーザーにはプレゼントされるとのこと。ユーティリティが格段に増すアイテムゆえ、かなり魅力的なキャンペーンではないでしょうか。

2021年6月末までに新車を成約すると本来オプションのアイテムを「ツアーパッケージ」としてプレゼント

 シート高は853mmあり、身長174cmの僕(筆者:伊丹孝裕)にとっては結構高め。ただし、ワイドなアップハンドルのおかげで上体や腕に負担は掛からず、取りまわしも無理なく行うことができました。

 秀逸なのは、13.0リットルの容量を持つ燃料タンクが可能な限り低いところにセットされている点です。これによって重量物の配置がグッと低くなり、安定性が向上。シート高のわりに軽々扱えるのは、この低重心設計のおかげに他なりません。

 また、安定性に貢献している要素は他にもあり、フロントに装着されている19インチホイールと1524mmというホイールベースがそれです。大きなホイールと長めの車体がもたらすハンドリングにはしっとりとした手応えがあり、車体は「パタンパタン」というより「グラリグラリ」と大らかなリズムでバンク。とくに中高速コーナーが続くワインディングを得意とし、自分の意志で操っている感覚を堪能できるはずです。

シート高853mmの車体に身長174cmの筆者(伊丹孝裕)がまたがった状態

 タイヤには、ピレリ製のスコーピオンラリーSTRというブロックタイヤが標準装着されています。そのパターンはオフロード走行ありきかと思いきや、見た目とは裏腹にオンロードでもまったく違和感がないほどグリップ。かなりバンクさせても腰砕けになるような気配はなく、スポーティなコーナリングを実現しています。

「FTRラリー」の美点は、エンジンにもあります。排気量1203ccの水冷Vツインは123HP/8250rpmの最高出力を公称するものの、余裕のあるトルクによって、そこまで使う必要はありません。ギアが何速に入っていても4000rpmも回っていれば力強く加速。230kgの車体を難なく押し出し、同時に心地良い鼓動感を身体に伝えてくれます。

 心地良いのはサウンドも同様で、とくに印象的なのはスロットルの開閉に連動して「シュゴッ、シュゴッ」と響く吸気音です。まるでひと昔前のキャブレターさながらの味わいがあり、アラフィフ世代のライダーならノスタルジックな気分に浸れるのではないでしょうか。

 もちろん、実際にはインジェクションで燃料を供給していますから、パワーもトルクもスムーズに上昇していきます。エンジンモードは備えていませんが物足りなさなどなく、だからといってアグレッシブ過ぎない、ちょうどいいキャラクターに仕立てられています。

排気量1203ccの水冷60度Vツインエンジンを搭載

 少々ピンポイントな部分に目を向けると、スロットルを開けた時のみならず、閉じた時のフィーリングに感心させられました。一般的に大排気量のツインエンジンは、エンジンブレーキが強く効き、ギクシャクすることが珍しくありません。ところが、このモデルは高い回転域から急激に右手を戻しても「スーッ」と滑らかに減速。速度が落ち過ぎたり、車体姿勢が前のめりになり過ぎることがなく、すべてがコントローラブルなのです。

 インディアンは日本ではまだ馴染みのないブランドですが、ハーレー・ダビッドソンだけがアメリカンモーターサイクルではありません。日本車やヨーロピンバイクの中に割って入るほどのスポーツ性を持ち、それでいて個性的なデザインをまとっているアメリカンスクランブラーが、この「FTRラリー」なのです。

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 インディアンモーターサイクル「FTR Rally」の価格(消費税10%込み)は209万8000円からとなります。

【了】

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Writer: 伊丹孝裕

二輪専門誌「クラブマン」編集長を務めた後にフリーランスとなり、二輪誌を中心に編集・ライター、マシンやパーツのインプレッションを伝えるライダーとして活躍。マン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムなど、世界各国のレースにも参戦するなど、精力的に活動を続けている。

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