燃料タンク部分にメットイン! クラッチ操作不要のホンダ「NC750X」DCT仕様 2021年最新モデルはとにかく良いバイク!

ホンダの大型スポーツモデル「NC750X」は、ツーリングから日常使いまで、走る楽しさと扱いやすさを両立させたクロスオーバーモデルです。2014年の新登場から熟成が進み、2021年には2度目のフルモデルチェンジ、そのDCT仕様に試乗しました。

定番クロスオーバー、エンジン、走り、心地よさ、マシマシに

 2021年2月下旬に登場したホンダの新型「NC750X」、そのDCT(Dual Clutch Transmission:デュアル・クラッチ・トランスミッション)搭載モデルに試乗しました。リポートを書いている今もしっかりと残るその印象は、エンジンの気持ちよさ、走りの気持ちよさ、そして全体がもたらすライディング中の心地よさがガッツリ伸張しています。全体から香るキープコンセプトなムードから「定番NCシリーズを再確認」的なルーティンワークを予想した私(筆者:松井勉)は、それを良い意味で裏切られたのです。

ホンダ「NC750X DCT」(2021年型)に試乗する筆者(松井勉)

「NC」シリーズと言えば、シート下に燃料タンクを設け、通常の燃料タンクのある場所にフルフェイスヘルメットがすっぽり入るラゲッジスペースを設けた独自のパッケージが特徴です。

 搭載するエンジンも、ラゲッジ空間を可能にするため思い切った前傾シリンダーレイアウトを採用する直列2気筒。代々「NC」のパワーユニットは90度位相のクランクシャフトを持ち、鼓動感と潤沢なトルクにより、大型クルーザーモデルのような加速フィールを持っています。自然とかっ飛ぶ走りよりも、淡々としたペースにライダーを誘いつつ、一発一発の爆発がしっかり後輪を蹴るような力の出し方で満たす、そんな味付がウリのバイクなのです。

 また、高回転高出力型の対極をゆくようなエンジン設定のため、通常走行時のエンジン回転数を低く抑えてもグイグイと走り、排気量から想像できない低燃費を記録することでもお馴染み。おしむらくは、走れば魅力的なのに、生真面目に見られがちで、バイク好きの王道を行くライダーにはあまり振り向かれないことでしょうか。

 個人的には、「NC」ってマニア指数が密かに高く、独自のポジションを持っていて大好きなのですが……。羊の皮を被った狼的たとえをすれば、地味な皮を被った風に見えるジュエリーだと思うほど。

ホンダ「NC750X DCT」(2021年型)カラー:グランプリレッド。車体側面の外観変更によりフロント足まわりの軽快な印象が強調されている

 そんな「NC750X」の新型は、定番らしい進化の中に新たなアプローチを詰めてきました。まずエンジンがものすごく軽快になったのです。内部の摺動パーツ、回転パーツを軽量・最適化、これがレスポンス向上に効いています。さらにエンジンに取り入れる空気の流れや、排気の流れをスムーズにしたことで、アクセルを開けた時に気持ち良い加速をしっかり掘り起こしています。

 新しい環境規制に適合しながらも、最高出力、最大トルクともに先代よりも上げたほか、持ち前の燃費性能も向上させるなど、「NC」ファンにとってはなんともジューシーな内容のモデルチェンジとなっているのです。

 走らせて最初に感じたのは、乗り心地の良さです。それはサスペンションに上質な吸収性が加わり、タイヤから伝わる路面の状況が解りやすくなっています。まるでいつも走る道が綺麗な舗装になったかのよう。あわせてブレーキの制動力、タッチともに「良くなった」と思えるほど。

 そこに新型のエンジンです。レスポンスを上げた、と言っても「NC」らしいトルク型の加速は健在。それでいて加速力とエンジンの回転上昇がシンクロした印象はこれまでの「NC」にはないもの。排気量が100ccくらい増えた印象の力感なのです。

 また、新型では電子制御スロットル、いわゆるフライバイワイアーとなったお陰でアクセル操作力が軽いため、よりその印象が好転しています。とにかく走りがいい。

新デザインの液晶メーター、スロットルバイワイヤシステム新採用、左グリップのスイッチボックスにはライディングモード選択スイッチを装備。グリップヒーターは先代同様標準装備

 ライディングモードの採用もニュースです。「スポーツ」、「スタンダード」、「レイン」、「ユーザー」という4モードを選択可能、それぞれでエンジンレスポンス、エンジンブレーキのかかり具合、シフトタイミング(DCTモデルの場合)、そしてトラクションコントロールの介入具合が変化します。ユーザーモードではそれらのパラメータをライダーのお好みで合わせこむことで、「NC」を自分流に染めることも可能です。

 今回乗ったDCTモデルで市街地を走り、その違いを感じてみると、スポーツモードでは2速か3速を中心にした加減速のレスポンス重視に、スタンダードでは従来モデルよりもギアリングが加速型になったため、より軽快に感じます。レインモードは良い意味で従来の「NC750X」的なしっとりとした加速とシフトスケジュール……となります。

 自分の好みで設定できるユーザーモードで、パワーデリバリーはスタンダードと同様、エンジンブレーキの掛かり具合は弱めに、シフトスケジュールはレインと同様に……といじると、早めのシフトアップで豊潤なトルクを感じつつグイグイ加速する、自分の中にある「NC」らしい走りとマッチしたものになりました。また、DCTとのマッチングもさらにアップデイトされた様子。ホンダのキラコン、DCT未体験の方は是非試乗を。

高速道路での巡航性能もよりスムーズでストレスフリーに

 最後に、高速道路での印象です。エンジンに力が加わった分、120km/h制限の道でも今までの「NC」よりスムーズに巡航でき、さらにストレスフリーになりました。ここまで高速巡航性能が良いとクルーズコントロールが欲しい! と言ったら贅沢でしょうか。

 まとめると、ピークを上げて裾野を拡げた新型「NC750X」は、レザーで覆ったジュエリーがバッチリ透けて見え始めた、じつに良いバイクです。

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 2021年型のホンダ「NC750X DCT」の価格(消費税10%込み)は99万円、MT車は92万4000円です。

【了】

【画像】ホンダ「NC750X DCT」(2021年型)詳細を見る(13枚)

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Writer: 松井勉

モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

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