シート下にバッテリーを収納するヤマハの電動バイク「E-Vino」 荷物の積載性はどれくらい? 検証してみた

電動バイクはスクータータイプであっても、シート下にバッテリーが収納されているためトランク容量は小さめです。スクーターならば荷物を積載する利便性が欲しいところですが、実際はどうなのでしょうか。ヤマハ「E-Vino」の積載ポテンシャルを検証しました。

シート下収納はバッテリー用。スペアバッテリーもすっぽり入る

 ヤマハ「E-Vino(イー・ビーノ)」は、2015年に発売された原付1種に分類されるスクータータイプの電動バイクです。内燃機関(排気量50cc)の原付スクーター「VINO(ビーノ)」がベースとなっており、全体的に丸みを帯びたかわいらしいルックスと軽量な車体が特徴です。

ヤマハの電動バイク「E-Vino」(原付1種区分)

「E-Vino」はバッテリーがシート下に収納されているため、「VINO」よりも積載容量が小さくなっていますが、実際のユーティリティはどうなのでしょうか。収納のスペックをチェックしてみると、ハンドル下には荷掛フックと、左側にオープンタイプのポケットがひとつ備わっています。深さは十分でスマートフォンはもちろん、500mlペットボトルなども入る大きさです。アクセサリーソケットはありません。

 そしてバッテリーが収納されているシート下には別売りのスペアバッテリーを格納することができますが、スペアバッテリーを入れなければ、容量約10リットルの収納スペースとして利用することもできます。

 ただし、このスペースの形状が少し曲者です。バッテリーを搭載することも想定されているので、深さはあるのですが幅が狭いのです。測ってみたところ、最も上の部分で、だいたい27.5cm(縦)×27.5cm(横)×40.4cm(深さ)、最奥はさらに少し狭くなっていて、14.5cm(縦)×17cm(横)でした。※バイクの進行方向から後方にかけての距離を「縦」、車体の横幅にあたる距離を「横」としています。

シート下の収納スペースはスペアバッテリーが入る形状

 いわゆる会社員が持つようなビジネスバッグは、幅が狭すぎて入らないでしょう。ヘルメットは言わずもがな。このスペースに収まるような細長い荷物として考えると……ボディバッグや雨具などでしょうか。スペアバッテリーを格納する場所なので、収納スペースとしては使い勝手が良いとは言えない、というのが正直な感想でした。

 今回は約2週間にわたり100km以上走行して使い勝手などを検証しましたが、その期間中には何度かスーパーやコンビニで買い物をしてみました。やはり買ったものをシート下には入れづらく、荷掛フックを使うことがほとんどでした。シート下にお弁当など入れたなら“寄り弁”になることうけあいです。

 ただ「E-Vino」は“ちょっとそこまで”の行動範囲を想定しているため、ちょっとそこまでの距離を、ちょっとしたお買い物のために乗る、と考えればアリなのかもしれません。

重い荷物を積んで走ったら、出力は変わる?

 では、重い荷物を載せて走ったら、パワーに影響するのでしょうか。それはつまり、積載やライダーの体重によって出力がどう変わるのか、ということでもあります。そこで、2リットルのペットボトルを3本、つまり6kgほど重量が増した状態で長めの坂道を走行してみました。テスター(筆者:伊藤英里)は身長153cm、体重43kg。長めの上り坂を標準モードで走って検証しました。一時的にパワーを上げるブースト機能は使用していません。

バッテリーと車体はプラグでつなぐ。作業はとても簡単

 ペットボトルなしの状態では、標準モードでも坂道の途中で30km/hに到達しました。一方、2リットルのペットボトル3本を載せた状態で上ってみると、明らかに加速が鈍ったではありませんか。坂道の頂上付近で30km/hには達しましたが、それでも“やっとこさ”といった具合でした。

 このとき「E-Vino」には筆者の体重43kg+ペットボトルの重量6kg、合計49kgが載っていたことになります。電動スクーターの場合、体重や積載重量が出力にも目に見えて影響を及ぼすことがわかりました。おそらく電費にも影響するでしょう。もし走る人の体重が60kgの場合は、さらに影響を受けることが想像できます。また、坂道が多いエリアは「E-Vino」向きではないかもしれません。

 ただ、確かに収納力や積載重量のデメリットはあるものの、電動バイクが不便だと一概に断じることは乱暴でしょう。電動バイクはガソリンスタンドに行く必要はありませんし、音が静かで深夜、早朝の時間帯に気を遣わずに済みます。

このくらいのバッグだとシート下には入らない

 また、これまで自転車や電動アシスト自転車に乗ったことがある人ならすぐに慣れるだろうと思えるほど、気楽に走らせることができるというメリットもあります。内燃機関のバイクのように、走らせるシーンによってメリットの方が大きいと感じることもあるはず。移動手段の可能性のひとつとして考えることは大いに“アリ”ではないでしょうか。

※ ※ ※

 ヤマハ「E-Vino」の価格(消費税10%込み)は25万9600円、標準装備のバッテリーと同じスペアバッテリーは5万8740円です(専用のバッテリーダンパーも必要)。

【了】

【画像】ヤマハの電動バイク「E-Vino」の積載と収納について検証してみた(6枚)

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Writer: 伊藤英里

モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。

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