クラスを超えた堂々たる風格 台湾キムコ「X-TOWN CT125」日本導入予定の原2スクーターに乗る
台湾市場で2000年より21年連続販売台数No.1を誇るバイクブランド「KYMCO(キムコ)」は、125ccクラスの新型スクーター「X-TOWN CT125」を日本導入予定です。先駆けて試乗しました。
125ccクラスを超えた風格、乗り味もいたってスムーズ
本国の台湾はもちろん、ヨーロッパでも高い人気とシェアを誇るKYMCO(キムコ)の125ccスクーター「X-TOWN CT125」(以下、X-TOWN)に初試乗。ツーリングにも使える安定性と利便性の高さが印象的でした。

ライダーである僕(筆者:伊丹孝裕/身長174cm)がまたがっている写真からも分かる通り、なにより印象的なのは車体サイズでしょう。ピンクナンバーの原2クラスとは思えないほど風格があり、雰囲気は完全にビッグスクーター(250ccクラス以上)のそれ。キムコには、排気量550ccの並列2気筒エンジンを搭載したフラッグシップ「AK550」というモデルがあるのですが、全長はこの「X-TOWN」が上回っているほどです。
実際、車重は167kgとなかなかのもの。それを11kw(15ps)の最高出力を発揮する水冷4ストロークOHC単気筒で走らせるわけですが、意外なほど力不足は感じません。エンジン回転数の上昇スピードこそ、特別鋭くはないものの、ごく普通のスロットル開度で楽々と交通の流れをリード。全開にしても振動はほとんど伝わってこず、苦しそうな素振りを見せることなく、スムーズに車速が増していきます。

僕は普段、ヤマハの「トリシティ125」で移動することが多いのですが、加速フィーリングはこれと似ています。それもそのはず、「トリシティ125」の車重は159kg(ABSなし)、最高出力は9.0kw(12ps)ですから、ほぼ互角と言っても良いでしょう。
大柄な車体にネガティブな要素はなく、ハンドリングにはむしろ好影響をもたらしています。足まわりはフロントにテレスコピックタイプの正立フォーク、リアにツインショックを装備し、それぞれに13インチ径のホイールを組み合わせるオーソドックスなものですが、スクーター特有の軽々しさがなく、タイヤはしっとりと路面をトレース。路面が少々荒れていても、常にツアラー的な落ち着きを見せてくれました。
もしもキビキビとしたレスポンスを望むなら、フットレストの足をフロアボードの前へ投げ出し、クルマのような姿勢を取ると良いでしょう。右へ曲がりたい時は右足に軽く力を込め、左はその逆。そうやって積極的に荷重を掛けるとコーナリングのきっかけをたやすく作ることができます。旋回中はバックレストが腰をホールドし、バンク角に不足もないため、見た目よりはるかにシャープな走りで応えてくれるはずです。

メーターのデザインもそれにたがわず、右にタコメーター、左にスピードメーターを配したスポーティなもの。中央のデジタルディスプレイでは水温、電圧、オドメーター、トリップメーター、時計、ガソリン残量といった各種情報を確認することができます。
もちろんスクーターですから利便性もしっかり追求されています。容量たっぷりのシート下スペースには当然フルフェイスのヘルメットが収納できるほか、12Vの電源ソケットも装備。さらにハンドル中央に備えられたロゴプレートを開くとUSBコネクターがあらわれ、スマートフォンとの接続が容易になっています。
このほか、左右のブレーキレバーにはそれぞれ4段階の調整幅があり、ライダーの好みや手の大きさに対応。ブレーキには前後連動のコンバインドブレーキが採用されるなど、操作性や安全性にも抜かりはありません。

KYMCO「X-TOWN CT125」の日本導入時期は2021年秋以降予定、価格は未定とのこと。ストリートからツーリングまでこなせるラグジュアリースクーターを求めているなら、チェックしておくべき存在でしょう。
【了】
Writer: 伊丹孝裕
二輪専門誌「クラブマン」編集長を務めた後にフリーランスとなり、二輪誌を中心に編集・ライター、マシンやパーツのインプレッションを伝えるライダーとして活躍。鈴鹿8耐、マン島TT、パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムといった国内外のレースにも参戦するなど、精力的に活動を続けている。