乗り物の楽しさで開かれる、社会貢献へのトビラ? ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.100~
レーシングドライバーの木下隆之さんは、お金を出してでも「Hondaビーチクリーン活動」のATVに乗ってみたいと言います。どういうことなのでしょうか?
走る姿がカッコイイATVに乗って、楽しみながら社会貢献
いよいよ夏である。となれば連想させるのはビーチでの海水浴。僕(筆者:木下隆之)の地元、神奈川県の逗子海岸ではすでに海の家が建ち始めている。ビーチの整備も進んでいるようで、今かいまかと梅雨の終わりを待ち焦がれているのだ。もちろん新型コロナウイルス感染予防対策は取られていると信じる。

ビーチと聞いて思い出すのが「Hondaビーチクリーン活動」である。社会貢献の一環として、ホンダは自社のATV(All-Terrain Vehicle:全地形対応車)を利用して、砂浜の清掃活動を進めている。その様子が頭に浮かぶのだ。
ATVは、バイクのようにシートにまたがってハンドルバーを握って操作する、駆動力抜群の4輪バギー車である。砂浜はもちろんのこと、牧場や山間地といった不整地で優れた走破性を発揮する。その圧倒的な踏破力を武器に、足元が取られやすいビーチを清掃する。牧場で牧草をかき集める熊手をヒントにごみ回収レーキを開発し、ATVで牽引することでビーチのゴミをかき集めていく。あるいは潮干狩りのあさり獲りを巨大化した要領で、砂に埋もれた小さなゴミをも振り分けて回収するのだ。
効率よくゴミをすくいとるために幾度となく改良が繰り返され、そうして完成したビーチクリーナーが、砂浜美化に貢献している。
このATVビーチクリーナーの素晴らしいところは、もちろんビーチの清掃活動、社会貢献なのだが、ATVが走る姿を眺めていると、乗ってみたくなる、やってみたくなるのだ。
社会貢献やボランティア清掃と耳にすると、やや腰が引けてしまう人も少なくないだろう。でもATVビーチクリーナーが、ガシガシと力強く走る姿はカッコイイのだ。
ATVの清掃速度は、想像するほど遅くない。畑を耕すようにゆっくりと走るのかと思っていたら、ある程度速度を上げたほうが、細かいゴミを回収しやすいのだそうだ。
ただ興味の対象として乗ってみたくなる……というあたりがミソではないだろうか。
何の見返りも求めず体を張って社会貢献することは素晴らしいのかもしれないが、正直言って、少なからず抵抗がある。だが、乗ってみたいのだからこんな都合が良いことはない。カッコイイのだから尚更だ。
いっそのこと「ATVビーチクリーナー体験 15分1000円」なんて看板を掲げてみてはどうだろうか。金を出しても乗りたいと思った。
【了】
Writer: 木下隆之
1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。



