なぜ二輪免許は路上教習がないのか

自動車の免許を取得してからバイクの免許を取得しようとする人も中にはいらっしゃいますが、バイクの教習を続けていると自動車の教習のように第2段階、いわゆる路上教習がないことにお気づきになられた方もいらっしゃるでしょう。自動車とバイク、形が違えど免許が必要な乗り物ではありますが、どうして二輪免許には路上教習がないのでしょうか。

なぜ二輪免許には路上教習がないのか

 二輪免許に路上教習がない理由のひとつには、バイクの形状が路上教習を阻んでいると考えられます。自動車の教習であれば助手席側の足下にもブレーキペダルが用意されていて、危険の察知や事故防止のために教官が独自にブレーキをかけられますが、バイクの教習は教習を受けている1人だけしか乗ることができません。

バイクの路上教習は、教習所内よりもはるかに危険が多く行われていません

 路上教習は教習所内の教習とは違い一般ドライバーが走行しているため、教習所内よりもはるかに危険が潜んでいます。すなわち危険が多く潜んでいる路上教習において運転技術がおぼつかない者だけでバイクを運転させているのは危険ですし、もし何か起こったとしてもブレーキを踏んで危険を回避させてあげられないので受講者を守ってあげることができません。

「では2人乗りして教習すればいいのでは?」とも思われがちですが、ここにも落とし穴があります。51cc以上のバイクであれば2人乗りができますが、バイクで2人乗りするには二輪免許を取得してからある程度バイク乗りのキャリアを形成しなければいけません。

 これは道路交通法71条の4の5項および6項に「(前略)大型(普通)自動二輪車免許を受けた者で、当該大型自動二輪車免許を受けていた期間が通算して一年に達しないもの(中略)は、運転者以外の者を乗車させて大型自動二輪車又は普通自動二輪車を運転してはならない。」と定められているためです。

 すなわちバイクの運転キャリアがない人はそもそも2人乗りできる要件を満たしていない人がほとんどであるため、バイクの路上教習は実現されにくいと考えられましょう。

バイク初心者が公道で気をつけるべき点とは

 晴れて二輪免許を取得して公道に出られたとしても、いくつか気をつけなければならないことがあります。まずベテランライダーからも危惧されやすいマンホールや砂のある道の走行があげられましょう。

雨上がりのマンホールなど一般道には転倒のリスクがある路面があります

 通常、走行する道はアスファルトで舗装されているのでよっぽど危険な運転をしない限りは大事に至ることはありませんが、マンホールはアスファルトと違って凹凸がない金属でできているのでタイヤが空転しやすく滑りやすいものです。

 直進上にあるマンホールであればそこまで危惧しなくてもよいですが、万が一曲がり角にマンホールがあってその上を通過しなければならないとなると、カーブする際にバイクをバンク(傾ける)させるのでタイヤと地面が接する面積が少なくなり、スリップするリスクが格段に上がります。砂の場合はマンホールと違って凹凸がありますが、砂は軽くて転がりやすい性質があるので砂の上は非常に不安定でありスリップの原因につながるため避けなければいけません。

高速道路教習もバイクの場合は、風の影響もあり危険が伴います

 せっかく二輪免許を取得したのであればたくさんスピードが出せる高速道路にも興味を示される方も多いでしょうが、高速道路は特に気をつけなければいけないでしょう。高速道路は一般道と違って場合によっては倍近いスピードを出せますが、スピードが出る分、体に吹き荒ぶ風もより強力になります。

 一般道はせいぜい40km/hから60km/hでの走行がほとんどであるため体で感じる風は心地よいでしょうが、高速道路での風は体が吹き飛ばされるほど強風であるため転倒のリスクがはるかに違います。

 また風に逆らって走行するので簡単にいうと吹き飛ばされないようにバイクにしがみついて運転するような形になりますので、常に全身に力を入れ続けなければならず、短時間の走行であっても疲労感はすさまじいものとなりましょう。

「大阪から東京までガンガン飛ばして一気に走り抜けよう」などと期待に胸を躍らせているライダーもいらっしゃるでしょうが、休みなく走行し続ければ押し寄せる疲労感から運転への集中が途切れるだけでなく、不安定な運転につながり事故のもとになりますから、疲れきる前であってもこまめにサービスエリア、パーキングエリアで小休憩をとるようにしましょう。

 最後に街中でよく見かけますが、渋滞時に車の横をすり抜けるのはくれぐれもやらないようにしましょう。

「みんなやってるからいいのでは?」とも思われがちですが、渋滞をすり抜けようと自動車の左側を抜けていく行為は実は道路交通法のいくつかの定めに違反するおそれがあるからです。まず先行車両を追い越す場合は追い越す前にウィンカーを出して車両の右側を通行しなければならないと定められており、左からスイスイとすり抜けるのは追い越し方法の違反にあたり検挙されるリスクがあります。

信号待ちをしている車の横をすり抜けるのは、取締りの対象になる場合があります

 また信号待ちをしている車の横をすり抜けるのは、ほぼ交差点直前での追い越しになりますが、交差点の30m手前からは追い越しそのものが禁止されており、取締りの対象としてみられるおそれもあるのです。

 バイクは渋滞知らずと言われがちですが、実は法律に違反しているおそれが隣り合わせになっているので、余計な事故やトラブルにならないためにもすり抜けは慎むべきでしょう。

※ ※ ※

 二輪免許に路上教習がないのは、危険がたくさん潜んでいる一般道に危険回避の手助けができない側面をもっているため、二輪免許には路上教習が採用されていないといえましょう。

 また危険なのは二輪免許を取得してからも同じことがいえて、マンホールや砂利道、風といった外部の影響を受けやすく転倒する危険をはらんでいます。特にバイクは体がむき出しな状態で走行するのでちょっとした転倒でも大きなケガにつながりますから、免許を取得できたからといって気を抜かず、バイクに乗り続ける限りはいつも気を引き締めて走行することが大切であるといえましょう。

【了】

【画像】二輪免許の路上教習を画像で見る(5枚)

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