「おお400“CB400フォア”」 当時の16歳へ、ホンダからのプレゼント ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.103~

レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、ホンダの名車「CB400FOUR」(通称ヨンフォア)を見ると気持ちがヒリヒリすると言います。どういうことなのでしょうか?

ライダー人生のスタートに、ヨンフォアはド真ん中だった

「ヨンフォア」(ホンダ「CB400FOUR」のこと)を見ると、気持ちがヒリヒリする。1960年5月生まれの僕(筆者:木下隆之)はつまり、免許制度が改定された1975年の翌年に16歳になった悲劇の世代である。

1976年に新発売となった、排気量398ccのホンダ「DREAM CB400FOUR-II」(セミフラットハンドルの「CB400FOUR-I」も同時発売)

 16歳の誕生日を迎えて「ナナハンライダー」になることを心待ちにしていたのだが、その資格を有するには合格率1%という難関を突破せねばならず、まずは「限定2輪免許」(当時)を取得。排気量400cc以下のバイクでライダーとしての人生をスタートせざるを得なかった。

 そんな僕らの前に登場したのが、排気量398ccのホンダ「CB400FOUR」だ。これは1974年に排気量408ccの直列4気筒エンジンを搭載し、カフェレーサーイメージのスタイリングが魅惑的なバイクのマイナーチェンジモデルだ。

 400cc超のバイクに乗りたくても、法改正によって有資格者が激減。つまり、悲劇の世代である僕らのために排気量を398ccに抑えた仕様が誕生した最上級バイクが「CB400FOUR」、通称「ヨンフォア」というわけだ。

 僕と同世代の御仁も同様に、青春に刻まれた「ヨンフォア」にドキドキ胸を高鳴らせる違いない。408ccモデルとの視覚的な識別点は、サイドカバーの色味が黒であることだ。408ccはタンクと同色であり、赤だったり青だったりした。そこで398ccであることが確認できるのである。

 ただし、見栄っぱりもいたのである。タンクと同色のサイドカバーに交換することで、限定解除所持者のフリをする輩も続出。合格率1%の難関を突破した勇者であることをアピールしていたのだ。

「チェッ、スカしやがって」

 400cc以下限定の僕は、タンクと同色のヨンフォアを見つけると粗探しに躍起になった。たしか、ホーンの取り付け位置が違うとか、エンジンブロックに「398」の刻印があるとか、そんな噂が飛び交い、まるで犯人探しをするかのように似非(えせ)限定解除ライダーを暴くことに躍起になったのは、限定解除への強い憧れと羨ましさ、嫉妬である。

1974年に新発売となった排気量408ccの「DREAM CB400FOUR」

 思えばホンダが発売した398ccのヨンフォアは、販売数を稼ぐための施策には違いないのだが、僕ら悲劇の世代へのプレゼントでもある。だが、それを覆って余りがあるほど、限定2輪免許、いわゆる中型限定免許(中免)の劣等感を刺激したのも事実であろう。

 黒いサイドカバーのヨンフォアを見ると心がなごむ。だがタンク同色のヨンフォアを見かけると、今でもハートがヒリヒリするのだ。いい年になっても、この気持ちはなかなか変わらない。

【了】

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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