ホンダ「スーパーカブ」をEVにコンバージョン 「e-CUB」から見えるカスタム・バイクの未来形

四輪・二輪問わず、世界各国で推し進められているモビリティの電動化。巷ではガソリン内燃機の存在を惜しむ声も多く聞かれますが、そうした中で遊び心のある一台のカブ・カスタムが存在します。どのような仕様なのでしょうか。

カブらしさを残しつつ電動化

 2019年12月に東京都が2050年CO2排出実質ゼロに向けた「ゼロエミッション東京戦略」を公表し、乗用車や二輪車の“非ガソリン化”を目指すことが発表されました。

ホンダ「スーパーカブ」を電動化したカスタムバイク「e-CUB」

 これまでの報道を見ると遅くとも2030年半ばまでに乗用車、そして2035年に二輪車を“非ガソリン化”することを目標に掲げているそうですが、いずれにしてもこの先の時代は“電動バイク”もしくは“水素エンジン”などの普及が進んでいくのではないでしょうか。

 もちろん一人のバイク・マニアとして“ガソリン内燃機”の時代の終わりには一抹の寂しさを覚えるのが正直なところですが、そうした本音はさておき、この先の時代にどう対応していくかがバイク業界に生きる我々にとって重要です。たとえば、その選択肢として「既存にあるバイクをEVにコンバージョン」するのも1つの手のような気がします。
 
 そうした流れの中、気になる1台がここに紹介する“e-CUB”なのですが、そのスタイルからお分かりのとおりこのバイクは『世界累計生産台数1億台』を突破する日本が誇る名車、ホンダ・スーパーカブをベースとしたキットバイクになっています。

 日本での販売代理店は神奈川県横浜市のOZ MOTORS、生産は中国の上海に拠点を置くSHANGHAI CUSTOMSですが1台のカブ・カスタムとして見ても中々にスタイリッシュです。

バイカーズパラダイス南箱根で開催された『電動バイクCAFEミーティング』にe-CUBを出展したOZ MOTORS代表の古川治さん。フォルクスワーゲン・ビートルなどのレトロなヴィンテージカーを電動化したコンバージョンEVを日本国内でいち早く開発した人物です

 当然ですがe-CUBにはエンジンはなく、リアホイールハブ一体型となった1000ワットの電気モーターを動力源としているのですが、SHANGHAI CUSTOMSによると航続距離は約40km。最高速度も約48km/hとのことで街乗りや短い距離の通勤などでは必要にして十分な性能を誇っています。

 ガソリン内燃機関の『スーパーカブ50』が急な上り坂などでは40km/hくらいになってしまうことを考えると、航続距離はさておき、性能的には遜色ないといえるもの。それどころか電動バイクならではの始動時の加速はベースのスーパーカブ以上です。
 
 さらに充電に関してもシート下にある1200Wのリチウムイオン・バッテリーを外せば家庭用のコンセントでチャージすることが可能とのことです。

 また、e-CUBはC50、C70、C90などのベーシックなタンクイン・フレームのカブがベースとなることを念頭に置き、設計されているそうですが、それらの組み込みは日本ではOZ MOTORSが行っているとのこと。十分な工場設備が整っている方ならDIYも可能かもしれませんが、その辺は旧いフォルクス・ワーゲンをEV化するなどのノウハウを持つプロであるOZ MOTORSにお任せした方が安心でしょう。
 
 1台のカスタムとしてみても一切の無駄を廃したスタイリッシュなデザインとなっており、ライトやウインカー、メーターなどはフルLED化。スマートキーの採用など近代的な要素とレトロなカブ・デザインが混在するものとなっており、中々にお洒落です。
 
 この先の未来、「脱炭素化社会の実現」に向けてガソリン内燃機の撤廃を悲観する声は正直ありますが、しかし、『カスタムバイクの楽しさまでが失われることはない』ということを既にこのe-CUBが示しているのかもしれません。

【了】

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Writer: 渡辺まこと(チョッパージャーナル編集長)

ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。

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