4ストローク4気筒の400ccバイクは一体どこに消えたのか?

一昔前は4気筒の400ccバイクが主流だったにもかかわらず、時が経つにつれてその数は大幅に減少し、2気筒の400ccバイクが主流になっていきました。いったい、どこに消えたのでしょうか。

4気筒の400ccバイクはなぜ消えてしまったのか

 かつて400ccのバイクに多く搭載されていた4ストローク4気筒エンジンですが、現在では多くの車両が2気筒あるいは単気筒のエンジンに置き換わっています。その理由はいくつか考えられますが、大きな要因と考えられているのが製造コストの問題です。

国内メーカーで販売されている最後の4ストローク4気筒400ccモデル、ホンダ「CB400SF/ SUPER BOL D’OR」

 1980年代に発売されていたモデルの後継車で、現在も生産が続けられているバイクがあります。しかし、80年代生産モデルと比べると、現在生産されているモデルではパーツの素材が安価なものに変わっています。

 物価上昇に対応するためやむを得ない措置ではあるものの、コストダウンの波はフレームをはじめとした骨格になるパーツだけでなく、駆動系などあらゆるパーツにも及んでいます。開発費用全体をおさえるために、エンジンもコストカットの対象となりました。

 エンジンの製造コストがかかる要因には、点火方式のインジェクション化も大きく関わっています。年々厳しくなる排ガス規制に対応させるため、かつて使用されていたキャブレターがインジェクション化されます。

カワサキの空冷4ストローク並列4気筒「ZEPHYRχ(ゼファーカイ)」2004年型

 バイクの排ガス規制が初めて設けられたのは、1998年と四輪車よりもずっと最近のことです。何度か実施された規制のタイミングで、開発コストのかかる4気筒エンジンは減少します。しかし、特に2005年と2007年に規制が強化された際、キャブレター搭載車がほぼなくなったのです。

 4気筒エンジンは、2気筒や単気筒のエンジンより点火を制御するシリンダー数が多いため、結果として製造コストがかさみます。また、排ガス浄化の役割を担う触媒を搭載することで車重が増加し、そのこともコストアップにつながってしまいます。これらの理由から、より安価で製造できる2気筒エンジンを採用するようになっていきました。

日本専用排気量とも言える400ccの生産減少でコストが上昇し、4気筒エンジンはなくなりつつあります

 そこに拍車をかけているのが、生産台数の減少傾向です。もちろん、需要が高く多くの台数を生産できればその分、価格は下がります。しかし、バイク人口の減少によりニーズが減っているため、価格を維持したり下げたりすることが困難となっているのです。

 このような状況で多額の開発コストをかけていては、安く販売することができません。国内のバイク全体のニーズが減っているしわ寄せが、バイクの人気が高く単気筒や2気筒エンジンを多く生産する国へと移行したことが要因のひとつともいわれているのです。

 400ccという排気量は世界的に見ても中途半端な数値ともいえ、車検がある点や大型二輪免許取得のハードルがわずかながら下がった点などから、より大型のバイクに流れているともいわれています。

今なお生産されている国内メーカーの4気筒400ccバイク

 そんな中、今なお生産されている4気筒エンジン搭載モデルがあります。そのひとつが、ホンダ「CB400 SUPER FOUR(スーパーフォア)」です。

ホンダ「CB400 SUPER FOUR(スーパーフォア)」

「体躯はセクシー&ワイルドであること」というコンセプトで生産されたこのモデルは、CB1300シリーズの威風堂々とした佇まいを継承しています。

 フューエルタンクからサイドカバー、そしてリアカウルへと流れるシャープで力強いプロポーションをもち、二眼メーターや二眼LEDテールランプなどの細部にいたるまで、伝統と革新の造形美が貫かれているのが魅力でしょう。

 続いて紹介するのが、ホンダ「CB400 SUPER BOL D’OR(スーパーボルドール)」です。

ホンダ「CB400 SUPER BOL D’OR(スーパーボルドール)」

「心を魅了する感動性能を有すること」というコンセプトのもと、24時間耐久ロードレースの名前にも使用される「ボルドール」という金杯を意味する名が冠せられています。

ハーフカウルを採用しているCB400スーパーボルドール

 高速巡航時の安定感や長距離を高速走行する際の快適性を追求し、ハーフカウルとスモークタイプのウインドスクリーンを採用、風を楽しみながら走りを堪能できる高レベルのウインドプロテクション性能を備えています。

 走行性能を左右するエンジンやフレームやサスペンション・ブレーキなどは、CB400SFとCB400スーパーボルドールで共通のものが使用されているのもポイント。

CB400には共通の水冷4ストローク並列4気筒399ccの4バルブエンジンを搭載

 エンジンには水冷4ストローク並列4気筒399ccの4バルブエンジンを採用し、最高出力は41kW(56ps)、最大トルク39Nm(4.0kgm)を誇ります。

 ダブルクレール・フレームは、しなやかさとしっかりとした剛性を合わせ持つことで、軽快なスポーツライディングと高速走行時の安定感を追求しています。

 また、フロントサスペンションにはプリロードアジャスターを備えたテレスコピックタイプを採用し、リヤサスペンションには5段階調節が可能なプリロードアジャスターを備えているのです。サスペンションの優れた減衰性能により、軽快かつ安定感の高いハンドリングやシャープな走行、優れた乗り心地などを実現させています。

2018年に搭載が義務化されたABSや、4ポッドキャリパーを採用

 加えて、2018年に搭載が義務化されたABSや、4ポッドキャリパーを採用したフロントブレーキなど、十分なブレーキ性能もしっかりと確保しているのです。

※ ※ ※

 厳しい排ガス規制の影響で、風前の灯火になった4気筒の400ccバイク。しかし、今回紹介したモデルを中心に再び人気を取り戻してきているのです。これは、振動が少なく高回転までスムーズに回るため高い出力を発生させるという、4気筒ならではのメリットが評価されている証拠ともいえるでしょう。

 400ccの4気筒エンジンモデルは、強化される一方の排ガス規制にどのように対応していくか、今後の動向が注目されます。

■価格
「CB400 SUPER FOUR」88万4400円~(税込)
「CB400 SUPER BOL D’OR」104万600円~(税込)

【了】

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