台風の季節…バイクが水没したらどうなる?

台風や洪水によって浸水している家屋を、ニュースの映像で見たことがある方も多いでしょう。水害は住宅だけではなく、乗り物も深刻なダメージを負わせます。事故にあったバイクを事故車と言うように、水没してしまったバイクを水没車と呼びます。実際に愛車が水没してしまった場合、私達ライダーはどのように対処すれば良いのでしょうか。

どこまでなら水に浸っても大丈夫?

 浸水のレベルは、大きく3つほどに分けられます。1つ目はクランクケース付近までの浸水、2つ目はキャブレターやエアクリーナーやシリンダーヘッド付近までの浸水、そして最後は車両すべてが浸水してしまった場合です。それぞれの深刻度は、次のように表されます。

車両すべてが浸水してしまった場合の対処方法

 まずクランクケースの場合は、エンジン下部に水が浸水している状況になります。この状況は水没車の中ではまだ軽傷といえるでしょう。エンジンの下部にはオイルパンというオイルが溜まっている場所があり、ここにオイルと水が混ざっている可能性が高いです。しかし、シリンダーなどのエンジン全体にまで水が回っていないので、比較的修復しやすいケースといえます。

 キャブレターやエアクリーナー、シリンダーヘッド付近までの浸水の場合、修復が難しくなっている可能性が非常に高いでしょう。エアクリーナーやキャブレター、インジェクション付近まで浸水していると、それらの中にも水が入ってしまいます。加えて、エンジン内部にも水が回ってしまっている可能性が高いでしょう。

洪水や浸水でバイクが水没した場合は、部品代や時間や手間を考えた場合、程度の良い中古車を買えてしまうほどの金額になる可能性があります

 バイク全てが水没してしまっている場合、修復は絶望的といえます。部品を変えて修理することは可能です。しかし、部品代や時間や手間を考えた場合、程度の良い中古車を買えてしまうほどの金額になる可能性があります。

 特に、FI化されたバイクやコンピューター制御が主流のバイクの場合は電子機器が機能しない可能性が高く、部品を全て取り替えるとなると膨大なコストがかかります。コンピューター制御が主流のバイクよりも、キャブレターなどの旧式バイクの方が修復出来る可能性が高いといえます。

水没した際の対処法とは

 水没したバイクを対処する際に最も重要な点が、スピードです。水によってエンジン内部が錆びてしまうとダメージがより深刻になり、オーバーホールが必要になってしまいます。また、少しでも浸水の可能性がある場合は、絶対にエンジンをかけてはいけません。

少しでもエンジン内に浸水の可能性がある場合は、絶対にエンジンをかけてはいけません

 クランクケース付近までの浸水の場合、エンジンオイルを抜きましょう。この際、オイルの色が茶色や黒色、交換したての場合は蜂蜜のような黄色であれば問題ありません。

 しかし最初に水が出てきてしまったり、乳白色のオイルが出てきた場合は、エンジン内部に水が入り込んでいる証拠です。フラッシングの要領でオイルを何回か交換し、落ち着いたらアイドリングをさせて再びオイルを抜き、乳白色になっていなければ大丈夫でしょう。

 また、マフラーにも水が溜まっている場合があるので、エンジンをかける前にマフラーを外して水を抜き、再び装着してからアイドリングをすると安心です。

 シリンダーヘッドやエアクリーナー、キャブレター、インジェクター周りまで浸水した場合の、簡易的な対処法を見ていきましょう。

 まずはエアクリーナーを取り外します。キャブレターが浸水している場合は、ドレンボルトを緩めて中のガソリンと水を抜きましょう。それでも症状が酷い場合は、オーバーホールが必要です。また、エアクリーナーも交換することをおすすめします。

 エアクリーナーボックス内の水分を拭き、異常がなければ再び装着しましょう。次はクランクケースの時と同じ工程ですが、クランキングの際はプラグを外し、シリンダー付近の水を飛ばすのも手段といえます。プラグは濡れておらず、火花が飛ぶことが確認出来れば使用できますが、新品と交換した方が良さそうです。

バイクが水没してしまった場合、キャブレター装着車は、インジェクション装備車よりも復活の可能性があります

 完全に水没してしまった車両の場合は、キャブレター車かインジェクションかによって対処が変わります。しかし、インジェクションなどコンピューター制御の車両の対処は絶望的なので、キャブレター車のようなアナログなバイクの対処法を解説します。まずは、電装系のチェックを行いましょう。電装系部品は、水分を入念に飛ばすことが何より重要です。これを怠ると、ショートやヒューズが飛ぶ可能性があります。次に、ガソリンタンクに水が浸水していないかチェックにしましょう。水が入っている場合はタンクを外して中のガソリンと水を抜き、完全に乾かします。後は上記のキャブレターからエアクリーナー、シリンダー、クランク、マフラーと同じ手順で進めましょう。

※ ※ ※

 バイクが水没してしまった場合、まずは水没レベルをチェックする必要があります。水没レベルを確認するポイントは、クランクケースとシリンダーヘッド、車体全ての3つに分けられるのです。また、対処法は浸水レベルに合わせた方法がある点も覚えておくと良いでしょう。水没したバイクの対処には何よりもスピードが大切なので、水で錆びてダメージを負ってしまう前に、素早い行動を起こすこと何より大切といえます。

【了】

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