高速道路でたまに見かける…路側帯走行って違反なのか?

高速道路を走行中、路側帯を走行する車両を見かけたことがある方も多いかもしれません。中には、「違反ではないのか?」と疑問を抱いた経験がある方もいらっしゃるでしょう。高速道路で稀に見かける路肩走行は、違反なのか?

バイクの路肩走行は違反ではないのか

 結論から述べると、バイクや車が前車の横を追い抜くために路側帯や路肩を走行するのは、違反となります。ただし、違反となる根拠に違いがあるのです。

高速道路や自動車専用道路にある路側帯を走行すると違反になります

 路側帯も路肩も、原則として通行できるのは歩行者や自転車等の軽車両に限られますが、自動二輪車や原付のバイクが「歩車道の区別がない場合の路肩」へ入ることは、禁止されていません。

 車両制限令第9条では「自動車は歩道や路側帯のない道路の路肩を通行してはいけない」という規定があるのみで、道路交通法でもバイクについての違反規定がないことから、路肩の走行自体は違反とは言い切れないと解釈できます。

 しかし、自動車を追い抜くために路肩を走行するのは、通行区分違反に該当します。車線変更を伴わないバイクの追い抜きは、車線変更をする追い越しとは異なり自動車の左側を通行することが多いです。

 これは、道路交通法第28条でいう「左側追い越し禁止」の原則に反しますが、普通車では違反点数2点、反則金9000円が科せられるのに対し、バイクや軽車両、歩行者では罰則の規定がありません。それでも警察官によっては取り締まることもあり、追い抜きのための路肩走行は違反であることに変わりはないでしょう。

 一方、路側帯の走行は道路交通法第17条第1項で「車両は、歩道又は路側帯と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。」と明確に禁止されています。一般道の路側帯の場合、自転車の通行は禁止されていませんが、バイクの走行は禁止されているのです。また、歩道のある路側帯にある車道外側線は、原則として軽車両と歩行者のみ通行可能なので覚えておくと良いでしょう。

 また、高速道路や自動車専用道路にある路側帯は、緊急時に用途が特定されているため特に注意が必要です。パトカーや救急車などの緊急車両の走行、故障車の停車などの事態に対応するため、走行した場合は違反になるだけでなく、他者を危険にさらす可能性も考えられます。

 違反した場合は通行区分違反として違反点数が2点、3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金が課せられるとともに、反則金として自動二輪車で7000円、原付で6000円を納めることになるのです。

速度の遅い自動車を抜きたい場合は追い越し車線を使いましょう

 では、速度の遅い自動車を抜きたい場合はどこを走行すればいいのかという話になりますが、適法な走行方法としては、車線変更を繰り返し右側から「追い越し」をすることでしょう。とはいえ、急な車線変更は事故の元になりかねません。加えて、車線変更を伴わない「追い抜き」の場合は、自動車との間隔が追い越しよりも少なくなるため、事故の危険性が高まります。

 また、バイクが路側帯走行をすると産業廃棄物の積載車から落ちた釘や異物を踏み、タイヤがパンクしたり、故障車との接触や衝突などの事故やトラブルを招く危険が考えられるでしょう。自らの安全を守るためにも、路側帯通行は絶対にしてはいけません。

路側帯と路肩の違いは?

 路側帯走行と路肩走行で違反するかどうかの違いが挙げられますが、両者はそもそも根拠となる法令が異なります。路側帯が道路交通法を根拠とするのに対し、路肩は道路構造令で定義されているのです。

路側帯走行と路肩走行で違反するかどうかの違いが挙げられますが、法令が異なります

 まず路側帯は、歩道のない道路に引かれている白い実戦の外側のことです。具体的には道路交通法第2条第3号の4で、「…歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分…」と定義されており、車道と分離することで基本的に歩道と同等に扱われます。

 路側帯には3種類あり、白線が1本引かれている通常の路側帯は、歩行者と軽車両が通行可能。白線2本で区画された路側帯は「歩行者専用路側帯」となり、軽車両も含め歩行者以外は通行できません。

白の破線(左側)と白線(右側)で区画された「駐停車禁止路側帯」は通行区分とは直接の関係がありませんが、バイクや自動車の駐停車が禁止されています

 また、白の破線(左側)と白線(右側)で区画された「駐停車禁止路側帯」は通行区分とは直接の関係がありませんが、バイクや自動車の駐停車が禁止されています。

 そして路肩の場合は区分線が引かれておらず、道路の左端から最小0.5m~最大2.5mの帯状の範囲が「路肩」と呼ばれているのです。そもそも路肩は道路構造令を根拠とするもので、「道路の主要構造物の保護、故障車等の待避スペース、側方余裕幅等、交通の安全性・円滑性を確保する」観点から、路肩の規定が設けられています。

 言い換えれば、路肩の目的は「緊急時や円滑な通行のために必要なスペース」であり、バイクや自動車が通行することは想定されていないといえるでしょう。

※ ※ ※

 路側帯や路肩は根拠となる法令や目的などが微妙に異なるものの、バイクが走行することは想定されておらず、基本的に交通違反の対象になります。また、交通安全という観点からも、路側帯や路肩の走行は絶対にしてはいけない行為なのです。

 遅い自動車にイライラしてつい前を走りたくなる気持ちもあるでしょうが、自らを守るためにも頭を冷やして安全運転を心がけましょう。

【了】

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